年末が近づくと、SNSやカフェ・ベーカリーで見かける「ガレット・デ・ロワ」。新年を祝うフランスの伝統菓子ですが、最近はすっかり日本でも人気ですよね。今回はその特徴や食べ方、そして表面の模様の違いや、中に入っている「フェーヴ」について解説します。ガレット・デ・ロワが購入できる魅力たっぷりのおすすめのお店も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください!
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フランスの伝統菓子 ガレット・デ・ロワとは
「ガレット・デ・ロワ(Galette des Rois)」は、新年を祝うフランスの伝統菓子のひとつ。よく「王様のガレット」と和訳されますが、「ガレット」は円型で平たく焼いたお菓子、「ロワ」は最初にイエス・キリストを礼拝した「東方三賢人」や「東方の三博士」などと呼ばれる三人の王を指し、キリスト教の祝日「エピファニー(公現祭)」を象徴するお菓子です。ガレット・デ・ロワは、1月になるとフランス中のブランジェリーやパティスリーの店頭に並びます。最近では日本国内でも多くのお店で購入できます。
ガレット・デ・ロワの特徴
ガレット・デ・ロワは、飾り模様の入った折込パイ生地にアーモンドクリームが詰められた焼き菓子。一般的な詰め物はアーモンドクリームがメインとなりますが、チョコレート・リンゴ・フルーツの砂糖漬けなどアレンジを加えたものもあります。またガレット・デ・ロワの表面には美しい飾り包丁が入れられています。
ガレット・デ・ロワに入っているフェーヴ
ガレット・デ・ロワの中には「フェーヴ」と呼ばれる、小さな陶器のフィギュアが入っています。
直径2~3cmほどの大きさのフェーヴは、フランス語で「そら豆」を意味します。実際にはそら豆ではなく、陶器製のフィギュアや大粒のアーモンドなどを入れることが多く、それらは新年の幸福をもたらすラッキーアイテムとされています。ガレット・デ・ロワを切り分けて自分のピースにフェーヴが入っていた人は、その日1日王冠をかぶって「王様」「女王様」となり、皆から祝福されます。そして家族や友人たちと1年の始まりをガレット・デ・ロワでお祝いします。
フェーヴには人形・食器・ケーキ・動物など様々な種類があり、シリーズになっているものも。その可愛さのあまりフェーヴをコレクションする人も多いようです。
ガレット・デ・ロワを食べる時期
ガレット・デ・ロワは、キリスト教の祝日「エピファニー(公現祭)」に限らず、1月下旬くらいまで何度でも食べて新年をお祝いします。フランス人にとっては「これを食べないと新年が始まらない」といっても過言ではないくらい、1月のシンボル的な存在。新年に家族や友人と集まってガレット・デ・ロワを囲むだけでなく、学校給食のデザートや会社の食堂・病院の食事でも1月上旬に「ガレットの日」があるのが一般的です。
ガレット・デ・ロワの食べ方
ガレット・デ・ロワには、伝統的な食べ方があります。まずガレットを囲む人の中で一番年の若い人がテーブルの下に入ります。そしてその最年少の人は目隠しをするなど、ガレットが完全に見えない状態で待機、その間に他の人がガレットを切り分けます。その後、切り分けたガレットをデーブルの下の最年少が誰に配るかを指名することで、もし切り分けている時にフェーヴが見えてしまったとしても、公平に分けることができます。
また8人用や10人用の大きなサイズの場合、王冠は2つ付いていることもあります。フェーヴを当てて王様・女王様になった人は、もう一人の王様・女王様となるパートナーを指名し、一緒に王冠をかぶることができます。ガレット・デ・ロワを味わいながら、みんなで和気あいあいとした楽しい時間を過ごせることでしょう。
ガレット・デ・ロワの模様の種類と意味
ガレット・デ・ロワの表面に入れられた美しい飾り包丁の模様(レイエ)も特徴的です。レイエを入れる作業は非常に繊細。オーブンで焼く前に小型ナイフやカービングナイフで切れ目を入れておき、焼いた後にその切れ目が開き美しい飾り模様となります。
ガレット・デ・ロワ特有の飾り模様にはそれぞれ縁起の良い意味が込められていて、伝統的なモチーフは以下の4種類。これらの伝統的なモチーフにアレンジを加えたりすることで、ガレット・デ・ロワ作り手の技術や個性が描かれます。
麦の穂
矢羽根の模様は「麦の穂」と呼ばれ、「五穀豊穣」「生命を象徴する」といった意味が込められています。
太陽
ぐるぐると渦巻く模様の「太陽」には、「生命力」といった意味が込められています。
ひまわり
格子模様の「ひまわり」は、「栄光」「信仰心の篤さ」「忠誠」「キリスト教徒」を表すモチーフとなっています。
月桂樹
葉が複雑に組み合わさった葉っぱ模様の「月桂樹」には、「勝利」の願いが込められています。
ガレット・デ・ロワが購入できるおすすめのお店
実際、日本国内ではどこでガレット・デ・ロワを購入できるのでしょうか?通販を含め、おすすめのお店を5つ紹介します。
パティシエ・シマ
「パティシエ・シマ」は、日本フランス菓子界のトップパティシエの1人・島田進シェフが1998年に東京・麹町にオープンしたお店です。
