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Sep 06, 2024

【9月におすすめの本】読書の秋到来!秋を感じるおすすめの読書法も紹介♪

真夏の暑さが過ぎ、過ごしやすい日が増える9月。夜の時間も長くなり、読書をして過ごそうと考える人も多いでしょう。せっかく読むなら、この時期にぴったりの本を選びたいですよね。

この記事では、小説やエッセイ、絵本など9月に読みたい作品をご紹介。また、読書をもっと楽しめるようなおすすめの読書スタイルも提案します。ぜひ気になる一冊を見つけて、心地よい秋の夜長をともに過ごしてみませんか。

小説から絵本まで。9月におすすめの本7選

秋の作物 山盛りイメージ

 

秋といえば、芸術の秋、食欲の秋、スポーツの秋など、読書以外にもいろいろな呼ばれ方があります。また、9月は敬老の日と秋分の日があり、連休も多いですよね。

今回は、そんな9月にこそおすすめの作品を7つピックアップ。続きが気になるミステリーや心温まる物語など、本を読む習慣がない人でも楽しめる作品ばかりです。

ゆったりと流れる時間が愛おしい「それからはスープのことばかり考えて暮らした」吉田篤弘

「それからはスープのことばかり考えて暮らした」吉田篤弘の書影
「それからはスープのことばかり考えて暮らした」吉田篤弘 著:中公文庫

舞台は、路面電車がのんびり走る町。主人公の青年・大里くんこと、オーリィくんは会社を辞め、この街に引っ越してきました。ある日、オーリィくんは商店街のはずれにある小さなサンドイッチ屋「トロワ」で買ったサンドイッチのおいしさに衝撃を受けます。それは、彼の人生を大きく揺るがすほどの味で、映画が頭に入らないほど。トロワのサンドイッチのとりこになった彼は毎日店に通うようになり、ついにはトロワで働き、オリジナルのスープを作ることになりますが…。

トロワの店主とその息子、アパートの大家さんに映画館でよく会う老婦人など、個性的で優しい登場人物との交流と、時間がゆるやかに流れる町の描写は、読んでいるだけで気持ちがゆったりしてきます。読んだ後はきっと、大切な人にスープを作ってあげたくなる、かも。

職人魂に心揺さぶられる「老人と海」アーネスト・ヘミングウェイ

老人と海 アーネスト・ヘミングウェイ
「老人と海」ヘミングウェイ 小川高義 訳:光文社古典新訳文庫

ハバナ近郊の町に住む老漁師「サンチャゴ」は、長い間大物を釣ることができず、漁師仲間にバカにされていました。ある日、サンチャゴは長年の経験と勘を頼りに、ひとり小舟で大海原へと乗り出します。太陽が昇って2時間が過ぎた頃、ついに巨大なカジキマグロがかかりますが、あまりの大きさに釣りあげることができず、船はカジキマグロとともに沖へ。3日間に渡る漁の結末とサンチャゴを待ち受けるものとは…。

巨大カジキとの闘い、どう猛なサメとの壮絶な死闘などから、人間の闘争本能と自然の摂理が感じられる、ヘミングウェイのベストセラー小説。短編小説のためページ数こそ少ないものの、力強い文章からは孤独な老漁師の不屈の精神や自然への畏敬の念がしっかりと伝わってきます。人間の根源的な強さを改めて感じさせてくれる、不朽の名作です。

おばあちゃんの愛情に触れる「佐賀のがばいばあちゃん」島田洋七

「決定版 佐賀のがばいばあちゃん」島田洋七 著:徳間文庫

昭和32年。広島に住む小学一年生の主人公・明広は原爆症で父を亡くし、佐賀にある母の実家で祖母と一緒に暮らすことになります。母の実家は極貧で、祖母「おさのばあちゃん」は苦労人でしたが、どんなことも明るく切り抜ける芯の強さがあり、明広は驚きます。奇想天外なアイディア、破天荒な発言で、いつも明広を煙に巻くばあちゃん。刺激に満ちた日々の中で明広はたくましく成長していき、佐賀の生活や学校の友達、ばあちゃんのいう「由緒正しい貧乏」暮らしにもなじんでいきます。

漫才師・タレントの島田洋七の実体験をもとにしたこの作品は、佐賀に住む「がばい(すごい)ばあちゃん」との8年間の生活をユーモアたっぷりに描いています。ユニークで愛情あふれるおばあちゃんの言葉は、読む人の心を和ませてくれること間違いなしです。

ミステリー好きに愛されるシリーズ作「セプテンバー・ラプソディ」サラ・パレツキー

シカゴの女私立探偵シリーズ、長編16作目の作品。ある日、主人公のヴィクは友人の医師・ロティからある頼みを受けます。その頼みとは、「助けて」というメッセージを残して行方が分からなくなった女性・ジュディを探してほしいというものでした。ジュディは麻薬中毒者で身を持ち崩しており、電話ではなにかに怯えている様子だったとのこと。ヴィクは親友でもあり、母とも慕うロティの頼みとあって、その依頼を受けることにします。調べたところ、ジュディの息子・マーティンも姿を消していることが発覚。マーティンはある企業の機密を奪ったすえ姿を消した疑いがかけられており…。

