新型コロナの終息祈願などで、今話題となっている茅の輪くぐり。昔から多くの神社で行われてきた、無病息災などを願う神事の1つです。今回は茅の輪くぐりの意味と由来、行われる時期とそのやり方などについて解説します。また、茅の輪くぐりが行われ、パワースポットとしても知られている神社も一緒に確認しましょう。
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「茅の輪くぐり」の意味と由来
茅の輪くぐりにはどのような意味や背景があるのでしょうか。まずは、その意味と由来などについて見ていきましょう。
無病息災などを祈願する神事
「茅の輪くぐり」の読み方は、「ちのわくぐり」。これは、イネ科の植物の茅(かや)を編んで大きな輪を作ったものです。その輪をくぐることで、けがれや罪から心身を清め、無病息災や厄除けなどを祈願します。
日本神話が由来
日本神話に出てくるスサノオノミコトと蘇民将来(そみんしょうらい)の逸話に由来すると言われています。備後国(現在の広島県東部)の旅路で宿を求めていたスサノオノミコトに、貧しいながらも快くおもてなしをした蘇民将来。その恩返しとして、疫病逃れのために茅の輪を腰につけるよう、スサノオノミコトが蘇民将来へ伝えました。蘇民将来が言われたとおりにしたところ、無事難を逃れたという話からきているのです。
その後、無病息災を願い、茅の輪を腰に付ける風習が広まりました。そして、時代の流れとともに輪は大きくなり、江戸時代には現在のような大きさの輪をくぐる形式になったとされています。
茅の輪くぐりの時期とやり方
次に、茅の輪くぐりが行われる時期や手順、唱えことばなどについて具体的に見ていきましょう。時期ややり方などは神社によって異なるので、お祓いをお願いしたい神社が決まったら、改めて公式サイトなどで確認してみてくださいね。
茅の輪くぐりが行われる時期
茅の輪くぐりは、6月末の「夏越の祓(なごしのはらえ)」に行われます。「夏越の祓」とは、半年分のけがれを清めるための神事。茅の輪は6月~7月の間に設置されるところが多く見られます。神社によって日程が異なるので、参拝前には必ず確認をしましょう。
半年後の年末には、1年の汚れを落とすために「年越の祓(としこしのはらえ)」が行われることもあります。ただし、やっていないところもあるため、冬場にお祓いをしたい場合は行きたい神社で行われるかの確認をしてくださいね。
茅の輪くぐりの一般的なくぐり方
茅の輪のくぐり方は神社によって異なりますが、一般的には1周目が左回り、2周目は右回り、3周目にもう一度左回りして参拝します。詳しい手順を見てみましょう。
- 1周目:茅の輪の正面に立ち一礼します。左足で輪をまたいでくぐります。左側に回って正面に戻ります。
- 2周目:また正面で一礼して、今度は右足でまたぎます。右側に回って、正面に戻ってください。
3周目:一礼してから左足でまたいでくぐり、左側に回って正面に戻ります。
お参り:一礼し、もう一度左足でまたいでくぐり、そのまま拝殿へ向かってお参りをします。
よく使われている唱えことば
茅の輪をくぐる時には、唱えことばや歌を声に出したり、念じたりしながら行います。唱えことばは神社によって異なり、説明書きをしている神社もあるので確認してみてください。
一般的な唱えことばは次の通りです。
「祓い給へ(はらえたまえ) 清め給へ(きよめたまえ) 守り給へ(まもりたまえ) 幸へ給へ(さきわえたまえ)」
次のように、1周ごとにそれぞれの歌を唱える神社もあります。
1周目:水無月(みなづき)の 夏越(なごし)の祓(はらえ) するひとは 千歳(ちとせ)の命(いのち) 延(の)ぶというなり
2周目:思ふ事(おもうこと) 皆(みな)つきねとて 麻の葉(あさのは)を きりにきりても 祓へ(はらえ)つるかな
3周目:宮川(みやかわ)の 清き流れ(きよきながれ)に 禊(みそぎ)せば 祈(いの)れることの 叶(かな)わぬはなし
気を付けたい作法
