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Nov 28, 2023

地域別お雑煮の特徴を解説 お雑煮は地域によってこんなに違う!

日本のお正月といえば「お雑煮」を思い浮かべる人は多いと思いますが、実はお雑煮は、地域によって味付けや具材が大きく異なることをご存知ですか?この記事ではお雑煮の地域ごとの特徴を紹介します。インパクトのある変わり種のお雑煮も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

お雑煮の地域別に異なるポイント3つ

お餅の入ったお雑煮

 

日本の伝統的なお正月料理の一つである「お雑煮」はレシピや味付けは地域によってさまざまです。お雑煮の種類はよく知られるものだけでも、100種類を超えるといわれています。こちらではお雑煮の地域別に異なるポイントを「お雑煮の汁」「お餅の形」「お餅の加熱方法」の3つに分けて紹介します。

【お雑煮の汁】東日本は醤油ベース、西日本は味噌ベース

お雑煮の汁を大きく分けると、東日本では醤油ベースのすまし汁、西日本では味噌ベースの汁というのが一般的です。関西地区では、お雑煮の発祥地である京都の食文化の影響を受け、白味噌を使う風習が広がったといわれています。ただし関西地区でも日本海側や山間部では赤味噌を使うこともあるようです。一方関東地区では、武家文化の影響で、醤油ベースに変化したといわれています。なぜなら、味噌は武家文化で失敗を意味する「ミソをつける」という言葉を連想させるとして避けられたからです。西日本でも関西から離れるほど、味噌ベースではないお雑煮が見られます。

【お餅の形】東日本は角餅、西日本は丸餅

東日本は角餅、西日本は丸餅

 

お雑煮のお餅の形を大きく分類すると、東日本は「角餅」、西日本は「丸餅」に分けられます。昔は日本全体で「角が立たず円満に過ごせますように」という願いを込めて、丸餅が使われていました。しかし江戸時代に入ると江戸周辺で効率的に作れる角餅が広がっていったといわれています。人口の多い江戸では、一つひとつ手で作る丸餅よりも、のし餅を切るだけでたくさんできる角餅が効率的だったのです。一方、西日本には角餅の文化が伝わらなかったため、丸餅が根付いていったとされます。

【お餅の加熱方法】東日本は焼く、西日本は煮ることが多い

焼いて膨らんだお餅

 

お雑煮のお餅を加熱する方法も地域によって違いが見られ、大きく分けると、東日本はお餅を焼く、西日本はお餅を煮ることが多い傾向にあります。ただし中部地方では「角餅を煮る」地域も多いようです。理由は諸説ありますが、白い角餅は「城」を連想させるため、「城を焼くのは縁起が悪い」とされたといわれています。また九州や四国でも「丸餅を焼く」地域も存在し、お餅の加熱方法はその地域によって様々です。地域ごとのお雑煮の汁の味わいに合う加熱方法を、先人たちが工夫を重ね、それぞれの伝統が生まれたのでしょう。

地域別のお雑煮紹介

お雑煮マップ

 

ここまで紹介したように、お雑煮はそれぞれの地域の歴史や伝統によって、具材や調理方法、味付けが異なります。この項では地域ごとのお雑煮の特徴と、代表的なお雑煮の種類を紹介します。

北海道のお雑煮

北海道のお雑煮

 

北海道のお雑煮は種類が多く特徴もさまざまですが、鶏ガラ出汁のすまし汁に、焼き角餅を入れたお雑煮が多く見られます。鶏ガラ出汁のすまし汁は、砂糖を加えて調理するため、少し甘みがあるのも特徴です。具材は大根や人参、椎茸、ごぼうなどたくさんの野菜を入れます。さらに「ツト」と呼ばれる、切り口が「つ」の文字になったナルトの一種を入れる家庭もあります。

東北地方のお雑煮

東北地方では、鶏ガラや海鮮で出汁を取った醤油仕立てのすまし汁に、焼き角餅を入れたお雑煮が多く見られます。ただし山形では、「角餅を煮る」「丸餅を焼く」、などさまざまスタイルが混在しています。具材は「セリ」「三つ葉」などの山菜や、「アワビ」「イクラ」などの海鮮を利用する家庭が多く、豊かな自然から得られる食材が魅力です。

【岩手県】くるみ雑煮

【岩手県】くるみ雑煮

 

くるみ雑煮は、醤油仕立てのすまし汁に、焼き角餅を入れたお雑煮です。具材は人参や大根、ごぼう、焼き豆腐など具沢山。鮭やイクラ、アワビなどの豪華な海鮮を入れる家庭もあります。餅を別皿に用意した「くるみダレ」を絡めて食べるのが特徴です。

