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Nov 01, 2024

【11月におすすめの小説・エッセイ・絵本】秋深まる11月におすすめ。季節を感じる読書法も紹介

落ち葉とコーヒーと本

秋の深まりと冬の気配を感じる、11月。家で過ごす時間が増える季節だからこそ、物語の世界に没頭したいという人も多いのではないでしょうか。

この記事では、11月に読みたいおすすめの本とこの時期にぴったりな読書法を紹介します。本の世界にじっくり浸り、充実した一ヵ月を過ごしましょう。

ミステリーから絵本まで!11月におすすめの本7選

柔らかな日差しと澄んだ空気が気持ちいい11月は、読書にぴったりの季節。とくに朝晩は静謐さも感じられ、心置きなく物語を楽しむことができます。

 

ここでは、編集部が選んだ11月におすすめの本を7冊ご紹介。心温まる物語から秋の夜長に最適なミステリー、こどもから大人まで読みたい絵本まで幅広いジャンルをピックアップしました。どれも魅力的な作品なので、ぜひ気になる本を見つけてみてくださいね。

犬目線で物語が楽しめる!?「パーフェクトブルー」宮部みゆき

「パーフェクトブルー」宮部みゆき
「パーフェクトブルー」宮部みゆき 著:創元推理文庫

11月1日は「犬の日」!ということで犬が登場するおすすめの本がこちらです。

 

高校野球界のスターを殺害したのは誰だ?主人公は、父親の探偵事務所「蓮見探偵事務所」で働く蓮見加代子。ある日、加代子は高校一年生の家出少年・師岡進也の捜索依頼を引き受けます。無事に見つけた進也を自宅へ送り届ける最中、加代子は進也の兄であり野球の名門校のエース、克彦が焼かれている傷ましい現場を目にすることに…。兄の殺害容疑がかかった進也を救うため、加代子は父親・浩一郎と元警察犬の愛犬・マサとともに事件の真相究明に乗り出します。

 

著者は人気ベストセラー作家・宮部みゆき。加代子の飼い犬である元警察犬・マサの視点で物語が進行する一冊です。犬の視点というユニークな設定ながら、人間の心の闇や事件の真相が丁寧に描かれていて、わくわくしながら読み進められます。

推理小説だけど心がホッと温まる「ヴァン・ショーをあなたに」近藤史恵

「ヴァン・ショーをあなたに」近藤史恵
「ヴァン・ショーをあなたに」近藤史恵 著:創元推理文庫 装画:谷山彩子 装幀:内海由

ボジョレーヌーボー解禁の季節ということでワインを片手に読みたくなるような一冊をご紹介。

 

物語の舞台は下町にあるレストラン、「ビストロ・パ・マル」。フレンチだけど肩肘張らずに絶品料理が楽しめるこの小さな店には、いつも訳ありなお客様が訪れる。シェフの三舟はそんなお客様達の小さな謎を推理し、料理を通して見事に解決していく・・・。

 

登場人物の誰もが個性的で面白いと評判のこの作品は「ビストロ・パ・マル」のシリーズ作。身近でほっこりするようなストーリーはもちろん、作中に出てくる数々のフランス料理が美味しそうで食べたくなっちゃうという点も魅力のひとつとなっています。忙しい毎日に疲れている、そんな方に心の癒しとしてぜひ読んでほしい作品です。

ついつい長居しちゃうかも「トイレで読む、トイレのためのトイレ小説」雹月 あさみ

「トイレで読む、トイレのためのトイレ小説」雹月 あさみ
「トイレで読む、トイレのためのトイレ小説」著者:雹月 あさみ イラスト:ヨシタケシンスケ 発行/K A D O K A W A

11月10日は「いい(11)ト(10)イレ」という語呂合わせからトイレの日なんだとか。

 

そこでおすすめなのがありそうでなかった、トイレがテーマの短編小説集。夫が帰宅する前に、目の前のこれをどうにか処理しなくては。深い穴を掘る?ごみ収集場に捨てる?そうだ、トイレだ。バラバラにしてトイレに流してしまえばいいのだ――。(「証拠隠滅」)
書店にくると、どうしてこうもトイレに行きたくなるのだろうか。急いでトイレに入り用を足し、ほっと手を伸ばした先にトイレットペーパーはなかった。どうしよう、この個室には紙がない!(「紙がない!」)――などなど。

 

1分ほどで読める短い話と5分ほどで読める長めの話が30話以上詰まったトイレ傑作集。誰もが使うトイレでは、恋や殺人事件などさまざまな人間ドラマが繰り広げられます。トイレの中で読むもよし、通勤中の隙間時間に読むもよし、気軽に読書を楽しみたい人におすすめです。

一度立ち止まってゆっくり考えたくなる「その日のまえに」重松 清

「その日のまえに」重松 清
「その日のまえに」重松 清 著:文春文庫

11月22日は「良い夫婦の日」。夫婦の在り方を考えさせられるのがこちらの一冊。

 

僕たちは「その日」に向かって生きている――。明日も続くはずの毎日をふいに断ち切る家族や友人の死。消えゆく命を前に、僕らはいったい何ができるのだろうか。頼む、涙よ、邪魔しないでくれ。僕の妻は、もうこんなに透き通ってしまった…。

 

それぞれ別のストーリーとして展開される話が、ほかの物語にもどこかでつながっている構成。妻を静かに見送る父と子(その日のまえに)、入院するクラスメイトを戸惑いのなか見舞う生徒たち(ひこうき雲)、ストリートミュージシャンを通して一人息子にがんと宣告されたことを告白しようとするシングルマザー(ヒア・カムズ・ザ・サン)など、立場が違うそれぞれの人の目線で、生と死が描かれています。命の尊さ、家族の絆、生きることの意味を改めて考えられる、静けさのなかに力強さも感じられる作品です。

