すっかり寒くなり温かい料理が恋しくなる季節となってきました。寒い時の定番といえばお鍋を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。鍋と一口に言えど、味のバリエーションはさまざま。近年ではいろんな味の鍋つゆが発売されています。
もっと鍋を非日常でワクワクする存在にしたいという想いから、株式会社Mizkan(以下ミツカン)が初めて外部に監修を依頼した鍋つゆが登場しました。今回はミツカン社員で監修鍋つゆを企画した・笹井さんにその鍋つゆの深い味わいの理由から製作秘話、さらにはおすすめの鍋の具材や最後のしめまで教えてもらいました。
MOKUJI
ラーメン2大名店の監修鍋つゆがすごい!
今回ミツカンが監修を依頼したのは、毎日のように行列が絶えない2大名店、札幌味噌拉麺専門店けやきと中華蕎麦とみ田。それぞれの名店の特徴を表現した鍋つゆとは一体どういったものなのでしょうか。
札幌味噌拉麺専門店けやき監修 札幌味噌鍋つゆ
1999年11月のオープン以来、札幌すすきのの激戦区で長年愛される名店「札幌味噌拉麺専門店 けやき」。<五感に訴える一品料理としてのラーメン>をテーマに掲げ、豚のゲンコツや背脂、新潟産の鶏、野菜やシイタケなどを丁寧にブレンドしたスープを提供しており、骨の状態に応じて再度必要な部位の骨を足してスープのクオリティを維持しています。
「札幌味噌ラーメン」の味わいを再現した鍋つゆは、深みのあるコク深い味わいが特徴。じっくり煮込んだ豚骨と鶏がらスープに2種類の味噌をバランスよくブレンドし、鶏油の香ばしい風味と野菜の甘味が加わっています。
中華蕎麦とみ田監修 濃厚豚骨魚介鍋つゆ
2006年6月に千葉県松戸市にオープンした「中華蕎麦とみ田」は、超濃厚な豚骨魚介スープを得意とする名店です。こだわり抜かれた「超濃厚豚骨魚介スープ」は、20時間以上煮込んだ凝縮スープで、濃厚ながらも上品な味わいで、柚子の香りがアクセントになっています。
この名店が監修した鍋つゆ、「中華蕎麦とみ田監修 濃厚豚骨魚介鍋つゆ」は、じっくり煮込んだ豚骨スープに宗田鰹、鯖、煮干しの3種の魚粉を加えたことで、コクがあり濃厚な味わいになっているのが特徴です。これらの特徴的な味わいが、鍋つゆとして楽しめる、唯一無二の一品となっています。
ミツカンが初挑戦!監修鍋つゆに至るまで
ミツカンにとって初めての試みだという、監修鍋つゆシリーズ。この商品の開発に至るまでにどういった想いがあったのでしょうか。
もっと非日常感やワクワクを鍋に
ミツカンの今年のテーマは鍋のエンタメ化。定番の鍋だからこそ、いつもと違った味わいと非日常感を届けたいという想いがあります。
「コロナ禍から開放されて暗い気持ちから明るい気持ちに世の中がシフトしてきています。その一方相次ぐ値上げで、食のハズレはひきたくないといった気持ちが強く、ジレンマが生じていると思います。鍋は家庭において食べる機会が増えれば増えるほど日常的になってしまうメニューですが、だからこそもっと非日常感やワクワク感を感じて欲しいというのが大前提にあります」
欲が深い食べ物×ヘルシーな鍋
元々はお酢のメーカーとして始まったミツカン。健康的な商材を扱うミツカンだからこそ、ギルティでワクワクする欲深い食べ物ってなんだろう、という着想でたどりついたのがラーメンの鍋つゆでした。
「ラーメンって外食のイメージが強いですよね。そのラーメンを鍋つゆにしたら、非日常感・ワクワク感を演出できるんではないかと。ただ味の予想がつかないものだと手に取りにくいので、ある程度、味に予測がつきそうなものがよかったんです。」
「最近はいろんなものが値上がりしていますよね。消費者からしたら鍋は具材をたくさん詰め込むので、失敗したくないというのが根底にあります。いつものものだと飽きてしまう。ただ<予想はできるけど今までになかった>といったちょっとした非日常感を感じられるのはラーメンなんではないでしょうか。」
大好きなラーメン店にアタック
ラーメンと鍋つゆを掛け合わせるにあたって、まず特徴を出しやすい味はなんだろうと考え始めたといいます。その中で鍋つゆとなったときにも特徴を出しやすい豚骨と味噌に味を絞ったとのこと。
「味噌・豚骨はどこだろうと考えた時にすぐに頭に浮かんだのが、今回監修をお願いしたとみ田さんとけやきさんでした。元々自分が両店のファンで、スープや麺に対するこだわりを感じていました。ミツカンは味わいの深さに自信をもっています。監修をお願いするなら一緒に味を追求してくれるようなお店さんとやりたかった。ここならば!というところで声がけさせていただきました。単純にラーメン×鍋つゆではない、こだわりの鍋つゆを目指しました。」
こだわりが詰まった・味の開発と工夫
