ソースは焼きそばやとんかつ、お好み焼きなど、さまざまな料理に使える万能調味料。一見同じ味に思えるソースですが、実は原材料やとろみ加減によって種類があり、それぞれ味わいが異なります。この記事では、主なソースの種類と違い、おすすめのレシピを紹介します。料理に合わせてソースを使い分けて、いつもの料理をよりおいしくいただきましょう。
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ソースとは?基準や生い立ちを解説
ソースとは、「野菜や果物に調味料や香辛料をくわえ、煮詰めて熟成させたもの」のことです。代表的な種類としては、ウスターソースやケチャップ、お好みソース、デミグラスソースなどが挙げられますが、日本で「ソース」と認識されているのは「ウスターソース」や「中濃ソース」、「濃厚ソース(とんかつソース)」などが一般的でしょう。
これらのソース類はJAS規格で「粘度」によって分けられていて、粘度0.2pa・s未満の比較的サラサラしたものを「ウスターソース」、粘度0.2pa・s以上2.0pa・s未満のものを「中濃ソース」、粘度2.0pa・s以上のどろっとしたものを「濃厚ソース」に分類します。
なお、ソースが誕生したのは、19世紀初めのイギリス「ウスターシャ地方」だといわれています。当時、ひとりの主婦が余った野菜や果物をつぼに入れ、腐らないようにスパイスなどをくわえて保管。数か月後にみてみると食材が黒く熟成し溶け合っていて、風味豊かな味になっていたのだとか。その味わいが評判を呼び、地元で「ウスターソース」として販売されたことが、現在のソースの始まりだといわれています。一般家庭で起こった偶然のできごとがソース発祥のきっかけとは、驚きですね。
ウスターソース
野菜や果物の繊維質が少なく、さらっとした辛口のソースです。主に関西、九州など西日本で愛用されていて、天ぷらにつける人も珍しくないのだとか。製造会社によって味の特徴が大きく異なるため、中濃ソースや濃厚ソースに比べて商品ごとの違いが分かりやすいソースといえるでしょう。
中濃ソース
ウスターソースと濃厚ソースの中間タイプで、甘辛い味付けのソースです。ピリッとした味と甘い味両方を持ち合わせていて、もっともバランスが良いソースといえますね。関東より北の地域で親しまれていて、カキやアジなど魚介のフライに使われることが多いでしょう。
濃厚ソース(とんかつソース)
かつてはフルーツソースと呼ばれたほど果物の配合量が多く、甘口で繊維質が多いソースです。ドロッとした濃厚さが特徴で、こどもも好むクセのない味わいが魅力。甘口が好きな関東をはじめ、北陸・中部・近畿・四国などでもウスターソースと併用して使う人が多いようです。
【ウスターソース】種類別|ソースの使い分け&レシピ
しょうゆのようにサラッとしているウスターソースは、かけたりつけたりしやすいソースです。辛口というと使い道が限定的に思えますが、実はその使い道はバラエティーに富んでいて、主食からおかずまでさまざまな料理に活用できます。ここでは、ウスターソースが合う料理やおすすめレシピを紹介します。
ウスターソースの活かし方
ウスターソースは3種類のなかでもっとも粘度が少なく、程よいスパイシーさとサラッとした口当たりが魅力です。他の食材の味を邪魔しないので比較的どんな料理にも合いますが、特に麺類と合わせるとコクが出て深みがグッと増します。また、串カツなどの揚げ物をさっぱり食べたいときや、ミートソースなどトマトを使った洋食の隠し味としてもおすすめです。
ウスターソースレシピ|豚肉のからしウスター炒め
ウスターソースとからしでピリッと辛口に仕上げた、豚肉と玉ねぎの炒め物です。ニンニクのパンチがよく効いていて、夏バテや疲れで食欲がないときにもぴったりのメニュー。風味や辛みが逃げないよう、からし調味料はお皿に盛りつけた後でかけるのがポイントです。
<材料>
・玉ねぎ…2分の1
・ニンニク(粗みじん切り)…1かけ
・ゴマ油…適量
A)
・豚肩ロース切り落とし…150グラム
・片栗粉…小1
・醬油…小1
B)
・ウスターソース…大2
・みりん…大1
C)
・からし…小1~2
・お酢…小1
・ゴマ油…小1
<作り方>
1.玉ねぎを薄切りにする
2.ニンニクを包丁などでつぶし、粗みじん切りにする
3.豚肩ロースに片栗粉、醤油をまぶして下味をつける(A)
4.ボウルでウスターソースとみりんを合わせて混ぜる(B)
5.4とは別のボウルにからしとお酢を入れて混ぜ、ゴマ油を加えてさらに混ぜる(C)
