くねくね、ゆらゆら、プルプルなど、さまざまな動き方がある猫のしっぽ。いつも同じ動きではないからこそ、「どんな意味があるんだろう」と疑問に思いますよね。猫のしっぽには私たちが想像する以上の役割があり、猫の気持ちや状態を読み解くときの大きな手掛かりになります。この記事では、しっぽの動き別にみる猫の気持ちや正しいしっぽの扱い方など、愛猫とのより良いコミュニケーションに生かせる知識を紹介します。
猫のしっぽには重要な役割がある
しなやかな長いしっぽ、丸くて短いしっぽなど、猫種や個体によってさまざまな特徴がある猫のしっぽですが、どれも単なる飾りというわけではありません。猫にとって必要不可欠な器官といえるしっぽには、主に以下2つの役割があります。
バランスを保つ役割
猫は歩くときや高いところを上り下りするとき、しっぽを振ってバランスを取ります。猫が不安定な場所でも自由自在に移動できたり、高い場所から落ちても難なく着地できたりするのは、しっぽが舵取りの役目を果たしているから。しっぽには体のバランスを保つ重りのような役割があり、猫はしっぽの高さや動きを変えることで姿勢を安定させています。
コミュニケーションの手段
猫のしっぽは重要なコミュニケーションツールでもあります。猫は言葉を話せませんが、しっぽの形や動き、高さで人に気持ちを伝えてくれます。表情や鳴き声などと一緒にしっぽの様子も見ることで、より正確に猫の気持ちを推測できるでしょう。
しっぽの動き別・猫の気持ち9選
猫がどんな気持ちかによって、しっぽの意味や動きは大きく変化します。かぎしっぽやパンダのような丸く短いしっぽの場合、動きが小さくて気持ちが読み取りにくいこともありますが、注意深く観察すれば猫からのメッセージに気付けるはず。
愛猫の気持ちをより理解できるよう、ぜひしっぽの動きに注目してみてくださいね。ここでは、しっぽの動きから分かる猫の気持ちについて紹介します。
ピンと垂直に立てる【嬉しい気持ち】
猫がしっぽを上にピンと立てているときは、嬉しいと感じているサイン。家族が帰ったときや大好きなおやつをもらうとき、褒めてもらったときなどにみられます。飼い主さんに対して甘えたいというアピールでもあるので、優しくなでてあげると喜ぶでしょう。
くねくねと動かす【楽しい気持ち】
猫がしっぽをくねくねさせて近づいてきたら、「遊ぼう」と誘っているのかも。猫は楽しいと感じているときにしっぽをくねくねと動かします。猫との絆を深めるチャンスと考え、愛猫が好きなおもちゃで一緒に遊んであげるといいですね。
ゆらゆらと動かす【リラックスしているしるし】
しっぽを左右にゆらゆら動かしている場合、猫は心からリラックスしています。お気に入りの場所で寝そべっていたり、目を細めて気持ちよさそうにしていたりするなら、猫が上機嫌になっている証拠。むやみに構わず、そのままのんびりさせてあげましょう。
先っぽだけ曲がっている【大好きという気持ち】
ピンと立てたしっぽの先端だけ曲げているのは、「あなたのことが大好き」という猫なりの愛情表現です。お出迎えのときにみられるときは「おかえり」とあいさつしてくれているサインなので、ありがとう・ただいまと優しく応えてあげてください。
先っぽがプルプル震えている【好奇心のしるし】
好奇心を刺激されたとき、猫はしっぽの先をプルプル震わせます。猫には鳥や虫など動くものを捕まえようとする習性があり、獲物を見つけると本能的に興奮します。もし猫がなにかを見てしっぽを震わせているなら、「これはなんだろう」「追いかけたい」と思っているのかも。そのまま様子をみていれば自然に収まるので、特別なにかする必要はありません。
バタバタと大きく激しく振っている【イライラのしるし】
床や壁をバタバタ叩くようにしっぽを振る場合、猫はかなりイライラしています。これは歯みがきや爪切りなど、猫がイヤなことを我慢しているときにもみられる仕草。猫がしっぽを激しく振っているときはむやみに構わず、落ち着くまで放っておきましょう。
大きく膨らませている【威嚇のしるし】
相手を威嚇するとき、猫はしっぽの毛を逆立てて大きく膨らませます。しっぽを膨らませるのは、少しでも自分を大きく見せて強さをアピールしたいという気持ちからくる行動のひとつです。猫が少しでも安心できるよう、「怖くないよ」となだめてあげましょう。
足の間に巻き込んでいる【怖い気持ち】
猫がしっぽを後ろ足の間に巻き込むのは、相手や状況に恐怖を感じているサインです。この行動は「攻撃しないで」「降参します」など、敵意はないことを相手に伝えるメッセージであり、花火や雷といった大きな音に驚いたときにみられることも珍しくありません。猫の性格にもよりますが、猫に危険がない場合はそのまま見守ってあげてくださいね。
だらんと下がっている【悲しい気持ち】
イヤなことがあったときや飼い主さんに叱られたとき、猫は耳を倒してしっぽを下げます。そのほか、ひげが下がっていたり背中が丸まっていたりするのも猫がしょんぼりしているときの特徴なので、優しく声をかけてなぐさめてあげましょう。
また、特に落ち込む理由がないのにしっぽが下がっているときは、体調不良を起こしているかもしれません。食欲など様子がおかしいと感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。
知っておこう!猫のしっぽの正しい扱い方
見ているだけで癒される猫のしっぽ。ゆらゆら揺れているとつい触りたくなりますが、誤った扱い方をすると猫に大きなストレスがかかるうえ、思わぬケガのリスクも高まります。そこで最後に、猫のしっぽの正しい扱い方をご紹介。猫に余計な負担をかけないためにも、愛猫のしっぽの扱いには十分注意しましょう。
不必要に触ってはいけない
猫のしっぽは多くの神経が通っている、とてもデリケートな部分。痛みを感じやすい部位でもあるので、基本的に猫はしっぽを触られることを好みません。
特に敏感な性格の猫や迎えて間もなく警戒心が強い猫の場合、しっぽを触ったことで神経関係が損なわれる可能性も考えられます。猫にストレスを与えないためにも、しっぽは強く握ったり引っ張ったりせず、むやみに触るのは避けたほうが良いでしょう。
しっぽの付け根は触ると喜ぶ場合も
とても敏感な猫のしっぽですが、付け根であればむしろ触られたいという猫も多いでしょう。猫のしっぽの付け根には生殖器につながる神経やツボ、フェロモンを出す分泌腺などが集まっていて、優しく叩かれたり撫でられたりすると、心地よい刺激を感じられます。
また、しっぽの付け根は猫自身で触れられない箇所。毛づくろいができないぶん汚れや皮脂による痒みを感じやすいので、掻くように撫でると喜ぶ猫も少なくありません。しっぽの付け根を触ると喜ぶ猫は全体の6割程度いるので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
おわりに
一見単純にみえる猫のしっぽの動きですが、実はそのひとつひとつに意味があります。しっぽの動きを観察し、「このこは今なにを感じているのか」「なにを伝えたいのか」を考えながら接することで、愛猫との関係はさらに良くなるはず。ぜひしっぽの動きから愛猫の気持ちを確認して、日々のコミュニケーションに役立ててみてくださいね。