無性に絵と向き合いたくなる「楽園のカンヴァス」原田マハ

原田マハ「楽園のカンヴァス」(新潮文庫刊)
原田マハ「楽園のカンヴァス」(新潮文庫刊)

11月3日は「文化の日」。そこでおすすめしたい、芸術の秋を堪能できる作品がこちら。

 

倉敷の大原美術館の監視員・早川織絵とニューヨーク近代美術館の学芸員・ティム・ブラウンは、ある日スイスに居を据える富豪に招かれ、彼の自宅を訪れることに。そこで目にしたのは、巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵画でした。大富豪は「この絵を正しく真贋判定した者にこの絵を譲る」と告げ、2人に手がかりとなる謎の古書を読ませます。リミットは7日間。2人の研究者は、この古書を毎日1章ずつ読み進めていき…。

 

ルソーの絵画に魅せられた男女が、とある絵画の真贋判定をおこなう美術ミステリー。緻密な描写と巧みなストーリー展開で、美術に興味がある人はもちろん、そうでない人も最後まで飽きずに読み進められます。

うっとりするような幻想的な世界観「ラピスラズリ」山尾 悠子

「ラピスラズリ」山尾 悠子
「ラピスラズリ」山尾 悠子 著:ちくま文庫

本格的な冬を迎えるこの時期に、じっくり読みたい一冊がこちら。

 

物語の舞台は、現代のいずれともしらぬ町。「冬の館」の主たちは、冬の期間は閉ざされた館のなかで深く長い眠りについています。ある日、眠りから覚めてしまった少女が出会ったのは、「定め」を忘れたゴーストで…。(「閑日」)

 

不世出の幻想小説家が描く、人形と冬眠者と聖フランチェスコの物語。まるで夜の夢を小説化したような不思議で独特な表現が魅力で、ゴースト、冬眠者、天使という3者の関係と全貌が徐々に明らかになります。視点が登場人物ごとに目まぐるしく変わるため、じっくり集中できるときに読むのがおすすめ。丹念に読み解くと、隠された「世界の真実」が徐々に見えてくるかもしれません。

大人になってもう一度読みたい「葉っぱのフレディ」レオ・バスカーリア

「葉っぱのフレディ」レオ・バスカーリア
「葉っぱのフレディ」レオ・バスカーリア みらい なな 訳:童話屋

紅葉が楽しめるこの季節にぜひ読んでほしい絵本がこちら。

 

葉っぱのフレディは、大きな木の梢に近い、太い枝に生まれました。隣の葉っぱはフレッド、右側にベン、上にはクレア、みんな同じ季節に生まれた葉っぱたちです。夏の日差しを浴び、秋の紅葉を経験し、やがて冬を迎えた葉っぱたちは、木から離れるときが近づきます。その様子をみたフレディは怖いと感じますが…。

 

葉っぱの一生を通して、生きることのすばらしさ、詩の必然性を描いた作品です。こども向けの作品ではありますが、大人も深く考えさせられる内容で、人生について考えたいときや大切な人への贈り物としてもおすすめです。

11月におすすめの読書法3選

味覚、紅葉、芸術、スポーツなど、日本にはさまざまな「秋」があります。ここでは、11月こそ経験したいおすすめの読書法を紹介します。日常にちょっとした刺激が欲しい人は、ぜひ試してみてくださいね。

紅葉を眺めながら読書

紅葉広がる公園でコーヒーを飲みながら読書をする女性

 

赤や黄色に色づいた木々を楽しめるのは、秋だけの特権です。紅葉がみられる場所は自然豊かなところが多いので、川のせせらぎや鳥の声など、自然を満喫しながら読書するのもいいでしょう。今度の週末はぜひお気に入りの本を片手に、近くの紅葉スポットに出かけてみてはいかがでしょうか。

焼き芋の出来上がりを待ちながら読書

熱々、ほっくほくの石焼芋

 

11月は、秋の味覚・さつまいもが食べたくなる時期。グリルやオーブンでじっくり時間をかけて焼くと、甘くてほくほくの焼き芋が作れます。焼き芋が出来上がるまでの待ち時間は、本に没頭して過ごすのがおすすめ。物語の世界に入り込んでしまえば、出来上がりまでの時間があっという間に感じられますよ。さつまいもの香ばしい香りが漂ってくると、どこか懐かしい気持ちも味わえます。

美術品を眺めながら読書

箱根 彫刻の森美術館 ネットの森

 

芸術の秋とも呼ばれる季節、11月は美術館巡りにも最適なタイミングです。美術館ではさまざまな芸術作品をじっくり鑑賞できるほか、静かな空間で読書を楽しむこともできます。また、野外に美術品を展示している施設も多く、自然のなかで芸術に触れつつ、物語を楽しみたい人にもぴったりです。美術館のなかには展示作品に関連する本を販売しているところもあるので、「実際の作品を眺めながら関連書籍を読む」という贅沢な時間も堪能できますよ。

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おわりに

枯葉と松ぼっくりと本

 

今回は読書の秋にぴったりな作品を7冊紹介しました。過ごしやすい気候の11月は、読書に集中しやすい季節でもあります。ぜひ今回紹介した内容を参考に、読書の秋を満喫してみてくださいね。
【10月におすすめの小説・エッセイ・絵本】秋の空気を楽しむ|この時期ならではの読書法も紹介