6.フライパンに適量のゴマ油を広げて、3を炒める
7.豚肩ロースに焼き色が付いたらニンニクを入れてさらに炒める
8.1をくわえ、サッと炒め合わせる
9.玉ねぎがしんなりしたら水を大さじ1杯程度入れ、ふたをする
10.30秒~1分経ったらふたを開け、水分が飛ぶまで炒める
11.4(合わせ調味料B)を入れて、まんべんなく混ぜ合わせる
12.全体にからんだら火を止め、器に盛る
13.5(合わせ調味料C)をかけて完成
【中濃ソース】種類別|ソースの使い分け&レシピ
マイルドな味わいの中濃ソースは、ソースの中でも好みが分かれにくいソース。こどもから大人までおいしく食べられて、ウスターソースや濃厚ソースの代用品としても活躍します。ここでは、中濃ソースと相性が良い料理やおすすめのレシピを紹介します。
中濃ソースの活かし方
甘みと辛みのバランスが良い中濃ソースは、揚げ物や料理の隠し味、他のソースの代用品など、幅広い用途で活用できます。特に相性が良いのは生姜焼きやかば焼きなど、とろみと照りがある料理。少量サッと入れるだけで、食材のおいしさを引き立たせてくれますよ。
中濃ソースレシピ|スペアリブ
こんがり焼いた鶏スペアリブに濃厚なソースを絡めた一品。必要な調味料・食材が少ないので、食べたいときにすぐ作れます。卵はあらかじめ茹でておくと時間短縮になるので、平日忙しい日の作り置きレシピとしてもおすすめです。
<材料>
・ゆで卵…2個
・中濃ソース…大さじ2
A)
・鶏スペアリブ…150グラム
・塩…少々
・黒こしょう…少々
B)
・中濃ソース…大さじ1と2分の1
・おろししょうが…少々
<作り方>
1.鶏スペアリブに塩・黒こしょうをかける
2.オーブン用シートを敷いた天板に鶏スペアリブを並べる
3.オーブントースターで約15分(1000Wの場合)焼く
4.ボウルで中濃ソースとおろししょうがを合わせ、3の鶏スペアリブを入れてあえる
5.ポリ袋にゆで卵と中濃ソースを入れ、空気を抜いて口を閉じたら冷蔵庫へ入れる
6.1時間以上漬けたら卵を鶏スペアリブに添えて完成
【濃厚ソース(とんかつソース)】種類別|ソースの使い分け&レシピ
とろりとした口当たりが特徴の濃厚ソース。果実がたっぷり使われていて、他のソースにはないフルーティーな味わいが魅力的です。ここでは、濃厚ソースにおすすめの料理やぜひ作ってほしい絶品レシピを紹介します。
濃厚ソースの活かし方
濃厚ソースは粘度が高いので、料理に染み込みにくいという特徴があります。そのため、とんかつなどサクサク感を保ちたい料理との相性がばつぐん。とろみと甘さを利用して、肉じゃがやカレーなどの隠し味に使うのもおすすめです。きんぴらの味付けやデミグラスソースのベースにも活用できるので、いろいろな場面で試してみてくださいね。
濃厚ソースレシピ|オニオンポークステーキ
おろした新玉ねぎが良いアクセントになっているポークステーキレシピ。片栗粉をまぶすことで肉にソースがよく絡まり、しっかりとした味付けになります。さっぱり食べたいときは千切りキャベツを添えるのもおすすめです。
<材料>
・豚ロース肉(とんかつ用)…2枚
・サラダ油…適量
A)
・酒…大さじ1
・塩、こしょう…少々
・片栗粉…大さじ2
B)
・醤油…大さじ1.5
・みりん…大さじ1
・砂糖… 大さじ1
・お酢…小さじ2
・おろしにんにく…小さじ1
・新玉ねぎ…2分の1
<作り方>
1.新玉ねぎの皮をむいてすりおろし、ボウルに入れる
2.1に醤油、みりん、砂糖、お酢、おろしにんにくを合わせる
3.豚ロース肉にラップをかけて叩いて伸ばし、格子状に切れ込みを入れる
4.6~8等分の食べやすい大きさに切り、ポリ袋に入れる
5.4に酒、塩・こしょうを入れ豚肉にもみこんだら、片栗粉をくわえてまぶす(A)
6.フライパンにサラダ油をひいて、焼き目が付くまで豚肉を中火で焼く
7.豚肉に焼き目がついたらひっくり返し、ふたをして弱中火で2分蒸し焼きにする
8.7をお皿に盛り、空いたフライパンに合わせ調理料(B)を入れて加熱する
9.8に7の豚肉を戻し、ソースが絡むまで炒めたら完成
おわりに
ソースは種類によって粘りや味が異なり、料理への活かし方も違います。辛口が好きな人はウスターソース、甘口が好きな人は濃厚ソース、バランス重視の方は中濃ソースがおすすめですが、今まで使ったことがない種類のソースを試してみるのも面白いですよね。ぜひいろいろなソースを試してみて、味の変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。