人と人の距離感が見直されている世の中で、親密な愛情表現をしてくれるイヌとの暮らしは孤独とは無縁!?お互いにとっての「快適な空間」を作り上げることができれば、withコロナ時代のおうち時間を前向きに楽しむことができそうです。
理想的なイヌとの暮らしに迫る本連載。今回は不動産メディア「cowcamo」編集長の伊勢谷亜耶子さんとムッシュ君の生活を拝見してきました。
MOKUJI
イヌ:ムッシュくん(10歳)・ヨークシャーテリアとトイプードルのミックス・人懐っこい
家主:伊勢谷亜耶子さん(36歳)・『cowcamo』編集長(公式サイト)・アクティブ女子(飲み会大好き)
おうち:45平米・ワンルーム・渋谷区
ムッシュくんとの出会い
—まずはムッシュくんとの馴れ初めを教えてください。
「もう10年前になりますが、その日は新宿の歌舞伎町で夜遅くまで飲んでいまして。当時は繁華街に24時間営業のペットショップがあって、たまたま立ち寄ったらショーケースにいたムッシュと目が合ったんです」
—酔った勢いでお持ち帰りしたのですか…?
「いや、さすがにそれはできなくて。一晩考えて、次の日に起きても『迎えに行きたい』と思ったら、覚悟を決めようと。ショーケースの中で、ムッシュは同室のイヌにエサを奪われて、助けを求めるような目で私を見ていたんですよ。売れ残ったらどうなってしまうんだろうと、親心が芽生えたというか(笑)」
ムッシュくんとの「暮らしぶり」
お気に入りの場所
―お部屋の中で、ムッシュくんと伊勢谷さん、それぞれのお気に入りの場所は?
「ムッシュは窓際に置いたクッションに座っていることが多いですね。クッションにタオルを巻いているのは、気軽に洗えるから(笑)」
「私が気に入っているのは、アンティークのラタンチェア。
休日はよくここで読書や映画鑑賞をしています。籐のイスって、リラックスできるもののある程度の硬さがあるのでソファと比べると寝落ちしにくいんですよ。ソファはムッシュが粗相をすると掃除も大変ですし、いろんな意味でズボラな私の生活には向いていないなと」
イヌと暮らす上で、こだわったポイント
―ムッシュくんと住むうえで、伊勢谷さんがこだわったところはありますか?
「モノが多い家なのですが、ムッシュに不自由な思いをさせないように、ゲージは設けていません。だから、なるべく床にモノを置かないようにしていて、本棚の下段はすべてラックにしたり、観葉植物を吊るしたり、ムッシュが散らかさないような工夫をしています」
「玄関からキッチンまでの床は材質にもこだわりました。外装に使われることが多いモルタル調の材で、夏場はひんやりしているのでムッシュが寝そべりやすいかなと。もともと水はけが良く、防水加工も施しているので、お風呂上りにムッシュが暴れまわっても掃除が簡単なんですよ」
部屋のコンセプト
—お部屋のテーマやコンセプトはありますか?
「私はアンティークが好きで、レトロな純喫茶をイメージしてフルリノベーションしました。コンパクトな空間にメリハリを作るために設けたアイアンのフレームも、経年変化を楽しむためにあえてサビ止め加工は施していません」
—ステイホーム期間に変わった部分はありますか?
「本棚のとなりに在宅ワーク用のデスクを置きました。以前はダイニングテーブルにパソコンとモニターを置いていたのですが、やっぱり仕事場と食卓が同じ場所だと気持ちの切り替えが難しいので。
小さなストレスがムッシュに伝染しないように、飼い主である私が居心地の良い空間を保つことが大事だと思っています」
イヌと暮らすうえで気をつけていること
―ほかに、イヌと暮らすうえで気を付けていることはありますか?
「私の都合で寂しい思いをさせないように、仕事が忙しい時期はムッシュを実家に預けています。飼い主の帰りが遅いとイヌも不安になるし、ずっと待ってもらっていると仕事に集中できなくなってしまうので、そこは両親の手を借りることがお互いのためになるかなと。
おかげで私と両親が頻繁にお互いの家を行き来するようになったし、ムッシュが親子の絆をつないでくれています(笑)」
入浴も睡眠も、いつも一緒に
—動物特有の抜け毛や匂いに関して気をつけていることはありますか?
「そこはあまりに気にしていません。外出自粛の時期から徐々にオンラインイベントをやることが増えて、いろんな人に家の中をライブで見てもらう機会が増えたことが、きれいな状態を保つモチベーションになっているかも。
それとムッシュは入浴が好きなので、よくふたりで一緒にお風呂に入っています。だから、それなりの清潔感は保てているかなと(笑)」
—すごくラブラブじゃないですか。
「寝るときも一緒ですからね!ステイホーム期間も、彼がいてくれたから孤独を感じる瞬間が少なくて。10年の付き合いですが、自分がどれだけムッシュに救われているか、コロナ禍を通して再確認することができました」
散歩も「ストレスフリー」が合言葉
—日々の散歩にルールはありますか?
「ルートは特に決めないで、ムッシュが行きたいところに行くことですかね。頑固なところがあるので、行きたい方向に行けないと道端で微動だにしなくなるんですよ。
いつも人通りが多い渋谷の道玄坂に行きたがるのが少々やっかいです(笑)」
—歌舞伎町出身ですし、繁華街が好きなんですね。
「そうかもしれませんね。やたら人懐っこくてお留守番が得意ではないのは、ペットショップで売れ残る日々を経験したからかもしれません。当たり前かもしれませんが、イヌの個性に寄り添ってあげることを大切にしたいと思っています」
イヌとの共同生活を始めたい人へのアドバイス
ーひとり暮らしの女性はイヌと同居することにも、マイホームを購入することも簡単ではないと思うのですが。
「やっぱり人生を左右することなので、それなりの覚悟は必要です。でも覚悟さえあれば、お金を理由に『(家を)買いたい』と『(イヌを)飼いたい』を諦めるのはもったいないかなと。
実際、私はお金持ちじゃないですし(笑)。私の場合は、限られた予算で、代官山の会社から近くて、ペット可な物件を探していたので、ものすごく選択肢が少なかったんです。だから、迷う時間も少なかった。ムッシュのおかげで考え方がブレない部分もあると思うんです」
イヌと暮らすうえでのMy3ヶ条
その1 なるべくお留守番をさせない
その2 たくさん声をかける
その3 散歩は彼が行きたい方向に進む
「すでにお話したことばかりで浮かびません!改めて考えてみても、あまり特別なことを意識している感覚も、ムッシュに自分の生活を制限されている実感もないんですよ。これからもお互いが自然体でいられるような生活を保っていきたいですね」
おわりに
しつけのコツとか、エサの栄養素に関する知識とか、イヌを飼うために学ぶべきことは少なくない。でも、お互いにとって居心地の良い空間を作れば、自然と良好な関係が保たれるのかもしれません。
“家”と向き合えば、みんながご機嫌でいられる。仲良しな伊勢谷さんとムッシュくんを見て、改めて気づかされました。
Photo_Takumi Shinoda(go relax E more) Interview & Text_Satoshi Asahara Edit_Yasushi Shinohara