それぞれラーメンとしてのこだわりを持つ監修店と、鍋つゆとしての味わいにこだわるミツカン。それぞれの強みが活かされて完成した鍋つゆの裏側には様々な努力があったようです。
こだわりの掛け合わせ
「今回監修をお願いしたのはラーメン店なので、食べた時の最初のインパクトを大切にされています。もちろんミツカンの鍋つゆも食べた瞬間の味は大切にしています。しかしラーメンは塩味が強いため、鍋つゆをそこと同じ基準にしてしまうと最後まで食べきれず途中で飽きてしまいます。」
「私たちは鍋にした時に最後まで美味しく食べられるというところを目指しています。ただラーメンスープ、となると監修店側にとっては物足りなさがあったようです。もう少し濃くして、醤油を増やして、塩を増やしてといった意見が出てくる中で、具材を入れて鍋として完成させた時の味わいや、監修店らしさをどう表現したか伝えることで、お互い納得する味に近づけていきました。」
と話す笹井さん。監修店にサンプルスープを持っていく時は鍋つゆならではの持っていき方があるのだとか。
「監修店に持っていく時は具材を入れた状態で6種類くらいのサンプルを出します。監修先はやはり味のプロなので、一口食べて気になったサンプルは、具材の旨味が溶け込んだときの味わいの変化をみているのか、全部食べ続けます。案の定評価が高いものは食べ続けた鍋のスープです。気に入らないスープは一口飲んだ瞬間で判断されてしまいます。」
札幌味噌拉麺専門店けやきのこだわり
「 けやきさんのスープは、味噌だけでなく野菜や魚醤の複雑な旨味などいろんなものが複合されて旨味ができています。ぜひパッケージの裏面を見てみてください。」
「原料で野菜の甘みを出そうとするとどうしても表面的な甘みになってしまって、どうすれば自然な甘みを出せるのか悩みました。そんな中、鍋の具材として玉ねぎを入れることで自然な甘さが引き出されることに気付き、結果としてけやきさんの思い描く野菜の甘みが入り込んだスープを表現することができました。まさしく一緒に煮ることができる鍋だからこそできたスープです。玉ねぎを入れた鍋を実食した時にこれだ!と盛り上がりました。ぜひ裏面に書いてあるレシピを試してみてください。」
中華蕎麦とみ田のこだわり
「とみ田さんのスープは魚粉の旨味と豚骨の旨味の両方のバランスがいいのが特徴です。鍋つゆを作る時もインパクトがありながらも魚粉・豚骨のいい塩梅を探し出したいと常々考えていました。サンプルスープをとみ田さんに持っていく時もいろんな比率でブレンドしていく中で、双方が納得できるスープになりました。」
それでもラーメンならではの味わいとのバランスに苦労をしたといいます。
「やはり苦労したのは、かえしのインパクトのある味わいですね。醤油量を増やそうとすると鍋つゆとしてはキツくなってしまう。意見を出し合って醤油量のバランスをとりました。」
ミツカン独自の指標・ベロメーター
開発にあたって何度も監修店に足を運び、打ち合わせが終わるたびにラーメンを食べて帰ったという笹井さん。鍋つゆにするにあたって、ミツカン独自の判断基準や指標などはあるのでしょうか。
「スープまで美味しく飲めることが根底にあるので、鍋つゆの塩分濃度の数値化をして、基準値を決めています」
また、鍋の実食は複数人で食べてディスカッションをするそう。
「開発の中ではベロメーターと呼んでいます。原液を飲んで正解ではありません。やはり鍋なので具材を煮込んだ上で、具材を一旦抜いてからスープだけ飲んで味としてどうなのかを判断します。」
監修店との打ち合わせ終わりにそれぞれの店のラーメンを実食し、スープの味を確かめることで、追い求める味をクリアにしていったとのこと。時には夜9時から試食会を始めることもあったそうです。何百種類のブレンドサンプルを食べることを繰り返して、こだわりの鍋つゆが完成しました。
鍋つゆだからこそ具材を入れた時の味わいを大切に
具材の旨味が溶け出すお鍋だからこそ、入れる具材にはこだわりたい。ただ具材を入れすぎてしまって味がぼやけてしまった経験がある人は多いはず。
「ベースとなるスープはもちろん、一番合う具材や量も一緒に考えて作りました。素材から出る水分量はそれぞれ具材によって違います。実際に食べていただく消費者が満足いただける具材量で、味わいが薄くなってしまわないベストの素材量をグラム単位で考えました。」
お店の顔が見える鍋つゆにしたい
笹井さんが裏コンセプトに掲げていたのが「人の顔が見える鍋つゆ」。監修店が、こだわりを持って監修していることが見えるようにしたかったとのこと。そのこだわりは、味だけでなくパッケージデザインなど細部にもあらわれています。
