夏の間、紫外線や冷房でしらずしらずにダメージを受けている肌。だからこそ秋のはじまりには、スキンケアでコンディションを立て直したいものです。
けれどただ闇雲に保湿するだけではなかなか効果が出ないことも。そこで今回は美容ライターの長田杏奈さんに、夏の終わりに効果的なスキンケアの方法を聞きました。
ドラッグストアで買えるプチプラグッズなど、おすすめのケアアイテムもたっぷりご紹介いただきます。
MOKUJI
教えてくれるのは
美容ライター 長田杏奈さん
1977年神奈川県生まれ。ライター。中央大学法学部卒業後、ネット系企業営業を経て、週刊誌の契約編集に。フリーランス転身後は、女性誌やwebで美容を中心に、インタビューや海外セレブの記事も手がける。著書に『美容は自尊心の筋トレ』(ele-king books)。
秋のスキンケアこそ、大事な理由
夏と秋では、皮脂の分泌量が違います
仕事柄、人一倍スキンケアにも気を使っている長田さん。そんな彼女が1年の中で特にスキンケアを見直すタイミングも、やはり夏の終わりだといいます。
長田さん
「たとえば私の場合は、秋になるタイミングで洗顔の方法を見直します。夏の一番暑い時期には皮脂や汗の分泌も多いので、さっぱりする洗顔料を使いますが、秋になればそれなりに皮脂も落ち着いてくるので、余分な皮脂を洗い流さないことも大事。
はじめから泡立っている敏感肌用の洗顔を使うことで肌に負担をかけないようにしたり、夜はダブル洗顔不要のクレンジングを使って洗顔とメイク落としを一度で済ませたりしています。
服は季節に合わせて衣替えしても、肌のスキンケアは年中同じになりがちですよね。けれど気温や湿度によって、肌のコンディションは変わっていくので、季節の変わり目には少しだけ肌に意識を向けてあげるといいと思います」
秋は、スキンケアを見直すチャンスタイム?
長田さん
「夏の終わりに肌をさわるとゴワゴワしていると感じること、ありませんか? エアコンや紫外線の刺激による肌の乾燥で、ターンオーバーが乱れ、古い角質が厚くなってしまっているからなんです。
夏まっさかりの時期は、紫外線そのものが強いので、いくら紫外線対策やダメージケアをしても、外からの刺激をリセットするだけで手一杯なことも。
逆にいえば、紫外線が少しずつ落ち着いてきた秋こそ、手をかけてケアをすると効果がわかりやすいチャンスタイムとも言えるので、秋のはじめにしっかりケアをしてあげることが大事です」
保湿の前に、まずは回復!
肌の準備をととのえる「3ステップ」
長田さん
「肌の乾燥をケアするためには保湿がもちろん大事ですが、まずは肌を正常な状態に戻すことが大切。それから保湿を行うことで、より潤いが浸透しやすくなります。
具体的には、
①ゴワつきを整える(古い角質をオフする)
②メラニン(シミのもと)をリセットする(ビタミンCを与える)
③乾燥や刺激から肌を守る(バリア機能を高める)
の3つのステップを意識してあげるといいですね」
今回はそんな3つのステップにおすすめの、長田さんが実際に愛用しているスキンケアアイテムを教えていただきました。
長田さんがリアルに愛用!
