せいろ(蒸籠)は水分が失われないまま食材を加熱できるため、食材をふっくら、しっとりとした食感に仕上げることができます。家庭で使用できる大きさも売られていて、自宅で蒸し料理を楽しむことができます。しかし、あまり馴染みがないことから、せいろを使うのは難しそうと感じている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、初めての人が安心してせいろを使うためのガイドをまとめました。せいろを使ったおすすめ食材も取り上げていますので、ぜひ試してみてください。
せいろ(蒸籠)とは?せいろの種類と選び方
せいろは、古くから使われている蒸し器です。せいろは多種多様な材質や大きさがあり、それぞれ特徴が異なります。
【材質別】せいろの種類
せいろの主な材質は竹、杉、檜(ヒノキ)です。竹のせいろは、3つの材質のなかで価格と強度のバランスに優れています。価格と耐久性の両方を重視したいのなら、竹のせいろが良いでしょう。杉のせいろは、強度は竹より劣りますが価格が手ごろです。杉特有の香りが食材に移って風味が豊かになるため、香りを重視したい人にもおすすめです。檜のせいろは3つの材質のなかで特に強度と耐久性に優れています。その分高価な製品が多いです。
せいろのサイズと選び方
せいろのサイズは、直径15cmから30cmくらいまでの大きさが販売されています。サイズによって一度に調理できる量が変わるため、使用シーンや人数に応じて適切なサイズを選びましょう。1人用なら15cm~20cm、2人用なら21cm~24cm、3人以上用なら25cm以上のサイズが適しています。
せいろの基本的な使い方
続いて、せいろの基本的な使い方について、準備から具体的な使用手順、蒸し方のコツ、そして注意点を解説していきます。
せいろを使い始める前にする準備
せいろを買ってはじめにするのが空蒸しです。空蒸しとは、せいろに食材を入れないで空のまま蒸すことを指します。空蒸しにはせいろの木の匂いを和らげる効果や食材の匂いがせいろに移りにくくなる効果があります。
空蒸しのやりかたは、まず鍋のお湯が沸騰したら空のせいろを乗せます。後はふたを被せて15分ほどそのままにしておきましょう。15分経ったら水でさっと洗って小さなゴミやホコリなどを落として完了です。
せいろを使う手順
せいろは基本的に、以下の手順で食材を蒸します。
1.鍋の熱でせいろが焦げ付かないようにするため、せいろ全体を水で濡らしておく
2. 鍋に水を入れて沸かす
3. お湯が沸くまでに、せいろに食材を入れて準備しておく
4. お湯が沸いて蒸気が上がってきたら、鍋にせいろを乗せる
5. せいろにふたを被せたら、火加減はやや強めの中火にする
具材によって蒸し時間は異なります。蒸し上がったかどうかは、竹串などを刺して確認するとよいでしょう。
蒸し方のコツと基本テクニック
せいろを使って美味しく調理するためには、蒸気の通り道を作ってあげるのがコツです。蒸気が均等に食材に行き渡ることで、全体が均一に蒸し上がり、美味しく仕上がります。食材をせいろの中に置く際には少しで良いので間隔を空けて配置するようにしましょう。食材がギチギチに詰まった状態では蒸気が流れづらくなります。
せいろを使う際の注意点
せいろを使う際には、いくつかの注意点があります。注意点を守って安全にせいろを使いましょう。また、決まりを守って使用すると、せいろの寿命を延ばすことにもつながります。
重ねる順番に注意
せいろを重ねる際には、下段に火の通りにくいもの、上段に火の通りやすいものを入れると良いです。蒸気が各食材に均等に行き渡り、全ての材料が均一に加熱されます。火の通りにくいものを上段に置くと、蒸気の温度が低くなり、食材の調理時間が長くなってしまうため、結果的に蒸し具合が不均一になることがあります。
例えば、野菜と肉を同時に蒸す場合は、肉を下段に置き、野菜を上段に置きましょう。食材をしっかり蒸すには、食材ごとの火の通りやすさを考慮して重ねる順番を決めることが大切です。
空焚きに注意
せいろを使う際には空焚きに注意しましょう。鍋のお湯が空のまま火にかける空焚きをしてしまうと、鍋底やせいろ自体が焦げてしまう可能性があります。最悪の場合、せいろが燃えてしまう危険性もあるので注意しましょう。
蒸し時間が長くなる場合、せいろを使っている途中で鍋の中のお湯の量が減ってしまうことがあります。お湯が少なくなってきたと感じたら、熱湯を足してください。
せいろの使い方Q&A
ここでは、せいろの使い方に関するよくある質問と回答をまとめました。せいろの使い方に迷った人は、ぜひ参考にしてください。
せいろの底には何か敷くべき?
