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Jun 01, 2024

【トリマー執筆・監修】愛犬の肉球がガサガサに!心配な症状と原因、ケア方法について解説

プニプニの感触が気持ちいい犬の肉球は、犬の身体の中でもデリケートな部分。乾燥や拭きすぎなどさまざまな要因で荒れてしまい、ガサガサになりやすいのが特徴です。悪化するとひび割れて痛みや出血を伴うこともあるので、なるべく早く対処してあげたいですよね。

この記事では、犬の肉球トラブルの原因と主な症状、必要なケアについて紹介します。ぜひ正しい方法で肉球ケアを行い、愛犬の肉球を健康に保ちましょう。

監修者

 

石川美代子さんと猫

 

石川美代子

ヤマザキ学園大学卒業。(現:ヤマザキ動物看護大学)トリマー、犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務をはじめ、ペット保険関連業務等に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などをメインに活動中。愛犬はミニチュアダックスフンド(♀)

 

犬の肉球の仕組みと主な役割

犬の肉球

 

犬の肉球は、弾性繊維・コラーゲン・脂肪などから構成されており、弾力があります。表皮の一番上には分厚い角質層があり、地面の熱や冷気から身体を守っています。肉球ケアの方法を知る前に、まずは犬の肉球の役割について知っておきましょう。

体温調節・汗の排出

全身毛で覆われた犬にとって、肉球は唯一汗をかける場所です。面積が小さいぶん、人間のように全身の体温調節を行うのは難しいですが、肉球から汗をかけばわずかでも体温を下げられます。また、犬の肉球は動脈と静脈が並走する構造になっており、冷たい地面を歩いて静脈の血液が冷えてしまっても、すぐ隣を流れる動脈の血液に温められる仕組みになっています。この特殊な血管の配置により、犬は冷たい地面の上も難なく歩くことができ、手足の冷えから身体を守ることができます。

滑り止め・クッション

肉球には体重を支えたり、歩行時やジャンプの衝撃から足を保護したりといった役割もあります。犬の肉球には細かい突起が集まっているので、ツルツル滑る床や凍った地面でも転ばず歩くことが可能です。地面を蹴って走るときはスパイクの役目も果たしていて、ブレーキや方向転換をする際のグリップとしても活躍します。

犬の肉球トラブルに多い症状3選

ソファに寝そべる猫

 

 

日頃から地面と接触している肉球は、トラブルが起きやすい部分です。再生能力も低いので、一度トラブルが起きると完治まで時間がかかることも多いでしょう。ここでは、主な肉球トラブルとその症状について解説します。

乾燥してゴワゴワと硬くなる

足裏の水分が失われると、肉球はガサガサに乾燥します。放っておくと皮がむけたり、ひび割れたりといった症状もみられるようになるでしょう。

また、皮膚は強い刺激を受けると、内部を守ろうと更に厚く硬くなろうとします。そのため、外で飼われている犬やアスファルトの硬い地面をよく歩く犬は肉球がゴワゴワと硬くなりやすい傾向があります。

炎症によって赤みや出血がみられる

細菌や刺激によって肉球や指の間に炎症が起こると、赤みや出血がみられます。炎症によって肉球が荒れるケースは珍しくありませんが、「たいしたことないだろう」と放っておくと状態が悪くなりやすいため注意が必要です。もし犬が肉球を執拗になめ続けている場合は、皮膚炎を起こしている可能性があるため、早めに動物病院を受診しましょう。

熱や薬剤によってやけどする

熱せられた地面を歩くことで、肉球をやけどしてしまう場合もあります。犬の肉球は他の部位に比べて皮膚が分厚いものの、炎天下のアスファルトや砂浜など、あまりにも熱い道を歩かせるのは危険です。

また、冬場に撒かれることがある「凍結防止剤(融雪剤)」も、肉球のやけどの原因になります。凍結防止剤や融雪剤には塩化カルシウムという成分が含まれており、皮膚に付いたまま放っておくとやけどのような炎症を引き起こすことがあります。もし犬の足裏に薬剤が付着した場合は、水やぬるま湯でしっかり洗い流すことが大切です。

犬の肉球トラブルの主な原因3つ

伏せをする犬

 

犬の肉球トラブルを放っておくと、歩くたびに痛みを感じたり、出血してしまったりすることがあります。適切なケアを行うためにも、主なトラブルの原因を知っておきましょう。

