癒しやストレス解消のために、アロマを使ってみたいと思う方は多いでしょう。一方で、犬の嗅覚は人より圧倒的に優れているため、場合によっては刺激が強すぎることもあります。犬がいても安心してアロマを使うには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
この記事では、犬がいる家でアロマを使う際の注意点や犬におすすめのアロマを紹介します。犬とアロマについて正しく理解し、お気に入りの香りを安全に楽しみましょう。
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犬とアロマの関係
アロマには嗅覚を通して脳に働きかける作用があり、人間の自然治癒力を高めたり、心身を癒したりする効果があるといわれています。香りは神経と直接つながっているため、五感の中でも心身に影響を与えやすいのだとか。海外では古くから民間療法として取り入れられてきた歴史があり、現在でも医療現場などで広く利用されています。
そんなアロマですが、はたして犬がいる家庭で使っても問題はないのでしょうか。
犬でもアロマを使ってOK
基本的に、犬にとって安全な種類・量であれば犬のいる空間でアロマを使っても問題はありません。犬は優れた嗅覚を持っていますが、15~30分程度であればアロマの香りを部屋に広げるアロマディフューザーやアロマポットもOKです。ただし、犬が舐めたりひっくり返したりしてしまわないよう、設置する場所は犬が届かない場所を選んでください。
なお、アロマは正しく活用すれば、愛犬の性格や行動、飼育環境のお悩み解決にも役立ちます。アロマを利用した芳香療法「アロマテラピー」は人間だけでなく犬にも行われており、精油を使ったアロママッサージやスキンケアを行う動物病院も増えています。
初めて使うなら犬用アロマを選ぶと安心
アロマには「ドッグアロマ」や「犬用アロマ」など、犬に使う目的で作られたものもあります。犬用アロマは万が一犬が舐めてしまっても安全性が高い精油を使っていて、人も一緒に使用できるのがポイントです。犬の健康上不安がある添加物なども配合されておらず、初めてでも安心して活用できるのが嬉しいですね。
また、犬用アロマの多くはスプレーやクリームなど用途に合ったタイプが販売されているため、使い勝手が良いのも特徴です。「虫よけ」「留守番時のストレス緩和」「シニア期の気力向上」など、犬との暮らしで気になる問題に対応している商品もあり、上手に活用することで愛犬との生活も豊かになるはず。「アロマに興味はあるけど、良くない種類を選んでしまわないか不安」という方は、ぜひ犬用アロマもチェックしてみてはいかがでしょうか。
犬とアロマを使うときに注意すべき点
自宅でアロマを使うときは、種類や量、愛犬との相性に注意することが大切です。人では安全性が高いといわれているアロマですが、場合によっては犬が体調を崩してしまう可能性も考えられます。ここでは、必ず押さえておきたい注意点を3つ解説します。
精油の種類
アロマの精油は、合成香料などが混ざっていない100%天然のものを選びましょう。安全といわれる種類のアロマであっても、植物名や原産地、製造ロットなどの情報がしっかり明記されているものを選ぶことが大切です。
また、精油の中には、犬に有害なものや健康状態によって注意が必要なものも多くあります。一例としては、アニス・オレガノ・クローブ・タイム・タンジー・ワームウッドなど。これらのアロマは刺激が強いため、犬に使用してはいけません。その他、ティーツリーやユーカリなども量や体調によっては危険といわれています。
精油の量
精油は成分が高濃度に凝縮されているため、使うときは必ず水や植物油などで希釈します。人間の場合、推奨濃度は0.5~1%程度ですが、犬がいる環境で使う場合はもう少し濃度を薄くした0.2~0.3%程度が良いでしょう。
ただし、芳香浴・マッサージ・清掃など、どのような目的で使用するかによって適切な精油の量は変わります。アロマディフューザーを使う場合は1回につき1~3滴、マッサージに使う場合はキャリアオイル10ミリリットルあたり2~3滴が目安です。消臭や虫よけとして使うなら、水50ミリリットルに対し5~10滴を入れましょう。
なお、精油は遮光率が高い色付きの瓶に入っているのが一般的で、遮光瓶から落ちる精油1滴は0.05ミリリットルです。滴数が多いほど香りも強くなりますが、入れすぎると犬がストレスを感じる可能性もあるため、一度にたくさん使うのは避けましょう。
愛犬との相性
人間と同じように、犬にも香りの好みがあります。アロマには精神を落ち着かせたり、ストレスを和らげたりといった効果が期待できますが、愛犬の好みでなければかえって逆効果になってしまうかもしれません。初めて使うアロマは必ず犬に嗅がせてみて、嫌がったり落ち着かなかったりする様子がないか確認するようにしましょう。
犬の好みを確認するには、少量のアロマをティッシュなどに垂らして匂いを嗅がす方法がおすすめです。ティッシュを近づけたときに顔を背けたり、後ずさりしたりするようであれば、そのアロマは苦手なのかも。オイルを舐めてしまわないよう気をつけながら、じっくり愛犬の好みに合うアロマを探してみてくださいね。
目的・効果別!犬におすすめのアロマ4選
アロマにはたくさんの種類があるため、どれを選べば良いか迷ってしまう方も多いでしょう。ここでは、犬におすすめの代表的なアロマを4つご紹介します。それぞれに期待できる効果も解説しているので、お悩みに合うものをチェックしてみてくださいね。
興奮を抑える「スイート・マジョラム」
スイート・マジョラムは甘く、ややスパイシーな香りが特徴のアロマです。副交感神経に働きかけて心身の緊張を解きほぐす作用があり、リラックスしたいときに効果的といわれています。鎮静効果も期待できるため、興奮しやすい犬や神経質な犬におすすめです。
車酔い防止に「ジンジャー」
ジンジャーは、ほのかに甘みを感じるスパイシーな香りのアロマです。ジンジャーは乗り物酔いの予防につながるといわれており、車やバスが苦手な犬におすすめ。香りのクセが強いため、オレンジ・スイートなど爽やかな柑橘系のアロマをブレンドして使いましょう。
虫よけ対策に「レモン・ユーカリ」
レモン・ユーカリは、その名の通りレモンを思わせるフレッシュな香りのアロマです。数あるアロマの中でも虫に対する忌避効果が高いといわれていて、「虫よけアロマの鉄板」といわれることも。抗菌や抗ウイルス、鎮静作用もあり、使い勝手の良いアロマです。
ストレス緩和に「ラベンダー」
ラベンダーは、ラベンダーの花そのものの甘い香りが特徴のアロマです。鎮静効果に優れていて、犬の興奮を抑えたり、心身をリラックスさせたりする効果が期待できます。作用も穏やかで安全性が高く、親しみやすい香りから犬にも好まれる傾向があります。
おわりに
アロマには犬にとって良くない種類もありますが、リラックスや消臭、虫よけなど嬉しい効果が期待できるものもたくさんあります。注意点を守って正しく使用すれば、嗅覚が優れた犬にも負担をかけず安全に楽しむことができるでしょう。
なお、良いとされている種類でも体質や量によっては体調を崩してしまったり、ストレスの原因になったりする可能性があるため、初めて使うときは愛犬の様子をみながら、ごく少量から取り入れることが大切です。ぜひ愛犬と飼い主さん両方が好きな香りを見つけて、快適な暮らしに役立ててくださいね。