数あるスーパーマーケットのなかでも、年々注目度を増している業務用スーパー。SNSで購入品口コミのためのタグがあったり、テレビでも大きく特集される機会が増えました。その一番の魅力は、一般のスーパーと比べて低価格であること。でも、量が多かったり、見たことがないメーカーの製品もあったりすることで、使い所を悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
そんな不安を抱える皆さんのために、今日も”家政婦マコ”が立ち上がります。家政婦としてたくさんの料理を作り置きするとき、業務用スーパーを利用することも多いというマコさん。最強の家政婦の経験を生かした、商品選びのポイントや保存方法などをレクチャーしてもらいましょう。
MOKUJI
- 1 教えてくれるのは家政婦マコさん
- 2 使わないのは損!業務用スーパーを上手に利用するコツ
- 3 業務用スーパーの食材フル使い回しレシピ5選!
- 3.1 【使い回し食材A】揚げ処理まで済んでいる「冷凍なす」
- 3.2 【使い回し食材B】冷凍でも栄養満点の「冷凍ほうれん草」
- 3.3 【使い回し食材C】実はアレンジ自在な「ポテトサラダ」
- 3.4 【使い回し食材D】中華以外にも使える「冷凍焼売」
- 3.5 【使い回し食材E】安いのに臭みがなくて美味しい「国産鶏肉」
- 3.6 【業務用スーパーレシピ①】ホワイトソースもマカロニもいらない「ポテトグラタン」
- 3.7 【業務用スーパーレシピ②】ボリュームたっぷり!「焼売とナスのチリソース」
- 3.8 【業務用スーパーレシピ③】ポン酢で楽ちん!「鶏とナスの甘酢あん」
- 3.9 【業務用スーパーレシピ④】火の通りやすい食材で時短「ほうれん草チキンカレー」
- 3.10 【業務用スーパーレシピ⑤】まるでお惣菜屋さんの味!「ポテサラ焼売の焼きコロッケ」
- 4 業務用スーパーを活用して、毎日のごはんを美味しく
- 5 【マグネットな本】makoさんを引き付けた一冊
教えてくれるのは家政婦マコさん
料理研究家・栄養士・フードコーディネーター・野菜ソムリエとして活躍。「家政婦マコ」として『ヒルナンデス!(日本テレビ系列)』などテレビにも多数出演。
家庭で簡単に真似できるレシピ本も多数出版しており、累計売り上げ35万部を突破。少ない食材で簡単にアレンジレシピを考えることが得意。Instagram
使わないのは損!業務用スーパーを上手に利用するコツ
―マコさんは業務用スーパーでお買い物した食材でお料理することが多いそうですが、どんな理由があるんでしょうか?
「やっぱり業務用スーパーといえば他のお店よりも安くて、たくさんの量を買うことができるのがいいですよね。私はよく肉のハナマサや緑色の看板が目印の『業務スーパー』によく行っています。
業務用スーパーって『量が多すぎて使い切れなそう』といった声も聞きますが、食材選びや買い方、保存方法に気をつければ、案外問題ないんですよ」
マコさんもヘビロテ!業務用スーパーのオススメ商品
―よく購入する商品はありますか?
「やっぱり大容量のものが多いので、普通のお買い物のときと比べるとストック食材目当てで行くことが多いですね。冷凍野菜の種類が豊富なので、ほうれん草・なす・パプリカなどの使い勝手のいい食材を購入することが多いです。
こまめに買い物に行かなくても冷蔵庫にあるもので、サッとごはんを作れるのが嬉しいポイント。
冷凍食品は調理済みの商品の種類が多いので、焼売・ハンバーグ・グラタンなど、そのままでも美味しく食べられてアレンジもしやすいものをよく買います。最近は特に韓国系の冷食が気に入っていて、特に緑色の看板の『業務スーパー』で売られているチヂミはヘビロテですね。
味も本格的で、とても低価格とは思えませんよ。
あとは、調味料の種類も豊富ですね。しょうゆやみりんなど、使用頻度の高い調味料なら余らせることもないので、大容量のものを買います。それに、普通のスーパーでは見かけないような中華や韓国系、アジア系の調味料も売っているのも嬉しいポイント」
自分好みの「業スー」商品を見つけるコツ
―でも、業務用スーパーって量が多くて安い分、身体に悪いんじゃってイメージも少しあります……。
「お店や時期にもよりますが、加工食品を買うときは成分一覧をチェックしてみるといいですよ。成分表は量がたくさん入っているものから表示されているので、保存料や添加物が多く使われているかどうかは、そこを見れば分かります」
―冷食は人気があるイメージが強いですが、生鮮食品も買いますか?
