人と人の距離感が見直されている今日このごろ、親密な愛情表現をしてくれるイヌとの暮らしは孤独とは無縁といえるかもしれません。お互いにとっての「快適な空間」を作り上げることができれば、withコロナ時代のおうち時間も前向きに楽しむことができそうです。
理想的なイヌとの暮らしに迫る本連載。今回はフリーランスディレクターの石田一帆さんとCODO(こど)君の生活を拝見してきました。
MOKUJI
●イヌ:CODOくん(3歳)・コッカプー・ワンパクで気まぐれ
●家主:石田一帆さん(31歳)・フリーランスディレクター、PR(Instagram)・好奇心旺盛でアクティブ派
●おうち:60平米・1SLDK
CODOくんとの出会い
——CODOくんの名前の由来を教えてください。
「全身が真っ黒だし、毛がモジャモジャだし、彼はよく見ないと顔がどこにあるかわからないんです。だから、『どこ』の反対で『CODO(こど)』という名前にしました(笑)」
——どんな経緯で出会ったんですか?
「どうしてもコッカプー(アメリカン・コッカー・スパニエルとプードルを掛け合わせた犬種)が飼いたかったので、専門のブリーダーさんを通じて迎え入れました。もともと私は大型犬が好きなんですが、さすがに賃貸のひとり暮らしでは難しくて、小型犬にしたんです。
この犬種は成長しても8kg前後なので、なんとか一緒に暮らせるかもしれないなと。実際に活発なコッカーの性格とプードルの賢さを受け継いでいるので、すごく付き合いやすいんですよ」
CODOくんとの「暮らしぶり」
お気に入りの場所
——お部屋の中で、CODOくんと石田さん、それぞれのお気に入りの場所は?
「CODOはリビングのソファが大好きです。日当りが良いので居心地が良いのかもしれません。一緒に脚を伸ばしてもゆったり座れることを重視して、3シーターを選びました。私が仕事で外出しているときも、ドッグカメラでチェックするとほぼほぼソファでのんびりしていています(笑)」
「普段、私はリビングテーブルのイスに座って、食事や仕事をしていることが多いです。お酒が好きなのでリビングの棚にビールサーバーを設置していて、CODOが寝た後にひとりでテレビを観ながら晩酌するのが至福の時間」
イヌと暮らすうえで、こだわったポイント
——CODOくんと住むうえで、石田さんがこだわったところは?
「犬と人間がお互いにのびのびと暮らせるように、物件探しでは日当りの良さとリビングの広さを重視しました。ドッグフレンドリーな街なので、散歩中に一緒に入れるカフェが多いことも決め手になりましたね。
ペット可でひとり暮らしの女性でも安心な物件は争奪戦なので、毎日、血眼になって探してようやく巡り会った物件です」
「一応、犬用のゲージは用意していますが、そこにCODOが入るのは水を飲むときくらい。彼が自由に走り回れるように、なるべく床にモノを置かないようにしています。
ストレスを与えないような環境作りを意識しているので、今のところ大切な家具に噛みつかれたり過度なイタズラをされたことがないんですよ。家具好きな飼い主の“圧”を感じ取っているだけかもしれないですけど(笑)」
部屋のコンセプト
——お部屋のテーマやコンセプトはありますか?
「私は落ち着ける空間が好きなので、家具のテイストや色味をそろえて統一感を演出しています。お気に入りのキャビネットはボーエ・モーエンセンのヴィンテージ。ここもゴチャゴチャして見えないように、愛用のメガネや雑貨など限られたモノだけを置いています」
「また、CODOが快適に過ごせることを重視しつつ、あまり生活感が漂う部屋にはしたくないので、犬用のおもちゃは置き場所を決めてマメに片付けるようにしています。とはいえ、シンプルすぎる空間も寂しいので、花や植物を飾ることで生活に彩りを感じられるように意識していますね」
イヌと暮らすうえで気を付けていること
——ほかに、イヌと暮らすうえで気を付けていることはありますか?
「我ながら親バカで『お犬様第一主義』で生きているものの、やっぱり飼い主の言うことをちゃんと聞いてくれるようになってくれないと困ります。
なので、1年くらい前から定期的にトレーナーさんを招いて一緒に訓練をしていますね。そのおかげで、おかわりやお手などのコミュニケーションはひと通りできるようになりました」
——CODOくんもトレーニングを楽しんでいますか?
「指示通りに動けたら徹底的に褒めることを重視しているので、CODOも喜んで応えてくれますよ。普段もなるべく怒らないことを心がけています。犬は感受性が高いと思うので、感情的に怒られると嫌な気持ちしか残らなくて、信頼関係が揺らいでしまうかもなと」
「ちなみに、もともと友達や取材で訪れたスタッフさんを敵視することはなかったんですよ。でもコッカプーは気分の波があるといわれていて、CODOも以前は衝動的に怒ってしまうことがあるんです。それを抑えながら、仲良く暮らすためにもトレーニングは重要だと感じています」
飼い主のこだわりを押しつけない
——日頃から美容情報を発信している石田さんはオーガニックコスメなどにも造詣が深いと思いますが、CODO君のご飯やシャンプーにもこだわりがあるのでしょうか?
「いえ。正直なところ、食べ物にはこだわっていません。今までいろんなオーガニック系のドックフードも試してみたんですが、ほとんど食べてくれなくて。市販のフードだと喜んで完食するんですけど……。
今のところ元気いっぱいですし、動物病院の検査でも健康面の問題を指摘されたことがないので、こちらのこだわりを押しつけるのは止めることにしました」
散歩はルーティン化しない
——日々の散歩にルールはありますか?
「普段は日中に1時間ほど散歩することが多いんですが、時間帯やルートは固定しないようにしています。ルールを設けて散歩を義務化してしまうとお互いストレスになるし、その日の気分に合わせて楽しむのが私たちらしいのかなって」
イヌとの共同生活を始めたい人へのアドバイス
——犬と一緒に暮らすか迷っている人にアドバイスをください!
「親子の関係と一緒で、犬にとって頼れるのは飼い主しかいません。当たり前ですが、責任を持って寂しくならないような環境を作ることが大切だと思います。私もCODOとの生活が始まってからひとりで外出する回数が減りましたが、自分の時間を犠牲にしているとは思いません。
CODOがいてくれるおかげでステイホーム期間中も豊かな気持ちになれたし、私が注いだ以上の愛情を返してもらっているので」
イヌと暮らすうえでのMy3ヶ条
その1 人間と同じように接する
その2 犬の“ひとり時間”も確保
その3 ルールを決めすぎない
「CODOは甘えん坊ですが、人間と同じように構ってほしくない時間もあるので、そんなときはそっとしておいてあげます。
『犬らしくちゃんと育てる』ことにこだわらずに、彼の個性に合わせながら付き合い方を調整して、これからもお互いに居心地良くいられるような関係にしたいと思っています」
おわりに
“お犬様第一主義”を掲げ、CODOくんの居心地を重視した環境作りやしつけも怠らない石田さん。でも、四六時中ベタベタしているわけではなく、構ってほしくなさそうなときは放っておく。
絶妙な距離感を保ちつつ、仲良くくつろいでいる石田さんとCODOくんは、強い信頼関係で結ばれている“家族”に見えました。
Photo_Yui Fujii Interview & Text_Satoshi Asahara Edit_Yasushi Shinohara