肉球の拭きすぎ

足裏を拭きすぎると必要な油分まで取れてしまい、肉球の乾燥や炎症を引き起こします。足裏を拭きすぎてしまう人の多くは、「外の汚れを室内に持ち込まないように」「足裏は常に清潔にしておいたほうが皮膚に良い」との思いから、ゴシゴシ一生懸命こすったり、散歩後に毎回足を洗ったりする傾向があります。

しかし、あまり拭きすぎてしまうと拭き取り自体が刺激になり、かえって炎症を起こしやすくなる可能性も。足裏をキレイにするための自己流のケアが、実は肉球トラブルの原因になっているかもしれません。

季節による乾燥

温度・湿度が低い冬は、空気の乾燥で肉球がカサつきやすい時期です。肉球は常に露出している部分なので、乾燥による肉球トラブルを引き起こしやすいといえるでしょう。

また、エアコンが稼働している室内は空気が乾燥しやすいため、冬場と同じくらい肉球の水分が奪われがちです。特に老犬は加齢によって保持できる水分量が減っているため、乾燥による皮膚バリアの低下から皮膚病を起こしやすいといわれています。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎も、犬の肉球トラブルを引き起こす要因のひとつです。アトピー性皮膚炎とは、生まれつき皮膚のバリア機能が弱い犬やアレルギーを起こしやすい体質の犬に多くみられる皮膚炎を指します。

アトピー性皮膚炎の犬では、指の間のほか、顔やお腹周り、脇の下などに痒み・赤みなどの症状がみられます。原因についてはまだ解明されていないこともありますが、ほこりやダニ、花粉といった環境アレルゲンやストレス、体調不良など、さまざまな要因が重なって発症します。

今日からできる!犬の肉球をケアする方法3選

犬の肉球

 

犬の肉球トラブルの原因にはさまざまなものがあり、それぞれ対処法も異なります。もし赤みや痒み、出血などがみられる場合は動物病院を受診し、適切な治療を受けましょう。ここでは、肉球トラブル防止におすすめの肉球ケア方法を紹介します。

犬用ウェットシートで清潔を保つ

犬用ウェットシート

 

足裏や肉球の汚れは、犬用ウェットシートを使ってキレイに拭き取りましょう。汚れをそのままにしておくと雑菌が繁殖し、皮膚病や感染症のリスクが高まります。拭きすぎはかえって皮膚に負担をかけてしまうため、優しく丁寧に・手早く拭き取ってくださいね。

汚れがひどくウェットシートで取り切れない場合は、水やぬるま湯で洗い流しても構いません。洗った後は乾いたタオルで水分をよく取り、ドライヤーで完全に乾かしてあげましょう。

肉球クリームで保湿する

肉球クリームで保湿している様子

 

肉球の保護や乾燥予防には、保湿効果の高い肉球クリームを塗るのがおすすめです。クリームを適量指に取って、薄く伸ばすように塗り込んであげましょう。人のハンドクリームと同じく、一度にたくさん塗るより少量を回数多く塗るのがポイントです。

なお、人用の保湿クリームは犬にとって刺激が強かったり、良くない成分が配合されていたりしている可能性があるため、避けたほうが良いでしょう。犬の肉球ケアに使う保湿クリームは、犬用に作られた商品や「犬にも使用できる」と記載がある商品を選ぶのがおすすめです。

マッサージで血行を良くする

肉球をマッサージ

 

足裏をマッサージして、肉球の血行を良くすることも大切です。まずはリラックスしている愛犬の足を優しく包み込むように持ち、両手の親指でじっくり揉んでみましょう。肉球や指を外側に広げるようなイメージで、足1本あたり3分以内に終わらせます。

焦りがあると犬はその気持ちを敏感に感じ取ってしまうため、マッサージは飼い主さんに余裕があるタイミングがベストです。嫌がる場合は肉球を軽くさすったり、足先をそっと握ったりするだけでもOKなので、ぜひ穏やかな気持ちでチャレンジしてみてくださいね。

おわりに

犬の前足を握る手

 

犬の肉球には体温調節や汗の排出、滑り止めなど、さまざまな機能が備わっています。一方で地面と直接触れていることから、ケガや乾燥によるトラブルも起きやすいため、なにか異変はないか日々チェックしたいもの。もし気になることがあるときは、早めにかかりつけの動物病院を受診し、適切に対処しましょう。

なお、犬の肉球を健康に保つためには、日々のお手入れがなにより大切です。今回ご紹介したケア方法はどれも簡単なものばかりなので、ぜひ愛犬とのスキンシップもかねて実践してみてくださいね。