寒い日が続く12月、次に読みたい本はもうお決まりですか?部屋で過ごす時間が多くなる今の時期こそ、「まだ読んだことのない名作に出会いたい」「自分では選ばないタイプの本を読んでみたい」と思う人も多いでしょう。
この記事では、編集部がおすすめする12月に読みたい本7冊をピックアップ。合わせて12月ならではの読書法も紹介します。ぜひ今の気分にぴったりの1冊を見つけて、素敵な読書時間を楽しんでくださいね。
普段読まないジャンルにも挑戦してみて!12月におすすめの本7選
クリスマスやお正月のイメージが強い12月ですが、実は「日本人宇宙飛行記念日」や「遠距離恋愛の日」、「南極の日」などさまざまな記念日があるのはご存じでしょうか。どんな本を選べばいいか迷ったら、記念日にちなんだテーマの作品を読んでみると、また違った面白さが感じられるかも!ここでは、12月におすすめの本の魅力をあらすじとともにご紹介します。
ようこそ!SFの世界へ「沈黙のフライバイ」野尻 抱介
12月2日は日本人が初めて宇宙飛行に成功した「日本人宇宙飛行記念日」。そんなわくわくする日を想って読みたいのが、こちらの短編SF小説。
JAXA筑波宇宙センターに勤務する主人公・瑞城弥生は、ある日早期探知衛星から「警戒レベル5」のアラートを受けます。アンドロメダ方面から発信された有意信号によると、異星人の探査機が地球に向かっていることが判明。JAXAの弥生と野嶋は地球外生命体の探査機を迎えるため、奇抜なアイデアでコンタクトを取ろうとしますが…。
恒星間飛行、有人火星飛行計画、閉鎖生態系など、SF好きにはたまらない単語が数多く登場する、ハード志向のSF好きに愛される作品。未知の謎を追いかける主人公たちの行動がとても魅力的で、SFジャンル入門用としてもおすすめです。
私らしさってなんだろう「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」ブレイディ みかこ
12月10日は誰もが尊重され自分らしく生きる社会を目指して定められた「世界人権デー」。人権というとどこか大きなテーマでとっつきづらい…なんて方にぜひ読んでほしいのがこちらの一冊。
優等生の「ぼく」は、アイルランド人の父と日本人の母を持つ中学生。「ぼく」が通っている学校は人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺校で、毎日が事件の連続です。貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだりと、こどもたちは世界の縮図のような日常を過ごしています。「ぼく」はそんな学校での経験を家に持ち帰り、家族と話し合い、ともに悩むことで毎日を乗り越えていき…。
「ぼく」の母である著者が描く、等身大ノンフィクションエッセイ集。学校生活をめぐる出来事を通して、人種やジェンダー差別、貧富の差など多くの社会問題に触れています。自分自身を見つめ直すきっかけが見つかる、そんな一冊です。
すみません、純愛ものではございません「イニシエーション・ラブ」乾 くるみ
12月21日は「遠距離恋愛の日」。遠距離恋愛ってやっぱり難しい…?そう思ってしまうけど、それ以上にストーリー展開に惹きつけられる作品がこちら。
僕とマユの出会いは7月の合コンだった—。舞台はバブルにわく、1980年代後半の日本。大学4年生の「僕」こと鈴木は、代役で呼ばれた合コンで出会った歯科衛生士・マユに惹かれます。初々しい2人は徐々に仲を深め、「マユちゃん」「たっくん」と呼び合う関係に。毎週のデートで愛を深める鈴木とマユでしたが、鈴木の就職・転勤とともに雲行きが怪しくなり…。
恋愛小説でありながら、一部では「ミステリーのような展開」「しかけがすごい」と評判の作品。すべてを裏切る「最後から二行目の文章」を読んだとき、あなたは間違いなく衝撃を受けるでしょう。
食って心の栄養でもある「面白南極料理人」西村 淳
12月14日は人類が初めて南極点に到達した「南極の日」なんだとか。多くの人にとって未知の世界である南極ですが、そこでの生活を少し覗いているような感覚になれるのがこちら。
ウイルスさえも存在しない最果ての地、南極ドーム基地。平均気温マイナス57℃、標高3800メートルと世界一過酷な場所で第38次越冬隊の9人は、ともに1年を過ごすことになります。誰がみても辛い状況ですが、選り抜きの食材と創意工夫の精神、仲間同士の強い絆のおかげで、南極生活は抱腹絶倒の毎日で…。
テレビドラマや映画にもなった、大人気ベストセラーエッセイ。南極ドーム基地で調理担当として過ごした作者の視点から、南極ならではの創意工夫や食材の選びの経験を豊かな表現で綴っています。クスッと笑える本が読みたい人は、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
身も心もスッキリしましょう「片をつける」越智 月子
いよいよ年末に向けて大掃除に明け暮れる季節がやってきましたね。掃除だなんて、なかなか重い腰が上がらないという方も多いことでしょう。そんな時はこちらの一冊を読んでみてはいかが?