茅を引き抜いて持ち帰ることは、基本的にしてはいけないことです。しかし、お守りにできる持ち帰り用の茅を準備している神社もあるので、欲しい人は尋ねてみましょう。
茅の輪くぐりができる有名&パワースポット神社
茅の輪くぐりは、パワースポットとして有名な神社でも体験できます。最後に、茅の輪くぐりを行っていて、パワースポットとしても有名な神社を紹介します。
※新型コロナウィルスなどの影響で、実施状況が変わる場合があります。茅の輪くぐりをしに行く予定の人は、必ず各公式サイトで正式な情報をチェックしましょう。
【埼玉県】鴻神社
悪い縁を切り良い縁を招くと言われている神社の1つです。コウノトリ伝説もあり、子宝や安産祈願で有名なパワースポットとしても知られています。また、本殿の左側にあるのが、縁切りと縁結びで有名な三狐稲荷神社。ここには、天狐・地狐・人狐の三狐が祀られています。
社殿の両脇には樹齢500年以上のイチョウが並び、夫婦円満のご神木として崇められてきました。茅の輪くぐりは6月~7月に行われるので、無病息災も一緒に祈願してみてはいかがでしょうか。
【東京】大宮八幡宮
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東京の中心1万5,000坪の敷地にあり、950年以上の歴史をもつパワースポットです。応神天皇、その父母である仲哀天皇と神功皇后が祀られています。応神天皇は、皇后の胎内にいる時から力を発揮されたことでも有名。皇后は危機的状況から免れるために、応神天皇の出産を遅らせようとお腹に石を巻き付け、その後無事安全な場所で出産されたという言い伝えがあります。このことから、子育てや安産祈願をする神社として有名になりました。
茅の輪くぐりが行われるのは、6月30日の夏越の大祓です。「水無月の~」の歌を唱えながら行います。都心にありながら豊かな緑に覆われ、マイナスイオンもたっぷり。都会でお清めとパワーチャージをするのにおすすめのパワースポットです。
【京都】八坂神社
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本殿下の池には龍が住んでいるという伝説があり、龍神様のエネルギーを感じられると言われています。多くの神様が祀られており、縁切り・縁結び・商売繁盛・美容などのパワースポットとして人気です。
入口の石段を上がり西楼門をくぐると、蘇民将来を祀る疫神社があり、茅の輪くぐりでも有名です。境内には大きな茅の輪が設置され、6月30日には大祓式が行われます。
【島根】出雲大社
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出雲大社は、縁結びの神様として有名な神社の1つです。出雲大社の主祭神は大国主命(おくにぬしのみこと)で、御本殿の建物は国宝に指定されています。長さ約13メートル、重さ約4.5トンの大注連縄がある「神楽殿」でも有名。出雲大社最大のパワースポットと呼ばれている、スサノオノミコトを祀った「素鵞社(そがのやしろ)」がある御本殿裏も要チェックです。
出雲大社では、6月30日に「輪くぐり神事」と言われる夏越の大祓が行われます。一対の茅を両肩に掛け、神職が振り下ろすU字型の茅の輪を縄跳びのようにまたぐという、一風変わった形式が特徴です。
【福岡】太宰府天満宮
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学問の神様と言われる菅原道真公を祀る神社で、全国約12,000社の総本宮です。太宰府天満宮では、道真公の誕生日である7月24日と25日に茅の輪くぐりが行われます。太宰府天満宮の奥の石段を渡ると、奥の方に天開稲荷社があり、開運と幸運をもたらしてくれるパワースポットとしても注目されています。
神社で茅の輪くぐりをして、心身のけがれを清めよう
上記のように、茅の輪くぐりができる神社は全国各地に多くあります。茅の輪くぐりの意味ややり方などを覚えたら、ぜひ気になる神社まで行き、無病息災や家内安全などを祈願してくださいね。