猫と暮らしていると、「この鳴き声ってどんな意味なんだろう」と気になる場面も多いもの。猫は感情に合わせて鳴き声を使い分けており、どれも違った意味があります。
今回は鳴き声から分かる猫の気持ちと注意が必要な鳴き声を紹介します。よく鳴く猫とそうでない猫の違いについても解説しているので、あわせてチェックしてみてくださいね。
監修者
石川美代子
ヤマザキ学園大学卒業。(現:ヤマザキ動物看護大学)トリマー、犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務をはじめ、ペット保険関連業務等に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などをメインに活動中。愛犬はミニチュアダックスフンド(♀)
よくある猫の鳴き声の意味9選
猫は声の高さや長さ、大きさを変えることで、自分の感情を表現しています。
主な鳴き声のパターンと気持ちを知っておけば、スムーズなコミュニケーションができるはず!ここでは、よく聞く猫の鳴き声の意味や理由について解説します。
「ニャッ」「ニャオ」挨拶・喜び
飼い主への返事や帰宅時など、軽いあいさつ代わりに使われる鳴き声です。このとき猫はリラックス状態にあり、敵意はありません。
また、好きなおやつをもらったときや、しっぽの付け根をトントンされて嬉しいときにも、「ニャッ」と短く鳴くことが多いでしょう。
「ニャーン」「クルル」要求・甘え
猫が「ニャーン」と普段より大きな声で鳴くときは、なにかして欲しいことがあるサインです。たとえば、「甘えたい」「ごはんが欲しい」「トイレをキレイにして欲しい」などですね。
「クルル」というのどを鳴らすような鳴き声も、猫が甘えたいと思っている証拠です。猫の要求には色々なものがあるため、声の高さやタイミング、しぐさなどから、猫の伝えたいことをうまく察知しましょう。
「アオーン」「ニャオォー」不満・ストレス
主に深夜や明け方にみられる鳴き声で、不満やストレスを訴えています。
よくある要因としては「遊び足りない」「お腹がすいた」「構って欲しい」など。特に若い成猫に多く、メスよりオスがよく使う鳴き声です。
「シャー」「フーッ」防御的威嚇・恐怖・不安
この鳴き声は蛇の物まねといわれており、「これ以上近づかないで」というメッセージが込められています。
自分を蛇に見せかけることで、毒がある恐ろしい存在だとアピールしているのでしょう。ネガティブな感情のサインなので、無理に構わないようにしましょう。
「ンー」「ウゥー」攻撃的威嚇・怒り
猫が口を閉じて低く唸っているときは、怒りや攻撃のサインです。「シャー」よりも好戦的な姿勢を表していて、「近づいたら攻撃するぞ!」と威嚇しています。
主にオス猫同士のケンカで使う鳴き声ですが、保護猫など人慣れしていない猫が人間に使うことも珍しくありません。
「ケケケッ」「カカカッ」興奮・歯がゆい
興奮したときや狩猟本能が刺激されたとき、猫は歯を小刻みに打ち鳴らす「クラッキング」を行います。
これは「獲物を捕まえたいのに届かない」という歯がゆさからの行動で、主に鳥や虫を発見したときや遊びの最中にみられます。
頻度はメスよりオスのほうが多く、活動的なオス猫ほど頻繁に行う傾向があるでしょう。
「ゴロゴロ」「グルグル」リラックス・満足
リラックスしている猫は、安心や満足感から「ゴロゴロ」とのどを鳴らします。
あごの下を触られて気持ち良いとき、温かいベッドで丸くなったとき、大好きな飼い主さんにだっこしてもらえたときなど、猫がのどを鳴らす場面はたくさんあります。
ときには「痛みやストレスを緩和するために出す」場合もあるといわれていますが、基本的には満足しているときに使う鳴き声と思って構いません。
「ナーオ」発情・求愛
この鳴き声は、避妊や去勢をしていない「発情期の猫」にみられます。のどをしっかり開いた野太い声で、人間の赤ちゃんによく似た声音が特徴です。