「お野菜は他のスーパーと同じように、近郊で採れたものが安く売っているので助かっています。
お肉類は海外産のものが多く並んでいますが、国産品も売っています。海外産は独特の風味があるので、私は国産を購入することが多いですね」
大容量を余らせない買い方や保存法は?
業務用スーパーのメリットは理解できたし、買ってみたい商品もイメージはついたけど、量が多いから余らせてしまうのでは……。
そんな不安もマコさんがクリアにしてくれました。
―余らせないための、買い物の工夫はありますか?
「業務用スーパーって値段が安いから、ノープランで行くと『あれも安い!これも安い!!』とテンションが上がって無駄遣いしてしまいがち。なので私は、あらかじめある程度欲しい食材を決めてから買い物に行くようにしています。
チェーン展開の業務用スーパーなら、普通のスーパーと商品のラインナップもそこまで変わりません。買うものを決めてから行くと『使えるか分からないけど気になっちゃう商品』をカゴに放り込んでしまって、結局使わないまま……というミスも減りますよ」
―それでも普段より食材が増えますよね。食材を余らせないようにするコツはありますか?
「まずは、汎用性のあるものを購入するようにすることですね。余らせがちと思う人が多い大容量パックも、ベーシックな食材なら一週間分の作り置きでほとんど消費できるはず。
あとは、お野菜もお肉も切って小分けにして冷凍保存しておけば、使う量だけ取り出せて便利。100均に売っているようなフリーザーバックでの保存で大丈夫ですよ。」
―困ったらとりあえず冷凍、ですね。
「あとは、冷蔵庫で食材が迷子にならないように、しっかり管理しておくことが大切です。冷凍庫は物がたくさん詰まっている方が保冷効果が高いですが、冷蔵庫は食材を詰めすぎると機能がダウン。
お野菜は常温保存でオーケーなものもたくさんあるので、食材ごとの保存方法をネットで細かく調べておくと、冷蔵庫がぎゅうぎゅうになったり、せっかく保存した食材を忘れてしまうことも少なくなりますよ」
業務用スーパーの食材フル使い回しレシピ5選!
マコさんのお話で、業務用スーパーの大容量食材も汎用性の高いものを選べば、冷蔵庫を圧迫せずにいろんな料理に使えることが分かりました。
ということで、ここからはマコさんが特に使い回ししやすい5食材を使って、5日分のメインおかずのレシピを考案してくれました!
【使い回し食材A】揚げ処理まで済んでいる「冷凍なす」
まずは、冷凍野菜の揚げなす。
こちらはマコさんも、季節を問わず冷凍庫にストックしているものだそう。
「家庭で揚げなすを作ろうとすると、たくさん油を使うし、時間がかかるもの。でも、揚げ処理済みの冷凍商品があるんです!
揚げなすは味しみが良くなっているので、普通のなすよりも料理時間を時短しやすいもの。和洋中、どの料理にも使いやすいのでおすすめの一品です」
【使い回し食材B】冷凍でも栄養満点の「冷凍ほうれん草」
ほうれん草は冬野菜のイメージが強いですが、栄養面も使い勝手もまったく問題なしなんだとか。
「冷凍野菜は旬の時期に収穫して冷凍されたものが多いので、旬じゃなくても美味しい野菜を食べることができるんですよ。
ほうれん草は下処理がけっこう面倒で、茹でて、水にさらして、切ってと料理に使える状態になるまでが大変なのですが、冷凍食材なら本当に使い勝手バツグンなんです」
【使い回し食材C】実はアレンジ自在な「ポテトサラダ」
チルドのポテトサラダは、私たちが思う以上に使い勝手バツグンの食材なんだとか。
「ポテサラって作るのが面倒くさいじゃないですか。でも、そのまま食べても美味しいし、マッシュポテト代わりにいろんな料理にアレンジできるんです。
業務用スーパーだとパウチでパッケージングされたポテサラが売られていて、そのまま食べるもよし、アレンジもしやすい便利食材です」
【使い回し食材D】中華以外にも使える「冷凍焼売」
お肉系の具として汎用性が高そうなものといえば、肉団子を想像する人が多いかもしれません。しかし、マコさんが選んだのは、大きめの焼売でした。
「肉団子ってそのままは食べられないけど、焼売はしょうゆをつけてそのままでも美味しいし、業務用だと下味もしっかりついています。
さらに、味しみのいいひき肉素材として使えるので、中華以外の料理でも活躍してくれる強い味方なんです」
【使い回し食材E】安いのに臭みがなくて美味しい「国産鶏肉」
最後は、家庭でもよく登場する鶏肉。国産は臭みが少なく、処理工程が楽なんだとか。
「業務用スーパーなら国産鶏肉も安く買うことができます。冷蔵品は1〜2枚から買えるので、レシピさえ決まっていれば使い切るのも簡単です。
冷凍保存した場合は風味が変わりやすいので、生姜・にんにく・ねぎなどの香味と一緒に調理するのがオススメ」
使い勝手の良い業務用スーパー食材を教えてもらったところで、今度はこの5つを余らせずに使い回すメイン級おかずを5つ教えてもらいます!
