プロの料理人が好んで用いる鉄フライパン。強い火力で食材の水分を逃すことなく加熱することから、料理が格段に美味しくなると言われている調理器具です。一方で使い方やお手入れなどが難しいとイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。こちらの記事では鉄フライパンの使用前後の手入れ方法や、使用していく上での注意点を解説しています。鉄フライパンの手入れは決して難しくはありません。料理をより美味しく、楽にする鉄フライパンを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
MOKUJI
鉄フライパンの特徴
鉄フライパンには調理スピードを早くし、料理を美味しくする効果があります。こちらの項目ではそうした鉄フライパンの持つ特徴4つを解説します。
耐久性に優れている
鉄フライパンは正しい手入れをすれば10年は使用できると言われています。長く使い続けるためには日頃の手入れが必要となります。
熱伝導が早い
鉄フライパンはテフロンやセラミックで加工されたフライパンに比べて熱伝導率が高いという特徴があります。それを活かし、チャーハンや野菜炒めなど、手早く熱を通したい料理や、食材の食感を残したい料理を美味しく作ることができます。
耐熱性が高い
鉄フライパンは耐熱性が高いので、長時間の加熱や強火調理に適しています。ハンバーグなど食材の中までじっくりと熱を通したい料理にも向いています。
熱ムラができにくい
鉄フライパンは熱が均一に伝わるので、焼きムラができにくいという特徴があります。同じフライパンで焼いていても生焼けであったり、焦げ目がついていないといったといった調理ミスが起こりにくくなります。
鉄フライパンを使い始める前の準備
鉄のフライパンは使用前に下準備をしてから使い始める必要があります。調理で使い始める前に手入れを行うことで、フライパンの焦げつきや、食品のこびりつきを防ぐことができます。
【から焼き】錆止めの塗装を焼き切る
新品の鉄フライパンには錆止めの塗装がしてあります。調理前にはこの錆止めの塗装を焼き切る「から焼き」必要があります。から焼きは以下のステップで行います。
- フライパンを強火で熱する
- フライパンの色がグレーに変化してきたら、熱が全体に行き渡るようにフライパンを傾けながら動かす
- フライパン全体の色が変わったら火を止めて、冷ます
- 素手で触れる温度まで冷めたら、食器用洗剤で洗う
- 火にかけて乾かし、冷めたら完了
【油ならし】フライパンに油を浸透しやすくする
鉄フライパンを調理に使用する前には、全体に油を馴染ませて油の薄膜を張っておく「油ならし」をしておきましょう。その後の調理で焦げつきにくくなります。油ならしのやり方は以下の通りです。
- フライパンの表面をたわしでサッと洗う
- 火にかけて表面の水分を飛ばす。
- フライパンに1/2~1カップの油を入れて熱する。
- 揚げ物を揚げるくらいまでの油の温度が上がったら、キッチンペーパーを使用して油をフライパンのフチに馴染ませる(この時、火に引火しないように注意してください。)
- 弱火にして5分間ほどそのまま加熱する。(途中でフチにも改めて油を馴染ませる)
- 火を止めて油が冷めるまで放置する
- 油をオイルポットに移し、フライパンに付いた油を調理する内側の面と、火が直接触れる外側にも塗って保管します。
- 仕上げにフライパンをサッと水洗いし、火にかけて水分を乾燥させて完成
【油かえし】食材のこびりつきを防ぐ
鉄フライパンで調理をする前は、その都度、「油かえし」をすることで、食材のこびりつきを防ぐことができます。
- フライパンを火にかけて、しっかりと温める
- 多めの油(大さじ3くらい)を入れて、加熱する
- 油をオイルポットに移す
- 調理に必要な油を加えて、調理を開始する
鉄フライパンの使用後の手入れ方法
ここまでは鉄フライパンの使用開始前の下準備について解説しましたが、ここからは調理後の鉄フライパンの手入れ方法について説明をします。鉄フライパンは使用後の手入れをしっかり行うことで、フライパンの錆や食材のこびりつきを防ぎ、長持ちさせることができます。