発情したメス猫はオスを惹きつけるために鳴き、オス猫はメスに応える目的で鳴き声をあげます。
「ギャッ」「ギャー」痛い・パニック
痛みやパニックを表す鳴き声です。病院で注射を打たれたり、しっぽを踏まれたりしたときに発することが多く、普段はほとんど使いません。
もし普段の生活で猫が「ギャー」と鳴いた場合は、なにかしら問題が起きているといえるでしょう。
無音の鳴き声「サイレントニャー」とは
さまざまな声を使い分ける猫ですが、特に特徴的なものに「サイレントニャー」という鳴き声があります。
サイレントニャーとは、猫の口が開いているにもかかわらず、声が聞こえない鳴き声のこと。実際に猫はしっかり鳴いているものの、普段の鳴き声より圧倒的に音域が高いため、人間はいっさい感知できません。
そんなサイレントニャーの意味は、「幸せ」「大好き」「甘えたい」など。猫の愛情表現のひとつであり、飼い主を心から信頼している証拠といえるでしょう。
なお、サイレントニャーはもともと、子猫が母猫に甘えるときに使う鳴き声であり、成長するにつれて使わなくなる猫も珍しくありません。サイレントニャーをしないからといって信頼されていないというわけではないので、安心してくださいね。
よく鳴く猫と鳴かない猫の違いって?
本来、猫はあまり鳴かない動物です。というのも、猫同士はボディランゲージやにおいでコミュニケーションを取るため、ケンカ以外で鳴き声をあげる必要はほとんどありません。
一方、人には猫同士のやり取りが通じず、感情や欲求を伝えるためには、鳴き声をあげることがもっとも有効な方法です。
おしゃべりな猫、あまり鳴かない猫など、猫種によっても鳴く頻度は違いますが、「人と共に暮らす猫は鳴きやすい」といえるでしょう。
注意が必要な猫の鳴き声3パターン
要求や心理状態をはじめ、猫の鳴き声から読み取れることはたくさんあります。たとえばケガや病気のサインであったり、ストレスの大きさだったりと、猫の鳴き声にはさまざまなサインが隠れているのです。
「愛猫の鳴き声が普段と違うな?」と感じた場合は、念のため動物病院を受診しましょう。ここでは、注意が必要な猫の鳴き声について解説します。
ギャッと鳴く
猫が「ギャッ」と鳴いたときは、ケガや病気の疑いがあります。見た目にはわからなくても、身体のどこかが炎症を起こしていたり、出血したりしているかもしれません。
なお、猫は泌尿器系の病気になりやすく、排泄時の痛みから「ギャッ」と鳴くことも少なくありません。治療が遅れると命にかかわる病気もあるため、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
鳴き声がかすれている
猫の声がかすれているときは、声帯や咽頭、神経などの異常が考えられます。
くしゃみや鼻水などの症状も出ている場合は、猫風邪をひいている可能性があるでしょう。猫風邪の場合、子猫や高齢の猫では重症化することもあるため、早急な治療が必要です。
大声で鳴き続ける
猫はストレスを感じると、大きな声で繰り返し鳴く傾向があります。ストレスの原因として多いのは、来客や家族構成の変化、引っ越し、飼い主の不在など。人への依存心が強すぎるために分離不安を起こし、少しでも飼い主が見えなくなると泣き叫ぶ猫もいます。
命にかかわる状態ではありませんが、食欲不振や元気がなくなるなどの様子が見られた場合は獣医師に相談しましょう。
鳴き声から猫の気持ちを読み解こう
猫にとって鳴き声は、「人間に気持ちを伝えるための大切な手段」です。短い・長い、低い・高いなど、バリエーションの数だけ表現したい感情があると思うと、とても可愛らしく感じますよね。
ただし、猫の鳴き声には病気のサインが隠れていることもあるため、要注意。ぜひ普段から愛猫の鳴き声をよく聞いて、ちょっとした変化にも気を配ってあげましょう。