夏の終わりの肌を整える
おすすめアイテム6選と使いかた
1.SABON(サボン)
まずは古くなった角質の除去に、おすすめの洗顔料です。角質をオフして肌をやわらかい状態に戻すことで、うるおいを浸透しやすい状態にします。
スクラブ入りですがクリームタイプで、肌をやわらかくする(ソフニング)効果とクレンジング効果がひとつになっているので、肌の弱い方でもやさしく角質ケアできます。
まずはぬるま湯で顔をぬらしてから、このクリームを指の腹でくるくると円を描くように肌になじませて。角質の気になる頬や鼻などにも、こするのではなくやさしくなじませれば十分。その後お湯で流すと、肌がとてもやわらかくふっくらします。
私は限定品の「オレンジ」の香りを愛用しているのですが(現在生産終了)、その他にミント、ブルーミング、ローズ、ラベンダーの香りも。この時期なら爽やかなミントがおすすめです。
2.ドクターシーラボ
お次は肌をトリートメントする美容液。夏の間に肌にたまったメラミン(シミの元になる色素)をケアするビタミンCが配合されています。
ビタミンCは皮脂を抑える働きもあるので肌が乾燥してしまいがちなんですが、そこに保湿成分のセラミドが入っていることで、肌の潤いは守りつつビタミンCを補える嬉しい美容液。
よく振ってから手のひら全体になじませ、その手で顔全体をつつみこむように、①でやわらかくなった肌に浸透させていきます。
肌の状態を底上げして、使うと透明感が出るので、夏の終わりに肌のくすみが気になったら取り入れてみてください。
3.資生堂
ワセリンのブライトニングバージョンのようなイメージです。ワセリンよりさらっとした付け心地で、塗ることで肌にベールをかけるように、刺激から守ってくれる効果が。ケアを終えた肌の仕上げにおすすめです。
顔だけでなく、足のかかとなど夏の間に疲れた皮膚のケア全般に使えます。
指で手の甲にのせてくるくると混ぜ、人肌に温めてから、頬骨のあたりや目元など、皮膚の薄いところにこすらずにのせるようにおきます。体温でじんわりと肌に浸透させていくようなイメージで使ってみてください。
基本のスキンケアに加えて、
すきま時間で使えるアイテムもおすすめ
4.キュレル
顔だけでなく、全身に使える保湿スプレー。肌を刺激から守って、潤いをキープする「セラミド」をケアする成分が入っているので、シュッとひと吹きすれば手軽に保湿ケアができます。
私はお風呂上がりに全身に吹きかけています。
5.
忙しい方向けには「飲むスキンケア」も。
オルビス ディフェンセラ は肌の潤いを逃しにくくする「高純度グルコシルセラミド」配合、SINTO リポソーム ビタミンCは抗酸化作用のあるビタミンCを効率よく補えます。
6.FATUITE
速効性のあるケアをしたいときにはマスクがおすすめ。顔用と首元用の2つのパーツが入っていて、広範囲を短時間で効果的にケアできます。
10分おいてマスクをとると、顔がワントーンぱっと明るくなっているのがわかるくらい。大事な日の前に使ってみてください。
まずはいつものスキンケアを
少しだけ丁寧にやってみて
長田さん
「いろいろなアイテムをご紹介しましたが、一番大切なのはじつは“気持ち”。
スキンケアをするときは、テレビを見たりスマホをさわりながらの “ながらケア” ではなく、たった1分でもいいから肌にちゃんと手をあてて、今のコンディションにしっかり意識を向けることが大事です。
手で肌を包むように浸透させる方法を “ハンドプレス” と呼ぶのですが、これだけで実際に同じ化粧水を使っていても違う効果が出た、という実証結果があるくらいなんですよ」
夏を共に乗り越えてきた肌をねぎらうような気持ちで。まずは少しだけ丁寧に肌を見つめ直すことから、はじめてみてはいかがでしょうか。
マグネットな本
長田杏奈さんが幼い頃から好きな本
『くらしマグネット』の出演者に、その人のライフスタイルに大きな影響を与え、まさに磁石のように吸い寄せられた一冊を紹介してもらうコラム「マグネットな本」。
長田杏奈さんにそんな本を選んでもらいました。
トーベ・ヤンソン「ムーミン谷の夏まつり」「ムーミンパパ海へいく」
小学校の頃に読んで、今も大事に手元に残している「ムーミン」シリーズ。ムーミンはじめ、物語に出てくるキャラクターはみんな少し ”変なひと” ばかりなんです。でも、そんな変なところを無理に変えようとするでもなく、お互いを否定するでもなく、みんなでゆるやかに共生している。
そんな世界観は読んでいて落ち着くし、なんだか良いなと共感します。大人になった今見返しても、グッとくるシーンや言葉が見つかる物語です。
Photo_Ikki Fukuda Interview,Text & Edit_Kaoruko Seya