多肉植物はガーデニングやインテリアに、おしゃれな雰囲気を添えます。見た目の愛らしさだけでなく、手間がかからず簡単に増やせることも人気のひとつ。本記事では、多肉植物の栽培のポイントと育てやすい種類を紹介します。数ある種類の中から、お気に入りの品種を見つけてみましょう。
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多肉植物とは?
愛らしく手間いらずの多肉植物は、インテリアや観賞用としても大人気。多肉植物を育てるには、特性や生育期の種類について理解しておくことが大切です。ここでは、多肉植物の基本情報やサボテンとの違いなどを解説します。
初心者でも育てやすい植物
中南米・南アフリカの乾燥した地域に生育する多肉植物は、厳しい環境でも耐えられるよう、水を溜め込んだ肉厚な葉を持っています。よく比較されるサボテンやアロエは、多肉植物の一種として有名です。水を与える頻度も少なく生命力も強いため、栽培のポイントを押さえれば比較的育てやすい植物と言えます。
肉厚の葉が愛らしく、その個性的な姿に魅了される人も多い多肉植物。お部屋のインテリアとしてもなじみやすく、数年前にブームが始まって以来、今でも人気が続いています。
季節ごとに3タイプ
約2万種類近くあるといわれる多肉植物。最も重要なのが育てる植物の生育期を調べることです。生育期と休眠期のタイプで、春秋型・夏型・冬型の3種類に分けられます。
春と秋に活発に成長し、真夏と真冬に休むのが春秋型です。春秋型の多肉植物には、エケベリア・セダム・コチレドン・ハオルチア・センペルビウムなどがあります。
夏型は、初夏から秋にかけて活発に成長し、冬から早春は休眠期に入ります。カランコエ・アガベ・ユーフォルビアなどが夏型の多肉植物です。
冬型は、気温が高い真夏は休眠し、冬を通して春までの間に成長します。冬型には、コノフィツム・クラッスラ・プレイオスピロス・リトープスなどがあります。
多肉植物はアフリカで自生していたものが多く、アメリカ原産のサボテンとは生育環境が異なるため、同じように栽培すると枯れる場合があります。園芸店などでは、サボテンと多肉植物は区別されることが多いです。
多肉植物の育て方:基本編
生育期や休眠期のタイプよって水や肥料など与える時期が異なる多肉植物ですが、基本的な育て方は同じです。ここでは、初めてでも育てやすい栽培のポイントを紹介します。
多肉植物の育て方【基本編】①鉢
植物を育てるときに気を付けたいのが、鉢のサイズ選び。鉢が小さすぎると根がもつれて根腐れを起こす可能性があります。根が詰らない程度の大きさを選ぶのがポイントです。また、根が十分に張れる深さがあることも大切。水はけをよくするために、必ず底穴があるタイプを選んでください。
多肉植物の育て方【基本編】②土
多肉植物には水はけの良い土を選ぶことが大切です。初めて育てる人には、多肉植物用にブレンドした培養土を使うのがおすすめ。培養土に川砂や赤玉土、鹿沼土を少し混ぜて使う方法もあります。細菌が繁殖しないように乾燥した土であることが重要です。
多肉植物の育て方【基本編】③水やり
乾燥した地域で育った多肉植物は、多くの水やりを必要としません。種類により多少異なりますが、ほとんどが1ヵ月に1〜2回程度で十分です。生育期には、土が乾燥したらたっぷりと水を与えます。鉢の受け皿に溜まった水は、根腐れを防止するために必ず捨ててください。
多肉植物の育て方【基本編】④肥料
砂漠などの養分の少ない土でも自生する多肉植物には、肥料は少量で問題ありません。生育期に肥料を与えると成長を促すことができ、植え替えの時期に土に混ぜる程度で十分と言えます。一方、休眠期に水や肥料を与えると枯れてしまう場合があるので要注意。ゆっくりと溶けて長く栄養を補給する緩効性肥料がおすすめです。