【業務用スーパーレシピ①】ホワイトソースもマカロニもいらない「ポテトグラタン」
家庭料理のなかでも時間と手間がかかる料理のイメージが強いグラタン。
今回は下茹での手間が必要なマカロニを使わずに、ポテトサラダで一気に時短!マッシュポテト風の食感に、ケチャップのトマト味が絡むことで味の深みが増します。鶏もも肉も入れることでメインおかずとして成立するポテトグラタンになりました!
〈使い回し業務用食材(2人用)〉
B冷凍ほうれん草:100g
Cポテトサラダ:200g
E国産鶏肉(もも肉):150g
(業務用食材以外に)
塩こしょう:少々
ケチャップ:大さじ2
ピザ用チーズ:60g
〈作り方〉
①ひと口大に切った鶏もも肉に塩こしょう少々を振る
②耐熱容器にほうれん草と①を入れ、電子レンジ600Wで4分加熱してケチャップで和える
③ポテトサラダを②の上に広げてピザ用チーズを散らし、オーブントースターで5分程度焼き色が
つくまで加熱したら完成
mako’sポイント
「ポテトサラダのマヨネーズがホワイトソースの役割をしていて、一気に時短できちゃいます。2人分で200g使うので、大容量パックの消費目的にもピッタリ」
【業務用スーパーレシピ②】ボリュームたっぷり!「焼売とナスのチリソース」
焼売は意外なことに、他のどんな味付けとも馴染む万能食材。チリソースと絡めたら、たっぷり味を吸ってボリューム満点の白米ごはんおかわり必至レシピの完成です!
〈使い回し業務用食材(2人用)〉
A冷凍なす:200g
D冷凍焼売:6個(180g程度)
(業務用食材以外に)
ケチャップ:大さじ3
醤油・オイスターソース・砂糖:各大さじ1/2
おろし生姜・おろしニンニク:各小さじ1
水:50ml
ラー油:適量(辛味が苦手な人はごま油でも可)
〈作り方〉
①フライパンに焼売と水を入れて加熱し、沸騰したらふたをして5分蒸し焼きにする(チルド焼売の場合は、水大さじ2と一緒に3分蒸し焼き)
②冷凍なすを入れて解凍されるまで炒め、調味料を入れて炒め合わせたら完成
mako’sポイント
「チリソースは本格的な中華の調味料を使わず、家庭にある調味料で作る優しい味に。お子さんでも食べやすいマイルドな味付けなので、辛味が好きな人はラー油を入れて調整してくださいね」
【業務用スーパーレシピ③】ポン酢で楽ちん!「鶏とナスの甘酢あん」
味付けが難しそうな甘酢を使った料理も、マコさんの手にかかれば大幅時短!冷凍野菜をたっぷり入れて、一品でもしっかり栄養の取れる本格和食が出来上がります。
〈使い回し業務用食材(2人用)〉
A冷凍なす:200g
B冷凍ほうれん草:50g
E国産鶏肉(もも肉):150g
(業務用食材以外に)
塩こしょう:少々
片栗粉:大さじ1
ごま油:大さじ1
水:50ml
ポン酢:大さじ2
オイスターソース:大さじ1/2
砂糖:大さじ1
〈作り方〉
①ひと口大に切った鶏もも肉に塩こしょうし、片栗粉をまぶす
②ごま油を引いたフライパンで①を両面に焼き色がつくまで焼き、冷凍なすを加えて解凍されるまで炒める
③冷凍ほうれん草・水・ポン酢・オイスターソース・砂糖を入れ、とろみが出るまで加熱したら完成
mako’sポイント
「片栗粉を使うことで、食材に味が絡んで美味しさがアップします。甘酢に使うポン酢は、業務用スーパーで買える安いものでもOK!」
【業務用スーパーレシピ④】火の通りやすい食材で時短「ほうれん草チキンカレー」
ほうれん草がたっぷり入ると、いつものカレーも彩りが良くなります。既製品のカルゥににんにくや中濃ソースが入ることで、普段より本格的な味わいに!
