“Cats are connoisseurs of comfort.” 〜猫は快適さの鑑定士である〜
という言葉があります。ネコと暮らすということは、いかに「快適な空間をつくり上げる」か。イヌと違って単独行動を好み、誰に対しても自由気ままに振る舞うネコ。彼らとの暮らしは一体どんな日々なのでしょうか。
連載第2回目の今回は、ネコと暮らすことで“自分自身の性格が変わった”という、ヘアメイクアップアーティストの松田未来さんと、愛猫のマドレーヌくんの暮らしぶりをご紹介します。
ネコ:マドレーヌくん(7歳半)・雑種・ヤンチャでちょっぴり変わった性格の持ち主
家主:松田未来さん・ヘアメイクアップアーティスト・魅力的な世界観で多くのファンを持つ人気ヘアメイクさん
おうち:平米数不明・1LDK・渋谷区
マドレーヌくんとの「出会い」
「出会いはゲリラ豪雨があった翌日です。鳴いている声が聞こえたので、当時のアシスタントに様子を見に行ってもらったら、生まれたばかりのマドレーヌがいたんです。柄や毛の色がお菓子のマドレーヌっぽかったので、男の子ですが“マドレーヌ”と名付けました」
「実は私、マドレーヌと出会うまではずっと犬派だったんですよ。だから、最初は飼うつもりはまったくなくて。
飼い主が決まるまでお世話してあげよう、そう思ううちに、愛情が移って離れられなくなってしまいました」
―マドレーヌくんは、どんなネコちゃんですか?
「マドちゃん(マドレーヌくんの愛称)は、小学生のクラスにひとりふたりはいた、元気いっぱいでヤンチャなサルみたいな男の子って感じです。7歳を過ぎた今は少し落ち着きましたが、本当に元気いっぱいです」
「性格的には、ちょっとネコっぽくないところがあるらしく、家に遊びに来た人によくそういわれます。ネコは自分が可愛いことを知っていて、そのように振る舞うっていわれていますが、マドちゃんはそういう感じが一切ないんです。もしかして、自分のことをネコだと思っていないのかもしれません」
マドレーヌくんとの「暮らしぶり」
―お部屋の中での、お気に入りの場所はありますか?
「私もマドちゃんもソファが大好き。TRUCK furnitureの『FK sofa』を愛用しているんですが、座り心地が良くてとても快適なんですよ。ソファはリビングルームに置いていて、部屋そのものがとても明るいので居心地がいいんです」
「あと、マドちゃんは冬の間よくお風呂のフタの上にいます。お湯が張ってあるとき限定ですが、どうやら温かくて気持ち良いようで。夏場は逆に暑いのか、まったく近寄らないんですけどね」
ネコと暮らすうえで、こだわったポイント
―マドレーヌくんと暮すうえで、松田さんが気にした&こだわったことは?
「マドちゃんがまだ小さい頃、うっかり仕事の書類を机の上に置きっぱなしにしてしまったんです。気付いたときには、びりびりに破かれて散らばっていました。『こんな楽しそうなもの、置いておいた自分が悪い。これからはきちんと片付けるようにしなくちゃ!』って思い、それ以降は物を出しっぱなしにしないようになりましたね。
部屋に置く家具やインテリアは、必要最小限に抑えています。といっても、もともと私自身がけっこうずぼらで片付けが苦手だったので、あまり物を置かない今の生活は、私自身のためにもなっています」
―この物件にはどうやってたどり着いたんですか?
「たまたま仕事関係で知り合った人が不動産屋さんもやっていたので、ペット可物件を探してもらいました。だから、そこまで苦労はしていませんね。とてもラッキーだったと思います」
「この部屋はキッチンに窓があることと、玄関の手前にもうひとつドアがあり、猫が脱走できないようになっているところが気に入ってます。前の家で何度か脱走されてしまったことがあるんですが、交通事故に遭うんじゃないかと心配で心配でドキドキしっぱなしだったんです」
ここは譲れない!家具・インテリアはお気に入りを選ぶ
―やんちゃなマドレーヌくんと暮すなかで、ここだけは譲れない!と思った部分は?