●クラブ・ド・ラ・ガレット・デ・ロワの会長も務める島田進シェフの手により、日本の人々や風土に合わせて最高の味に作り上げられたフランスの正統派伝統菓子ガレット・デ・ロワ。
パティシエ・シマのガレット・デ・ロワは、芸術的で美しいクープ(切り込み)が特徴的です。フランス・ノルマンディ地方のイズニーサントメールバターを使ったパイ生地は、軽やかで香ばしい食感。中に詰められたアーモンドクリームも風味豊かで、飽きのこない美味しさに仕上がっています。
中には安全のため、フェーヴの代わりにアーモンドの粒が入っています。アーモンドが当たった人に別添のフェーヴをプレゼントしましょう。販売は年末からですが、詳しくは公式サイトをチェックしてみてくださいね。
パティスリー・ル・ポミエ
「パティスリー・ル・ポミエ」は、フランス・ノルマンディ出身オーナーシェフのフレデリック・マドレーヌ氏が2005年10月にオープン。現在は、世田谷区北沢と麻布十番に実店舗があります。
フレデリック・マドレーヌシェフは「素材本来が持つ香り・酸味・甘さのすべてを、素材そのもの以上にいかに引き立てられるか」をお菓子作りの基本姿勢とし、フランス伝統菓子の基本に忠実なお菓子作りを行っています。
パティスリー・ル・ポミエのガレット・デ・ロワは、シェフこだわりの厳選素材のみを使用。バターの風味豊かなサクサクのパイ生地に、アーモンドクリームを入れて香ばしく焼き上げています。中にはフェーヴの代わりにアーモンドが入っているので、アーモンドが当たった人に別添えの陶製フェーヴをプレゼントしましょう。公式サイトのオンラインショップでも購入できますよ。
Régalez-vous (レガレヴ)
「Régalez-vous (レガレヴ)」は、パティシエとしてのフランス在住歴26年・シェフとして輝かしい経歴の持ち主でもある佐藤亮太郎シェフが、2021年鎌倉にオープンしたお店です。
シェフの作るフランスの伝統を踏まえたお菓子はどれも素晴らしい味わい。ガレット・デ・ロワはシェフがよりリッチな味わいに仕上げた逸品です。ザクザクした食感のパイ生地と、中に入ったアーモンドクリーム・マダガスカル産バニラの甘い香りに魅了されます。
レガレヴでは「プレーン」「ルージュ」の2種のガレット・デ・ロワを展開。ルージュではアーモンドの周りを赤い砂糖でコーティングしたプラリネルージュを使い、よりアーモンドの濃い味わいを楽しめます。
中にはアーモンドが1粒入っていて、アーモンド入りピースを食べた人がフェーヴ(陶器のフィギュア)をもらえます。フェーヴは10種類、何のフェーヴが届くかは開けてからのお楽しみです。
フランス洋菓子専門店 W.ボレロ(ドゥブルベ・ボレロ)
「W.ボレロ(ドゥブルベ・ボレロ)」は、南仏の別荘を思わせるイメージのフランス洋菓子専門店です。2004年滋賀県守山市にオープン、2013年秋には大阪本町店もオープンしました。シェフの渡邊雄二氏は毎年渡仏し、現地フランスで見て食べて感じ取ってきた感性と地道に築き上げてきた技術を織り交ぜて、極上のスイーツを展開し続けています。
ドゥブルベ・ボレロの各商品は、オンラインショッピングでお取り寄せできます。毎日の限定数が決まっているので、必ず公式HPを確認してくださいね。
ガレット・デ・ロワは、表面が香ばしくキャラメリゼされ、サクサクしたパイ生地が魅力。中のクリームはしっとりリッチな味わいです。「プレーン」「マロン」「ショコラフワンボワーズ」「オレンジ」の4種類あり、プレーンとマロンはMサイズ/Lサイズから選べます。1台に1つのフェーヴ(小さな陶器のおもちゃ)が入っているので、食べる時にはぜひ探しながら味わってみてくださいね。
※ショコラフランボワーズは店頭お持ち帰りのみの販売 詳しくは公式サイトをご覧ください
CINARIS(シナリス)
「CINARIS(シナリス)」は、2021年茨城県水戸市にオープン。オーナーシェフ吉成隆宏氏が「思い出に残る瞬間を彩るお菓子」をコンセプトに掲げたこだわりの詰まったお店です。店名「シナリス」は、オーナーシェフの姓「ヨシナリ」の『シナリ(CINARI)』に、Special(特別)、Supreme(最高)の頭文字『S』を付けた造語。「特別で最高なお菓子を多くの方にお届けする」という意味が込められています。
シナリスの各商品は、オンラインストアで購入できます。年末年始のお楽しみ「ガレット・デ・ロワ」のパイ生地は、茨城県産の小麦粉と北海道産のバターで折り込んだオリジナル。サクサクのパイの中にはマルコナアーモンドと国産の発酵バターを使用した、たっぷりのアーモンドクリームが入っていて、1台1台丁寧に仕上げてじっくりと焼き上げています。
フェーヴは限定で、梶田慶さん作の毎年モチーフが異なる「馬のフェーヴ」が入っています。追加生産分は別のフェーヴが入ることもあるので、詳しくは公式サイトのNEWSを確認してみてください。
おわりに
新年は家族や友達と一緒にフランス伝統菓子「ガレット・デ・ロワ」を味わってみてはいかがでしょうか。ぜひいつもとは違う特別感のあるスイーツを食べて、美味しく楽しく、一年の始まりをお祝いしてみてくださいね。