多肉植物の育て方【基本編】⑤日当たり
多肉植物を育てる上で大切なのが、日当たりと風通しの良さ。多肉植物は蒸し暑い環境が苦手です。ベランダや庭などの屋外で育てられる種類が多いですが、直射日光で葉焼けをしないように半木陰の場所に置きましょう。室内で鉢植えを楽しみたい場合は、窓際など日当たりの良い場所に置くのがおすすめ。エアコンの風が直接当たらないように注意が必要です。
多肉植物の育て方:応用編
根詰まりを避けるためにも植え替え作業は大切です。株分けや挿し木(さしき)で簡単に増やせる楽しみもあります。次に多肉植物を植え替える方法と簡単な増やし方を紹介します。
多肉植物の育て方【応用編】①植え替える
植え替えは、1~2年に1度が目安で、生育期の少し前に行うことが重要です。この時期に行うと、植え替えや株分けで根が傷ついても修復しやすいといわれています。春秋型と夏型なら4月~5月の間に、冬型は9月~11月の秋に植え替えてください。
土が湿っているときに植え替えると、古い土がほぐれず根を傷めることがあります。植え替えの数日前から水やりを止め、土を乾かしておきましょう。植え替え用の新しい鉢は大きめのものを準備します。ハサミで傷んだ根などを切り、新しい土を入れた鉢に植え替えてください。固くなった古い土は使わないようにします。
多肉植物の育て方【応用編】②増やす
「葉挿し」「挿し木」「株分け」の3つの方法で多肉植物を増やせます。初めての場合は簡単な葉挿しで増やすのがおすすめ。葉挿しのやり方は、平らな容器に乾燥した土を入れ、その上に葉を並べます。優しい光の当たる場所にしばらく置くと、葉の付け根から細い根が出始めるので、その時たっぷりと水を与えてください。根に土を少しかけ、新しい葉が増えてきたら小鉢に植え替えましょう。
初心者におすすめの多肉植物
お店に並ぶ多肉植物は、どれもかわいくて選ぶのに迷ってしまいます。ここでは、育てやすい多肉植物を4種類紹介します。お気に入りの植物が見つかったら、ぜひ育ててみてください。
エケベリア属
エケベリアは比較的育てやすく、丈が伸びずに群がって生えるのが特徴です。チワワエンシス、花うらら、アガボイデスなどさまざまな種類があります。肉厚の葉が花のように重なり合い、とても愛らしくて人気の高い品種です。日光が程良く当たり風通しが良い庭などでの栽培がおすすめですが、屋内の明るい場所でも栽培可能です。
セネキオ属
セネキオ属の中では、丸くて小さい葉が連なり、垂れ下がって成長するグリーンネックレスが有名ですが、葉の形が三日月形や矢尻形の種類もあります。セネキオ属は、日当たりが良ければ室内で育てることが可能です。暑さにも寒さにもあまり強くないため、真夏に室外で育てる場合は、直射日光が当たらない場所に置き、冬場は5℃を下回ったら暖かい屋内へ移動して育てます。
セダム属
セダム属は、ふっくらとした葉が重り合っているのが特徴です。色や大きさなど種類が豊富で、中でも乙女心、ビアホップなどが鑑賞用として親しまれています。乾燥や寒さに耐性があり、日本の気候でも育てやすいです。寒さに強い種類であれば室外で育てることも可能。増えやすいためグランドカバーや寄せ植えにも良く使われています。
ハオルシア属
ハオルシア属は透き通った美しい葉を持ち、ファンがとても多い品種です。軟葉系と硬葉系に分かれ、どちらも個性的でフォトジェニックな姿が注目を集めています。岩の下などで生育する植物で、直射日光を当てるとみずみずしさが失われるため、やわらかい光の下での栽培が望ましいです。室内でも育てることができます。
多肉植物のある暮らしを楽しもう
数ある種類の中から、お気に入りの1品を見つけるのも多肉植物の魅力の一つ。それぞれの生育期の違いを知り基本のポイントを押さえれば、育て方は決して難しくありません。ぜひ暮らしに取り入れて、多肉植物の穏やかな成長を楽しんでください。