まもなく40歳になる主人公・阿沙は、亡くなった母の遺産と週2回の絵本の読み聞かせで生活しているひとり身の女性。ある日、隣に住む老婆から部屋の片づけを頼まれた阿沙は、過去の経験から得た掃除テクニックを老婆に教えることに。ともに片付けを進める中で、少しずつ明らかになっていく老婆の過去。と同時に、阿沙も幼少期の悲しい記憶がよみがえってきて—。
人生でしょい込んだ荷物と厄介ごとを部屋の片づけに絡めた、切なくも心温まる傑作小説。片付けのコツも丁寧に解説されていて、読んでいるとなんだか大掃除がしたくなる、年末にぴったりの作品です。
読むたびに見えるものが変わる「星の王子さま」サン=テグジュペリ
今年もあと一か月。今年一年どんな年だったっけ、来年はどんな年にしたいかなーと思いを巡らすことも多いですよね。新年を前に、一度立ち止まって自分を振り返るきっかけになるのがこちらの作品。
飛行機の操縦士である「ぼく」はサハラ砂漠に不時着し、不思議な金髪の少年と出会います。少年はある小惑星からやってきた王子で、ほかの星を見るために旅をしているのだとか。王子は旅先で出会ったへんてこな大人や美しい花々、仲良くなったキツネを通して得た教訓を「ぼく」に話してくれます。
友情、愛、人生の意味について考えられる、哲学的な絵本作品。児童書としても人気の一冊ですが、「肝心なことは目では見えない」という言葉には深いメッセージ性が感じられます。星のようにキラキラときらめく王子様の言葉は、大人にこそ沁みるかもしれませんね。
大人になっても忘れたくない「ゆきの日-on Christmas day-」菊田まりこ
やっぱり外せないのはクリスマスにまつわる物語!よくあるワクワクするような楽しいお話…とはちょっぴり違う、味わい深いクリスマスの絵本はいかが?
ある冬の日、目が覚めると外は大雪になっていた。そんな日でも大人の「ぼく」は仕事に行かなくちゃ、と憂鬱な気持ちで会社へ向かう。雪の日は最悪だと思う「ぼく」とは対照的に、すれ違うこども達は無邪気にはしゃいで楽しそう。なんだか寂しさを覚えた「ぼく」。そんな時突如不思議なおじいさんが現れて…。『ぼくは失ったものなどなにひとつない。わすれていたものがたくさんあるだけだ』
クリスマスの日に「ぼく」に起きた小さな奇跡のお話。シンプルな絵とやさしい言葉にほっこりあたたまる作品です。忙しさに追われ、心が疲れているときに、大事なものは何かを思い出させてくれます。自分自身への贈り物としてはもちろん、大切な人へプレゼントするのもおすすめですよ。
12月におすすめの読書法3選
あわただしく急ぐ人々に凛と澄んだ空気、どこからか漂うストーブのにおい。そんな12月の魅力を満喫するには、どんな読書法を選べばいいのでしょうか。ここでは、12月こそおすすめの読書法を3つご紹介します。ぜひ本の雰囲気や気分に合った読書法を選んで、本の世界に没頭してみましょう。
キャンドルの明かりの下で読書
12月の寒い夜には、キャンドルの優しい光のもとで読書を楽しむのがおすすめです。キャンドルの炎にはリラックス効果があるといわれていて、落ち着いた気分で本を読みたいときにぴったり。とくに心温まるストーリーを読むときには、キャンドルを使って心穏やかなひとときを演出すると、物語の世界により深く入り込めるかもしれません。
ホットドリンクで温まりながら読書
冬の時間をより贅沢に過ごしたいときは、読書のおともにホットドリンクをプラスしてみて。コーヒーやホットティー、ホットミルクなど温かい飲み物を飲めば、寒い日も心身ともにぽかぽかになります。お気に入りのソファやチェアにゆったり座りつつ、心安らぐ読書時間を楽しんでくださいね。
いつものココアやコーンポタージュが贅沢な味わいに。スパイスを使ったドリンクレシピ5選 大人のためのココアアレンジレシピ特集|牛乳の代わりにおすすめのミルクも比較解説!忙しく行き交う人々がよく見える窓辺で読書
年の瀬の12月といえば、街全体がせわしない雰囲気になる季節。外を行き交う人々を眺めながらの読書は、どこか現実離れした気分になれる特別なひとときです。ぜひ一杯のホットドリンクを傍らに、物語の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。
読書で12月を楽しもう
今回は、12月におすすめの本を7冊ご紹介しました。クリスマスや年末など特別なムードがある12月は、読書がより魅力的に感じられる月でもあります。この冬はぜひキャンドルの明かりのもと、ホットドリンクを片手に素敵な時間を過ごしてみてくださいね。
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