“Cats are connoisseurs of comfort.” 〜猫は快適さの鑑定士である〜
という言葉があります。ネコ暮らすということは、いかに「快適な空間をつくり上げる」か。イヌと違って単独行動を好み、誰に対しても自由気ままに振る舞うネコ。彼らとの暮らしは一体どんな日々なのでしょうか。
本連載の第1回は、フォトグラファーの浜村菜月さんとまきゃべりくんの暮らしぶりをのぞき見します。
MOKUJI
ネコ:まきゃべりくん(4歳半)・足が長めのマンチカン・大人しく寂しがり屋
家主:浜村菜月さん(36歳)・フォトグラファー(公式サイト)・お酒が好き
おうち:56平米・1LDK+書斎・渋谷区
まきゃべりくんとの「出会い」
―どうやってふたりは出会ったんでしょう?
「本当に、ただの偶然なんです。昔住んでいた家の近くに、小さなペットショップがあって。外から見えるショーウィンドウに、すごくかわいい小さなイヌとネコがいたんです。
それからは毎日、家に帰る道すがらウィンドウ越しに見ていたんです」
―なるほど。そのうち情が移っちゃったんですね?
「ワンちゃんはすぐに売れてしまったんですが、ネコのほうは飼い主が見つからなかったのか、日に日に大きくなっていくんですよ。
そこである日、『ウチに来るか?』って声をかけて、飼うことに決めたんです。しかも、実際に一緒に住み始めてみると、本当にかわいくて♡
そのとき、家を買ってリフォームをして住むことが決まっていて、部屋づくりはまきゃべりとの暮らしに支障がないものを目指しました」
まきゃべりくんとの「暮らしぶり」
ネコと飼い主。ふたりのお気に入りの場所
―お部屋の中で、まきゃべりくんと浜村さん、それぞれのお気に入りの場所は?
「まきゃべりは、大きな窓からの眺めを見ながらまったりするのがお気に入りのようです。ネコにとっての“窓”は、人間にとっての“テレビ”のようなものだと聞いたことがあります。
だから、窓用のスクリーンを吟味し、上からも下からも開けられるタイプを選び、まきゃべりがいつでも外を見られるけれど、光を取り入れられるようにしました」
「私が気に入っているのは、床から一段下げてつくった、“くぼみ”状のリビングです。お気に入りのクッションに埋もれながら、映画を見たり友人を招いてお酒を飲んだり。この上にハンモックを吊るしているのですが、そこもとっても快適です。
リフォームをするとき、床下の配管がないところを選び、30cmほど下げてもらったのですが、居心地の良さに自分でも驚いています(笑)」
ネコと暮らす上で、こだわったポイント
―まきゃべりくんと住むうえで、浜村さんがこだわったところはありますか?
「まきゃべりがどんなときでも自由に移動できるように、ドアを極力減らしています。
また、モロッコで購入したカゴをあちこちに置いて、好きな場所で休んでもらっています」
ー本棚にキャットステップがつくられていますね。
「はい。キャットタワーの購入も考えたんですが、結構大きいし、なんていうかインパクトが強くて。本棚に合板を差し込んでみたら、省スペースにもなるし、とても良い感じになりました」
部屋のコンセプト
―お部屋のテーマやコンセプトはありますか?
「ネコにストレスがかからないこと。それを徹底したつもりです。
先ほど言った、仕切りや区切り、ドアなどをできるだけ減らしたこともそうですが、まきゃべりが自由に動けるように配慮しています」
―すべての中心が、まきゃべりくんなんですね。
「ネコと暮らす以上、人間がネコに尽くすのは当たり前のことですから♡」
ネコと暮らすうえで気をつけていること
猫との生活で工夫しているところ
―ほかに、ネコと暮らすうえで気を付けていることはありますか?
「以前住んでいた家は、床材がパインで柔らかくてネコの爪で床が傷だらけになってしまったんです。
この部屋で選んだのは、ほどよい固さのあるオーク材。ただし、まきゃべりの足を傷めないよう、あちこちにじゅうたんを敷いています」
自宅をキレイに保つためにしていること
―動物を飼っていると、どうしても抜け毛など、汚れが気になりますよね。
「あまり神経質にはならず、汚れが気になったら掃除機をかける程度ですね。
ただ、まきゃべりはごはんを食べるのがとってもヘタなんです(笑)。フードボウルが小さいと撒き散らしてしまうので、海外で見つけたフードスタンドに大きめの器をのせて使っています。これだと食べやすいようで、こぼすことが減りました」
「ラッキーなことに、まきゃべりは観葉植物や花瓶に飾った花などを、倒したりかじったりすることはありません。なのであまり気にせず、植物を置いています。
もちろん、ネコにとって毒になる植物には注意していますよ。触られたくない小さな雑貨や割れ物などは、ネコが届かない棚に並べています」
猫砂の置き方もひと工夫
―ネコちゃんとの暮らす上で、最大のネックになるのがトイレだと思います。
「一般的なシステムトイレにはおからの砂、ホーローのたらいには鉱物の砂を入れています。基本的には鉱物の砂が好きですが、日によって、気分によって、好みが変わるので選べるようにふたつ置いています」
ネコとの共同生活で、困っている人へのアドバイス
―ネコと暮らすうえで、部屋が散らかる、荒らされる、といったことで困っている方も多いようです。
「ごく簡単なことですが、ネコの目線ですべてを見渡してみるといいと思います。
ごみ箱はフタ付きのものにする。食事が終わったら、すぐに流しに下げる。尖っているものなど、危ないものは置かない。ネコが興味を示しそうなものをケアするんです。
あとは、ストレスをできるだけ取り除いてあげるよう配慮をする。これがいちばん大切かもしれません」
家主が生活しやすいtipsも盛り沢山!
―まきゃべりくん中心につくられた家であることは、とてもよく分かりました。浜村さんたち飼い主用のスペースはあるんですか?
「もちろんです(笑)。寝室の横に私専用の書斎をつくりました」
「キッチンも使いやすいよう、棚などにこだわって配置しています」
「左上のキッチンラックをどうしても入れたくて。オープン型の収納にすることで、ワンアクションで取って使えるのでとても便利です」
ネコと暮らすうえでのMy3ヶ条
その1 ネコに優しい床!
その2 しきりを減らし、ネコのストレス減
その3 人間もネコとの暮らしを十分に楽しむ
「ごく当たり前の3ヶ条でごめんなさい。でも、何がまきゃべりのためになるのか。飼い主として、何がしてあげられるのか。それを考えることもまた、飼い主の楽しみのひとつだと思っています」
浜村さんお手製の猫じゃらしやおもちゃたち。https://meowonder.theshop.jp で販売もされています。
おわりに
ネコという自由気ままな性格をした生き物と暮らすためには、工夫や不自由を楽しむことが大切なのだと、浜村さんのおうちを取材していて気付くことができました。
ネコと暮らす日々。
そこにはたくさんの“愛情”と“気づき”が詰まっているのです。
Photo_Takumi Shinoda(go relax E more) Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara
フォトグラファーとして、女性ファッション誌やビューティー誌などで活躍。著書に愛猫の「まきゃべり」との暮らしを写し出した「猫と楽しむニャンスタグラムのすすめ LET'S ENJOY CAT×Instagram(インプレス刊)」がある。
浜村菜月
@machiavelli_y