「やはり、インテリアですね。以前大阪で仕事をしていたとき、職場の近くにTRUCK furnitureがあったんです。TRUCKの家具は、自分が住みたい部屋の雰囲気にピッタリだったのでお金を貯めてソファとテーブルを購入。10年ほど経った今でも気に入っています。マドちゃんがだいぶ引っかいてしまっているんですが、まあ、こればっかりは仕方がないですからね」
―キッチンの花瓶もとてもかわいいですね
「この花瓶は100年以上前にメキシコで作られたアンティークとのこと。マドちゃんはキッチンの窓には乗らないし、こうして飾ってあるものにイタズラをすることもないので、安心して花を飾っておくことができるんですよ」
ネコと暮らすうえで気をつけていること
―気をつけていることはありますか?
「ネコにとってあまり良くないと聞いたので、アロマなど香りが強く出るものは、トイレなど閉鎖空間のみで使うようにしています。香水も家を出るギリギリのときに、玄関で少しだけつけるようにしています」
「前に住んでいた家では、姿見(鏡)を立て掛けて置いていたのですが、仕事から帰ってきたら倒れていたことがあったんです。万が一、ネコの上に倒れたり、割れたガラスでケガでもしたら怖いので、鏡は絶対倒れないようしっかり固定するようになりました」
「こうした諸々の不安を払拭するため、ペット用のモニターも部屋に設置しています。そんなにしょっちゅう見ることはありませんけどね」
ネコとの共同生活で、困っている人へのアドバイス
―マドレーヌくんはやんちゃな性格とのこと。壁で爪を砥いでしまうことはありませんか?
「爪砥ぎを置くことで、被害は最小限に抑えられているんですが、やはり壁で爪を砥いでしまうこともあります。そうした部分は、壁を保護するためにビニールクロスを貼るか、家具を置いて砥げないようにしています。
あとは、諦めることも大切だと悟りました。いつかこの部屋から引っ越すときは、修理代をしっかり払う覚悟を決めています!」
ネコとの暮らしで変わったこと
―マドレーヌくんとの暮らしのなかで、松田さんご自身に変化はありましたか?
「そうですね。マドちゃんと住んで私自身もずいぶんと成長し、“先回り”して危機予測を行うことを覚えました。マドちゃんはネコですからね。したことひとつひとつに腹を立てても仕方のないこと。細かいこともあまり気にしないようになりました」
「同時に、何か問題があったときに“誰かのせい”にすることも辞めました。
マドちゃんとの生活のなかだけでなく仕事でもそうなのですが、出てしまった『結果』には自分にも責任がある。ネコや他人を責める前に、自分自身を省みるようになりました」
「それと…以前はベッドがある部屋で仕事をしてしまい、アドレナリンが出てしまうためか、安眠できなかったのですが、今の部屋に引っ越してから、寝室は完全に“寝るだけ”の部屋にしているので、スイッチが切り替わるのか、寝つきが良くなったような気がします。
ただ、ベッドがシングルサイズのためマドちゃんとふたりで寝るとちょっと狭いので…大きなベッドに買い替えることが今の野望です」
ネコと暮らすうえでのMy3ヶ条
その1 寂しい思いをさせたくないので、視線を感じたら手を止めて遊ぶ
その2 よく撫でる。よく褒める。名前をたくさん呼ぶ
その3 お互いの時間を尊重する
「マドちゃんとの暮らしを楽しむうえで、私にとって欠かせない3ヶ条です。大切な同居人なので、どんなときもマドちゃんのことを考えてあげたいと思っています」
おわりに
本来、単独行動を是とするネコ。同居生活を行うためには、人間が工夫をし、お互いにとって住み心地の良い環境を保つことが大切なのだと、松田さんのおうちを拝見して納得。
ネコと暮らす日々。
そこにはたくさんの“愛情”と“気づき”が詰まっているのです。
Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara
大阪のヘアサロンにて美容師として勤務後、東京へ拠点を移し、ヘアメイクアップアーティストとしてのキャリアをスタート。ご自身の手掛けるコスメブランド「rikha」は、予約時点で完売アイテムが出るほど、人気を集めている。
松田未来
@mira0911