〈使い回し業務用食材(2人用)〉
B冷凍ほうれん草:100g
E国産鶏肉(もも肉):150g
(業務用食材以外に)
塩こしょう:少々
サラダ油:小さじ1
おろしにんにく・おろし生姜:各小さじ1
カレールゥ:2欠け(40g程度)
中濃ソース:大さじ1
水:400ml
ごはん:適量
コーヒー用クリーム:適量(お好みで)
〈作り方〉
①ひと口大に切った鶏もも肉を、サラダ油を引いたフライパンで炒めて塩こしょうする
②冷凍ほうれん草・おろし生姜・おろしニンニクを入れ、さっと炒め合わせる
③カレールゥ・中濃ソース・水を入れ、ルゥが溶けてとろみが出るまで混ぜながら加熱
④ごはんとともに皿に盛り、あればコーヒー用クリームをかけたら完成
mako’sポイント
「カレーの具に冷凍ほうれん草を使うことで、じゃがいもやにんじんなどの根菜類を使うよりも煮込み時間を短縮できます。コーヒー用クリームは見た目を華やかにするだけでなく、カレーの味をマイルドにする効果もあります」
【業務用スーパーレシピ⑤】まるでお惣菜屋さんの味!「ポテサラ焼売の焼きコロッケ」
普段はじゃがいもをふかして、皮をむいてつぶして……と工程が面倒なコロッケも、ポテトサラダを使うことでぐっと簡単調理に。ひき肉の代わりに下味がついた焼売を入れることで、家では作れない味わい深いコロッケが完成。
〈使い回し業務用食材(2人用)〉
Cポテトサラダ:200g
D冷凍焼売:4個(120g程度)
(業務用食材以外に)
めんつゆ(3倍濃縮タイプ)・砂糖:各小さじ1
パン粉:適量
サラダ油:大さじ2
〈作り方〉
①冷凍焼売を規定時間レンジで加熱。ポリ袋に入れて上からふきんなどで包んでつぶし、ミンチ状にする
②ポテトサラダ・めんつゆ・砂糖を入れてよく混ぜ合わせ、食べやすい大きさに丸めてパン粉を押しつけるようにしっかりつける
③サラダ油を引いたフライパンで両面に焼き色がつくまで焼いたら完成
mako’sポイント
コロッケの揚げ油は少なめで揚げ焼き調理することで、買ってきたコロッケよりもヘルシーに。焼売のおかげでソースなしでも味が完成されているので、お弁当にもピッタリ!
業務用スーパーを活用して、毎日のごはんを美味しく
安価&大容量な業務用スーパーの食材たちは、自分にとって使い勝手のいいものを理解することで毎日のごはんの心強い味方になってくれます。
マコさんのレシピは、難しい食材や調味料を使わないのに、いつもよりも本格的な味わいの家庭料理に変身させてしまう魔法のレシピです。ひと口食べれば「こんなに簡単だったのに、こんなに美味しいの?」とビックリすること間違いなし!
ぜひ業務用スーパーであれこれ選んで、自分にピッタリのレシピを見つけてみてください。
【マグネットな本】makoさんを引き付けた一冊
『くらしマグネット』の出演者に、その人のライフスタイルに大きな影響を与え、まさに磁石のように吸い寄せられた一冊を紹介してもらうコラム「マグネットな本」。
マコさんにそんな本を選んでもらいました。
「non・no お菓子基本大百科」
「小学生のころに初めて買ってもらった、料理にまつわる本がこれです。
もともと母とキッチンに立つことが多かったこともあり、図書館で料理の本を読むのが好きだったんですけど、この本は貸し出し禁止になっていて。当時の私が思いつく限り、すべてのお菓子の作り方や歴史、原材料の情報などが載っていた本なんです。
この本に載っている市松柄やのの字模様のぐるぐるクッキーは、楽しくてよく作っていましたね。自分の料理づくりの原点ともいえる本で、何度もキッチンで読みながらお菓子を作ったので、今ではボロボロになってしまいました」
Photo_Ikki Fukuda Interview & Text_Shiori Mikuni Edit_Yasushi Shinohara