「ただミツカンの鍋つゆにラインナップが増えました、というのだけではなく商品の奥行きを出したかったんです。だからこそパッケージも屋号だけでなく、できるだけ店の情報をいれました。」
「今回監修店の力を借りて、より美味しい・より品質のいい鍋つゆを開発できました。だからこそ、ミツカンとしてけやきさん・とみ田さんをより多くの人に知って欲しい。この鍋つゆを起点に興味をもって各お店に足を運んでいただけるようになればいいなと思います。」
ミツカン社員に聞いた!監修鍋つゆのおすすめレシピ
そんなこだわりの鍋つゆ、「札幌味噌拉麺専門店けやき監修 札幌味噌鍋つゆ」と「中華蕎麦とみ田監修 濃厚豚骨魚介鍋つゆ」。それぞれの鍋つゆを美味しく食べられるおすすめのレシピ・具材を知りたい!ということで聞いてみました。
監修鍋つゆにおすすめの具材
「どんな具材・量でも監修店さんの味わいはそのままで、最後まで美味しく食べれるようにこだわりを持って味の設計はしています。お好きな具材で楽しんでくださいね。
秋冬は白菜がよく出てくるし、白菜から旨味が出る。美味しいのはわかっています。ただ白菜は消費者の方によっては入れる量に大きなばらつきがでるので、水分量が大きく変わってしまいます。おすすめのレシピを記載しているのは、より監修店らしさを感じられるようにしているのでそちらも試してみてくださいね。」
札幌味噌拉麺専門店けやき監修 札幌味噌鍋つゆのおすすめレシピ
【材料:4人分】
- 豚バラ肉 薄切り300g
- キャベツ1/4個(300g)
- にんじん1/3本
- 長ねぎ1本
- しめじ1袋(100g)
- たまねぎ1/4個
- にら1/2束(50g)
- 札幌味噌拉麺専門店けやき監修 札幌味噌鍋つゆ 1袋
【作り方】
- キャベツは一口大に切る。にんじんは短冊切りにする。長ねぎは斜め切りにする。しめじは石づきを落として小房に分ける。たまねぎは薄切りにする。にらは5cm幅に切る。
- 鍋に「札幌味噌拉麺専門店けやき監修 札幌味噌鍋つゆ」を入れ、よくかき混ぜながら煮立てる。1と豚バラを鍋に入れ、火を通して完成。
中華蕎麦とみ田監修 濃厚豚骨魚介鍋つゆのおすすめレシピ
【材料:4人分】
- 豚バラ肉 薄切り300g
- キャベツ1/4個(300g)
- にんじん1/3本
- 長ねぎ2本
- しめじ1パック(100g)
- 水菜1/4袋(40g)
- 中華蕎麦とみ田監修 濃厚豚骨魚介鍋つゆ1袋
【作り方】
- キャベツは一口大に切る。にんじんは短冊切りにする。長ねぎは斜め切りにする。しめじは石づきを落として小房に分ける。水菜は5cm幅に切る。
- 鍋に「中華蕎麦とみ田監修 濃厚豚骨魚介鍋つゆ」を入れ、よくかき混ぜながら煮立てる。1と豚バラを鍋に入れ、火を通して完成。
しめはやっぱりラーメン?
ラーメン店監修であるのでタブーということはわかりつつ、おすすめのしめを教えてもらいました。
「もちろんおすすめのしめはどちらの麺つゆもラーメンです。ただ、けやきさんはチーズリゾットにするのもおすすめ。味噌とチーズの相性は抜群ですよ。とみ田さんは雑炊にするとダイレクトにスープを最後まで楽しめます。」
今後の展開を教えてもらいました
そんなこだわりの詰まった監修鍋つゆ。9月からは同じシリーズで豆腐を楽しめる豆腐スープが発売されました。そんな監修鍋つゆを含めたミツカンの今後の展開を教えていただきました。
一人でも楽しめる豆腐シリーズ
「実は最初に監修の構想が浮かんでいたのは豆腐なんです。豆腐って安価で健康価値が高いので、時代背景とあっていますよね。豆腐バーや豆腐スープなどたくさんの選択肢がある中で、豆腐と新しい価値を組み合わせられないかなと。また、ひとりで鍋を楽しむってなると具材を揃えたりするのも大変かなと思っていました。豆腐という健康的なものと、ギルティなラーメンを掛け合わせることで消費者の方のワクワク感が高められないかなと思っていました。」
今後も監修シリーズを考えています
「鍋つゆっていろんな選択肢がある中で、いつものように食事をすることがつまらなくなってしまうことも。ミツカン、監修店の味のこだわりを掛け合わせてワクワク感なおかつ美味しいを継続しながらお客様に届けていければと思っています」
こだわり尽くした鍋つゆを楽しんで
冬の訪れと共に恋しくなるお鍋。また手軽にできるからこそ、シーズンに何度も鍋をするという人も多いのではないでしょうか。だからこそ外したくない、もっと楽しみたい。そんな思いに応えた「札幌味噌拉麺専門店けやき監修 札幌味噌鍋つゆ」「中華蕎麦とみ田監修 濃厚豚骨魚介鍋つゆ」。
今回はその魅力と共に開発秘話、おすすめのレシピまで紹介しました。ミツカンおすすめの具材・分量でもぜひお試しください。しめまでしっかり楽しめる、楽しみたくなる鍋つゆで、冬の美味しさを味わってみてくださいね。
取材協力:ミツカン