朝から育児やリモート会議の連続で、お昼ご飯をゆっくりする時間がない!と嘆いている人も多いでしょう。そんなときこそ電子レンジに入れた後はほおっておけば完成する「レンチンパスタ」が人気です。
そこで今回は電子レンジ料理研究家のタケムラダイさんに、簡単なのにすごく美味しい厳選レシピを教えてもらいました。
MOKUJI
教えてくれるのは電子レンジ料理研究家のタケムラダイさん
タケムラダイさん
電子レンジ料理研究家以外に冷凍食品マイスター・ゲームプロデューサー・作詞家といった肩書きを持つ多才な3児の父。多忙な日々を送る生活者の目線で生み出された電子レンジ調理をメインに、さまざまな手法とアイデアで超手軽&超簡単に出来るレシピを生み出し続ける。著書やメディア出演多数。公式サイト
レンチンパスタはどうしてこんなに人気なの?
ー多くのレシピサイトやSNSで電子レンジで作るパスタが紹介されています。ここまで人気になった理由はなんだと思いますか?
「最初のキッカケは5年前くらいに、100円ショップが専用の調理容器を販売し始めたことですね。鍋でお湯を沸かす必要がないし、ほおっておけば茹で上がるのが一番のメリット。
さらに在宅率が高くなってきたこの数年は自宅で食事を摂る頻度も高まり、手軽に作れる『レンチンパスタ』の人気が加速しています」
洗い物が少なく済むーータケムラさんが思うレンチンパスタの魅力
ー確かに在宅で仕事をしている合間に、電子レンジにセットするだけで茹で上がるのは忙しい平日にはとても助かります。
「容器のサイズが1人分の調理に適していて、工夫すれば洗い物が少なく、手軽に出来上がるのが嬉しいですよね。
さらに今回紹介するレシピは、具材や調味料を一緒にレンジ加熱するので本当に簡単。しかも、本来フライパンで加熱する工程をレンジが担当してくれるので、レシピを間違えさえしなければ疲れていようが忙しかろうが、いつでも美味しいパスタを作ることができますよ」
失敗しないコツは水分量にあり!
ーとはいえレシピ通りに美味しくできないのでは……という不安もあります。
「レシピ通りに作りさえすれば誰でも簡単に作れますよ。ただ注意したいのは、パスタを茹でる用の水と液体調味料を合わせたときの水分量。炊き込みご飯を作るときに調味料分の水を減らすのと同じで、トータル量を調整しないと水っぽいくなってしまうので要注意です。
あとは上の写真のように麺全体が水分に浸かる必要があります。少なすぎても多すぎても失敗のもと。水分量だけは気にかけてください」
どうしたら美味しい茹で加減になる?プラス3分で食べごろが完成
ー水っぽくって再加熱して、結果アルデンテじゃなくなっちゃうのは嫌ですもんね…。
「『100g茹でるのに100cc必要』と覚えておけば、失敗が減るのではないでしょうか。麺を10g増やすのなら、水分も10cc増やす必要があります。
ー加熱時間も目安はありますか?
「レンジの加熱時間はパスタのパッケージに書かれている鍋での茹で上げ時間にプラス3分が目安。鍋で7分茹でる麺なら10分レンジで加熱するのが上手に出来上がる基準です。
とはいえ、容器やレンジによっても多少の違いはあるので、自分好みの茹で加減を追求したい人は適した水分量と加熱時間をアレコレ試してみてもいいかもしれません。
あとは使う容器は平らな方が熱が均等に伝わりやすく、茹でムラができにくいです。加熱後に麺のくっつきが気になる人は、事前に少しオリーブオイルを入れると防ぐことができますよ」
お子さんにも大好評!10分ちょいで完成レンチンパスタレシピ
レンチンパスタの基礎知識と失敗しないヒケツを覚えたところで、タケムラさんが自宅でよく作る、お子さんにも大好評の3レシピを教えてもらいます!