せいろの底には何かを敷くことをおすすめします。底に何も敷かず直接具材を置くことも可能ですが、クッキングシートや蒸し布を敷くと油汚れが付いたり、具材がくっついたりするのを防げます。特に肉や魚といった油分が多い食材を蒸す際はシートを敷くと良いでしょう。シートのほかには、キャベツなどの葉物野菜を敷いても、同じ効果が得られます。
せいろを重ねるのは何段まで?
一般的な家庭で使用するせいろの場合、重ねるのは多くても3段までにしましょう。せいろを重ねすぎると、上の段に十分な蒸気が行き渡らず、食材を均等に蒸すことが難しくなります。また、重ねる段数が増えると重量のバランスが悪くなり、せいろが倒れる可能性があって危険です。
せいろと鍋のサイズが合わないときは?
せいろと鍋のサイズが合わないときは、蒸し板を使いましょう。蒸し板とは、鍋の底に置いて蒸気を均一に分配するための板です。蒸し板をすれば鍋とせいろのサイズが異なる場合でも、安全にせいろを使うことができます。鍋とせいろの間に蒸し板を挟むことで、せいろが焦げたりバランスを崩して倒れたりするのを防いでくれます。
せいろの手入れ方法
せいろを長く使うためには、適切なお手入れが欠かせません。せいろの洗い方や保管方法、長持ちさせるコツについて詳しく解説します。
せいろの洗い方
せいろの洗い方について、まずせいろを洗う際にはお湯で湿らせた布を使って軽く拭くことが基本です。洗剤を使うと、洗剤の成分がせいろの材質に浸透するおそれがあります。もし油や汚れが気になる場合は、 たわしやスポンジを使ってぬるま湯洗いをしましょう。ぬるま湯で洗ったあとは陰干しをしてしっかり乾燥させます。
シンク周りにこれ1本 棕櫚キッチンブラシ ロングせいろの保管方法
せいろは風通しの良い日陰に置いて保管します。湿気が多い場所や汚れた状態で保管すると、カビ発生の原因になります。直射日光が当たる場所で乾かすとヒビが入るおそれがあるので、必ず日陰干しをしましょう。
しばらくせいろを使わない場合は新聞紙に包んで保管します。通気性の悪いビニール袋や密閉容器で包むと湿気がこもり、カビの原因となるので注意が必要です。
せいろを長持ちさせるコツと寿命
せいろを長持ちさせるには、湿気に十分気をつける必要があります。せいろは自然素材でできているため、カビが発生しやすいです。使い終わった後は水をよく切り、しっかり乾燥させることが重要です。せいろを使い終わった直後は湿気を多く含んでいます。
せいろの寿命は材質によって異なりますが、竹や杉で作られたせいろは一般的には2年から3年が目安です。
おすすめの蒸し食材3選
最後に、せいろを使って手軽に調理できるおすすめ食材の紹介です。せいろは素材が持つ味を引き出し、ふっくらとした食感に仕上げます。また、食材の旨味を逃さずに調理できます。
お米
お米をせいろで蒸すと、ふっくらと美味しい炊きあがりになります。お米の粘りや弾力、風味がしっかりと引き出されるため、冷めても美味しく食べられます。お米はしっかりと吸水させてからせいろで蒸しましょう。じっくり吸水させてから蒸すと均一に火が入り、食感が良くなります。
また、冷やご飯や冷凍ごはんの温め直しにもおすすめ。炊飯器で炊くのとは違う食感を楽しめます。
ベーグル
ベーグルもせいろで蒸すと、オーブントースターで焼いたときとはひと味違った美味しさになります。せいろの中で蒸気をめいっぱい吸ったベーグルはしっとり、もちもちとした食感になります。冷凍してあるベーグルも、解凍せずそのまませいろで蒸して問題ありません。
卵
せいろを使うと、ゆで卵とはまた違う美味しさの蒸し卵が作れます。作り方は簡単で、冷蔵庫から取り出した卵をそのまませいろに入れて蒸すだけです。蒸し上がったらやけどに気をつけながら、氷水にすぐ漬けて冷やします。せいろで蒸す卵は、ゆで卵と同様に時間によって黄身の固さを調節できます。ぜひ自分好みの固さを探してみてください。
せいろを使いこなして食材を美味しく調理しよう
本記事では、せいろの使い方ガイドとおすすめ食材について詳しく解説しました。せいろは一見取っつきにくい調理器具に思えますが、蒸し上がったらそのまま食器として使える手軽さも持ち合わせています。肉や魚は蒸すと油が落ちるので、ヘルシーな調理法ともいえます。ぜひ、この記事で学んだポイントを実践して、ご家庭で美味しい蒸し料理にチャレンジしてみてください。