関東地方のお雑煮

関東地方のお雑煮は、かつお節や昆布などで出汁を取った醤油仕立てのすまし汁に、焼いた角餅を入れたものが一般的です。具材は同じ関東でも地域によってさまざま。とくに東京都はさまざまな地域の文化が集まっており、同じ都内でも何種類ものお雑煮の種類が見られます。

【東京都ほか】関東雑煮

【東京都ほか】関東雑煮

 

関東雑煮は、醤油・みりんをしっかりと効かせたすまし汁に、焼き角餅を入れたお雑煮です。具材は鶏肉や人参、椎茸、三つ葉、小松菜、かまぼこなど、地域や家庭によってさまざま。あっさりとしている一方で深いコクもあるお雑煮で、多くの家庭で愛されています。

中部地方のお雑煮

中部地方のお雑煮もかつお節や昆布などで出汁を取った醤油仕立てのすまし汁が多く見られます。餅は角餅と丸餅どちらを使う地域もあり、とくに「石川県」「福井県」「岐阜県」では県内でも両者が混在しているようです。八丁味噌のイメージが強い愛知県でも、お雑煮はすまし汁が主流なのは、意外ですね。

【新潟県】親子雑煮

【新潟県】親子雑煮

 

親子雑煮は、鮭とイクラを入れた豪華なお雑煮。汁は醤油仕立てのすまし汁、餅は焼いた角餅です。鮭とイクラの他にも、鶏肉、大根、人参、三つ葉などたくさんの具材を使っており、見た目が華やかなのが特徴です。

関西地方のお雑煮

関西地方のお雑煮は、白味噌仕立ての汁が主流ですが、大阪ではすまし汁の家庭も多い傾向にあります。餅は丸餅を煮込むことが多いですが、焼いてから煮込む家庭もあるようです。

【京都府】白味噌雑煮お雑煮

【京都府】白味噌雑煮お雑煮

 

白味噌雑煮は、白味噌を使った濃厚な味わいのお雑煮です。一般的には煮込んだ丸餅が入っています。丸いのは餅だけでなく、人参や大根などの具材も角を落として丸く切ります。丸い形には「円満である」「角が立たない」などといった願いが込められているのです。

中国・四国地方のお雑煮

中国・四国地方のお雑煮は、あご出汁やかつお出汁を効かせたすまし汁や、白味噌ベースの汁が混在しています。餅は丸餅を煮込むことが一般的ですが、高知県では角餅を煮込む家庭もあるようです。

【香川県】あん餅雑煮

【香川県】あん餅雑煮

 

あん餅雑煮は白味噌ベースの汁に甘いあんこ入りの丸餅を入れたお雑煮です。具材は大根、人参とシンプルで、「今年一年円満でありますように」という願いを込めて、丸い形に切ります。白味噌のまろやかな塩味とあんこ甘さは相性抜群。あん餅雑煮は他県には見られない、香川ならではの味わいです。

九州地方のお雑煮

九州地方のお雑煮は、すまし汁に丸餅を入れるのが一般的。また地域それぞれで出汁に特徴があるのがポイントです。たとえば福岡では「あご出汁」や「スルメ出汁」、鹿児島では「焼き海老出汁」など、地域の食材を活かした出汁が工夫されています。

【熊本県】納豆雑煮

【熊本県】納豆雑煮

 

個性たっぷりのお雑煮として紹介するのが、熊本県の山鹿市周辺で食べられている納豆雑煮です。納豆雑煮は、昆布やするめいかの出汁を効かせた醤油ベースの汁に、丸餅、人参、椎茸、里芋などが入っています。なんといっても特徴的なのが、砂糖混ぜ合わせた納豆をお餅と絡めて食べること。納豆に砂糖を絡めることで、納豆の臭みが和らぐため、納豆が苦手な方も食べやすく感じますよ。

沖縄はお雑煮ではなく「中身汁」や「イナムドゥチ」

「中身汁」や「イナムドゥチ」

 

沖縄ではお雑煮を食べる習慣がないため、代わりにお正月には「中身汁」や「イナムドゥチ」を食べる習慣があります。中身汁は、豚の内臓(モツ)をかつお出汁や豚出汁で長時間煮込んだすまし汁。見た目に驚く方も多いと思いますが、あっさりと食べやすく、深いコクも感じられます。イナムドゥチとは豚出汁を使った白味噌仕立ての味噌汁。豚肉や椎茸、かまぼこ、こんにゃくなど具沢山であるのが特徴です。

おわりに

お雑煮

 

このように日本各地のお雑煮には、地域ごとに特徴があり、その土地ならではの伝統や食文化を知ることができます。また、お雑煮一つでも多くの種類があることから、日本の食文化が多彩であることがわかります。こちらでご紹介した中で食べてみたいお雑煮があったら、来年のお正月にぜひ味わってみてはいかがでしょうか。きっとお雑煮の新たな魅力を発見できますよ。