どれも食材をストックしておきやすい冷凍食品を最大活用しているため、都度の買い物の手間が省けます。包丁も火もいらないためすごく簡単、そのうえ絶品の3品です。
【レシピ①】世界一楽チン!「ハンバーグを活用ボロネーゼ」
「ゴロゴロひき肉が食欲をそそるボロネーゼは、お弁当用のハンバーグで本格派の味に。下味がついていて食べ応えがあるので、小さいお子さんにもピッタリ。
ハンバーグをスプーンで潰すときは、あえて粗めにしたり好みを探してみても楽しいです」
〈材料〉
お弁当にGood!®ミニハンバーグ:3個
スパゲッティ(乾麺):80g
(A)
水:200ml
トマトケチャップ:大さじ2
ウスターソース:大さじ1 ※中濃ソースでも可
オリーブオイル:大さじ1
顆粒コンソメスープの素:小さじ1/2
砂糖:小さじ1
(お好みで)
乾燥パセリ・黒粒コショウ・粉チーズ:各適宜
〈作り方〉
①深めの耐熱容器にAを入れて混ぜ合わせる
② ①に半分に折ったスパゲッティ、凍ったままのハンバーグを加える
③600Wの電子レンジで10分加熱
④スパゲッティだけを皿に盛り付け、容器に残ったハンバーグをスプーンで潰してから上にかければ完成
【レシピ②】ありそうでなかった豚汁の具アレンジ!「具沢山な和風スパゲッティ」
「意外かもしれませんが、和風パスタなら冷凍の豚汁の具が使い勝手◎。しょうゆや味噌の味付け向けの食材なので、今回使う和風調味料に合わないはずがありません。
豚汁の基本具材であるにんじん・大根・里芋など、野菜をバランスよく摂取することができます」
〈材料〉
すぐできる豚汁の具:60〜80g程度
スパゲッティ(乾麺):80g
(A)
水:200ml
チューブにんにく:1cm程度
和風ドレッシング:大さじ2 ※ノンオイルの場合はオリーブオイルを大さじ1追加
顆粒和風だしの素:小さじ1
(お好みで)
七味唐辛子・刻み小口ねぎ:各適宜
〈作り方〉
①深めの耐熱容器にAを入れて混ぜ合わせる
② ①に半分に折ったスパゲッティ、凍ったままの「豚汁の具」を加える
③600Wの電子レンジで10分加熱
④よく混ぜ合わせてお皿に盛り付ければ完成
【レシピ③】手間なしで本格派の味!「混ぜるだけカルボナーラ」
「みんな大好きだけど手間がかかるパスタの代名詞であるカルボナーラも、レンチンレシピなら食材と調味料を入れてレンジにお任せ!冷凍のベーコン入りほうれん草ミックスを入れることで、お肉と野菜のバランスを取ることができます。
加熱後に手早くバター・卵黄・粉チーズを混ぜ合わせましょう」
〈材料〉
ベーコン入りほうれん草ミックス:40〜60g
スパゲッティ(乾麺):80g
バター:10g
卵黄:1個分
粉チーズ:大さじ2
黒粒コショウ:適宜
(A)
水:250ml
チューブにんにく:1cm程度
オリーブオイル:大さじ1
顆粒コンソメスープの素:小さじ1
〈作り方〉
①深めの耐熱容器にAを入れて混ぜ合わせる
② ①に半分に折ったスパゲッティ、凍ったままのベーコン入りほうれん草ミックスを加える
③600Wの電子レンジで10分加熱
④熱いうちに③にバターを入れてよくかき混ぜ、バターが溶けたら卵黄と粉チーズを入れてさらによくかき混ぜる
⑤お皿に盛り付けて黒粒コショウをかければ完成
レンチンだからと侮れない本格的な味
電子レンジでの調理って、無機質だったり手抜きで美味しくないイメージがどこかにあるかもしれません。
でも、今回紹介したレシピはどれも本格的な味で、なおかつレンジだからこそいつでも手軽に再現できる、忙しい現代人にこそ実践して欲しい3品です。
レンジ調理の概念を理解すれば他のパスタ料理にも応用ができます。あなたに合ったレシピをぜひ探してみてください。
【マグネットな本】タケムラダイさんを引き付けた一冊
『くらしマグネット』の出演者に、その人のライフスタイルに大きな影響を与え、まさに磁石のように吸い寄せられた一冊を紹介してもらうコラム「マグネットな本」。
タケムラさんにそんな本を選んでもらいました。
寺沢大介『ミスター味っ子』
「僕が料理を好きになるキッカケをくれた作品です。出会ったのは12〜13歳のころで、ものを作る楽しさを教えてくれました。
今思えばありえない料理も多く、セオリー無視な部分も多々あるんですが(笑)、エンターテインメントとしてとても秀逸で、創作の魅力や人を楽しませることを学んだ僕の原点といえる一冊です」
Photo_Ikki Fukuda Interview,Text & Edit_Yasushi Shinohara