ウィーンとアメリカを舞台に、女探偵ヴィクが奮闘する物語。はじめは単なる人探しに思われますが、調べていくうち、核開発研究やシカゴの巨大企業、家族の歴史の暗部などが交錯する、壮大な事件だということが分かっていきます。シリーズものなので、連休中に制覇するのもおすすめ。ユーモアのあるミステリー小説が読みたい人はぜひチェックしてみては。

秋をじっくり味わえる「季節風 秋」重松清

「季節風 秋」重松清 著:文春文庫

澄んだ光に満ちた秋が、かけがえのない時間を連れてくる…。「季節風 秋」は、12人の主人公の秋の日常や心の葛藤を描いた短編集です。表題作「秘密基地に午後七時」は、アラフォーの中年男性5人の物語。同窓会で再開した5人は、秘密基地の集まりを始めます。金曜の夜になると秘密基地にやってきて、昔馴染みのメンバーで過ごすひと時を楽しむ5人。そんなある時、メンバーのひとりが息子を連れてきたいと言い出します。皆は反対しますが、よくよく聞いてみると、なにか理由がありそうで…。

もの寂しい秋の夕暮れを眺めながら、ひとりじっくり読みたい小説です。どれも秋の行事や催事などをテーマに書かれており、春・夏・冬もあり。ほか、「オニババと三人の盗賊」「サンマの煙」「風速四十米」「ヨコヅナ大ちゃん」「キンモクセイ」「よーい、どん!」「ウイニングボール」「おばあちゃんのギンナン」「少しだけ欠けた月」「水飲み鳥、はばたく。」「田中さんの休日」収録。

いつか本当に起こるかもしれない「東京大洪水」高嶋哲夫

東京大洪水 書影
「東京大洪水」高嶋哲夫 著:集英社文庫

大型台風23号が接近中。東京上陸はないと気象庁が発表しますが、日本防災研究センターの玉城は23号と24号が合体し、未曽有の巨大台風となって首都圏を直撃することを予知します。玉城の予想は的中、豪雨によって荒川が氾濫し、東京は過去に類を見ない大洪水に見舞われます。その後、要請によって荒川防災の現場に入る玉城ですが、建設中の高層マンションには妻とこどもたちが立て籠もっており…。

自然の猛威と災害時のパニックを描いたこの作品は、台風の季節である9月に読むことで、よりスリルを感じられます。本作はフィクションですが、自分事として読むことで都市生活の脆弱性の問題について改めて考えるきっかけになる、そんな一冊です。

インテリアとして飾りたくなる「きのこの妖精と虫たちのダンス」フィリップ・ユージー

きのこの妖精と虫たちのダンス 表紙画像
「きのこの妖精と虫たちのダンス」フィリップ・ユージー 作:大日本絵画

秋の森を舞台に、たくさんのきのことそこに暮らす虫たちの世界を表現した物語。ヒトヨタケは白いシンデレラ、ベニテングタケは不思議の国のアリスなど、それぞれのきのこの特徴が、幻想的な文章とカラフルなイラストで描かれています。きのこの紹介文には、食べられるかどうかの解説も。それぞれの見開きには、きのこと助け合って生きている虫たちの姿も描かれていて、見ているだけでうっとりする美しさです。

ページを開くと、可愛いきのこと虫たちが飛び出す絵本。赤、青、緑と鮮やかな色使いで、秋の夜長にお子様と一緒に楽しむのもおすすめですよ。

秋を思いっきり楽しもう。9月におすすめの読書法3選

自室やカフェなど、いつもの場所で読書をするのもいいですが、少し変わった読書法を試してみるのも風流で楽しいもの。秋らしいシチュエーションを選べば、本の世界により深く入り込むことができるでしょう。

虫の声を聴きながら月明かりの下で読書

 

虫の声が美しく響く夜は、月明かりの下で静かに読書を楽しんでみてはいかがでしょうか。虫の声を聴きながら物語の世界に没頭することで、心身ともにリラックスできます。余計なものが目に入らない場所では集中力も一層増し、本の世界により深く没入できますよ。

秋の雨音を聴きながら読書

 

バケツをひっくり返したような夏の雨と違い、秋はしとしと降る弱い雨が多くなります。窓の外で聞こえる雨音は静かで心地よい時間を演出してくれるほか、現実から少し離れたひとときに身を任せたいときにも効果的です。雨の日は温かいコーヒーや紅茶をいれて、室内でゆっくり読書を楽しみましょう。

縁側でサンマを焼きながら読書

七輪でサンマを焼く

 

9月といえば、秋の味覚・サンマの旬。縁側でサンマを焼きながら読書をするのは、日本ならではの楽しみ方ではないでしょうか。秋風が心地よい季節、サンマの香ばしい香りとともに読書をすれば、秋の訪れをより一層感じられますよ。

おわりに

 

今回紹介した作品は、どれも秋の読書タイムを楽しむのにぴったりな本ばかりです。暑さも和らぎ、秋の訪れを感じられる9月は、読書に集中しやすい季節。ぜひお気に入りの本を見つけて、秋の夜長を楽しんでくださいね。

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