鉄フライパン使用後の洗い方
鉄フライパンは使用後、以下の手順で洗うと汚れを落としやすくなります。
- フライパンに残っている油や食材をキッチンペーパーでふき取る
- 食器用洗剤は使わず、お湯で流しながら、たわしでフライパンの汚れを落とす
- 水分をふき取る
- 火にかけて、フライパンの隙間に入った水分を飛ばす
- キッチンペーパーで内側と外側両方に油を塗る
- フライパンを弱火にかけて熱し、冷めてから保管する
鉄フライパンを長持ちさせる対策
鉄フライパンは手入れをすることで長く使用することができます。こちらの項目では鉄のフライパンを長持ちさせるための2つのポイントを解説します。
汚れ・焦げはしっかり落とす
使用後に食材のこびりつきや焦げつきはしっかりと洗い流すようにしましょう。洗い流す際は食器用洗剤を使用すると表面の油のコーティングを洗い流してしまうので、洗剤は使わずに洗いましょう。どうしても落ちない汚れがある場合、フライパンに水を入れて沸騰させ、汚れを浮かせてから洗うと汚れを落としやすくなります。
保管する際は内側・外側の両面に油を塗る
錆を防ぐために鉄フライパンを洗って乾かした後、油を塗って保管します。その際、調理する内側の面だけではなく、火が直接触れる外側にも油を塗って保管します。外側の部分に錆が生じると、保管する際に他のフライパンや鍋に錆が移ってしまう可能性があるので、錆の発生を防止するために外側にも油を塗るようにしましょう。
落ちにくくなった焦げつきを落とす方法
どんなに手入れをしていても、油馴染みが不足していたり、調理時の油が足りていないと焦げついてしまいます。そうした焦げつきが蓄積して、落ちにくくなった際には以下の方法で汚れを落とします。
- フライパンを熱してから焼きし、蓄積した焦げ付きを焼き切る
- スクレーパー(焦げ付きや汚れを落とすヘラのようなもの)でこそぎ落とす
- サンドペーパー(#200がおすすめ)で表面を削る
- メラミンスポンジで表面を磨く
- 「から焼き」と「油ならし」を行って完了
鉄フライパンを選ぶ際のポイント
鉄のフライパンを選ぶ際には、使い勝手の良さや自分の好みに合わせて、以下のようなポイントに注意して選びましょう。
フライパンの厚さをチェックする
鉄フライパンは調理するメニューによっておすすめの厚さがあります。
薄めの鉄フライパン
野菜炒めやチャーハンなど手早く火を通すメニューに向いています。
厚めのフライパン
ハンバーグやチキンソテーなど中までじっくり火を通すメニューに向いています。
持ち手の素材
商品によって持ち手も様々です。以下に記載する特長を参考に、実店舗で購入する際は実際に持ってみて、手に馴染むものや持ちやすいものを選ぶようにしましょう。
金属製
フライパンの調理部分とひと続きになっている鉄製の持ち手や、持ち手がステンレスに切り替わっているものがあります。耐久性に優れているので、長持ちするフライパンを探している場合は鉄製の持ち手のものがおすすめです。
木製
持ち手の部分が木製の場合、手になじみやすく、熱が伝わりにくいです。初めて鉄フライパンを使用する人には持ちやすい素材です。
樹脂製
多くのフライパンや鍋の持ち手として使用されている樹脂製の持ち手は、熱が伝わりにくく、重量も軽いので扱いやすいです。
IH対応かガス火対応かをチェックする
使用する調理コンロに合わせて鉄フライパンは選ぶようにしましょう。最近はIH対応の鉄フライパンも多く販売されています。IH対応の鉄フライパンを購入する際は以下の点に注意して選ぶことをおすすめします。
◆しっかりと熱が伝わるように底が平らであること(丸みがないもの)
◆IHコンロの機能上、「から焼き」ができない可能性があるので、錆止め除去が不要であると便利
しっかり手入れして鉄フライパンを使いこなそう
手入れをしていくことで長く使い続けられる鉄フライパンは、フライパンそのものを育て、愛着を持って長く使い続けることができます。今回解説した手入れ方法や注意点を参考に、食材の良さを引き立たせた料理を作ることができる鉄フライパンを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。