家で子どもと楽しくお菓子作りができて、その上勉強にもなる「サイエンススイーツ」を知っていますか?
味はもちろん美味しくて、ちょっとした化学や物理の要素も盛り込まれているので、自由研究にもピッタリです。
当記事ではレシピ以外に、お子さんと一緒に作るときのポイントについてもお伝えします。
MOKUJI
教えてくれるのは芸術教育士の太田さちかさん
芸術教育士・ケーキデザイナー。慶應義塾大学を卒業後、エコール・ド・リッツ・エスコフィエ、京都芸術大学大学院にて製菓や芸術を学ぶ。2009年にアトリエ「My little days」を設立。10年以上に渡って、子どもを対象としたワークショップを展開。また、コラムニストとしても幅広く活動中。Instagram
お子さんと楽しみながら不思議を知れるサイエンススイーツの魅力
まずは太田さんにサイエンススイーツの魅力について伺いました。3つのポイントに分けてお届けします。
サイエンスポイント①お子さんの好奇心を育てるキッカケに!
太田さん
「一緒にお菓子作りをするだけでも楽しいのに、さらに子どもたちから『なぜ?』『なんで?』という好奇心を引き出すことができます。私たちの身の回りにあるものは、見方を変えればたくさんの不思議があると思うんです。
『?』に気づいてもらうことで子どもの勉強意欲が増したり、活発な性格になるよう促すことができます。それを実現してくれるお菓子のレシピが『サイエンススイーツ』です」
サイエンスポイント②親子で楽しく知識を深め合える
太田さん
「子どもたちが好奇心の元である疑問を持つためには、ご両親による問いかけが必要になると思うんです。
例えばなんで『アイスクリームは熱で溶けるけど、人間は温かいお風呂に入っても溶けない』のでしょうか? 私たちが疑問に思えば、子どもたちも自分の中に『なぜ?』を見つけることができます。
親も子どももお互いが影響し合って、一緒に学ぶ方向に向かっていけますよ」
サイエンスポイント③化学の視点があれば、日常がもっと楽しくなる
太田さん
「どんな学びも最初の一歩は好奇心から生まれます。日常に変化がないとついダラダラと過ごしてしまうこともあると思うんです。けれど、疑問に思う視点を身につけるだけで、日常が刺激的でおもしろくなるはず。
『不思議』をもたらすサイエンススイーツ作りがその役に立ってくれたらうれしいです」
ワクワク楽しい!親子で作るサイエンススイーツレシピ
ここからは、くらしマグネットのために太田さんが考案してくれたサイエンススイーツレシピを3つご紹介!どれも彩り華やかで、作って楽しいお菓子ばかり。
お子さんと化学の不思議にワクワクしながら作ってみてください。
レモンソースで色が変わる!不思議ブルーベリームース
【不思議ブルーベリームースのサイエンスポイント】
「レモンソースをかけると紫色のブルーベリーゼリーが鮮やかな赤色に変化するんです。
これはブルーベリーに入っているアントシアニンという色素がポイント。アントシアニンは酸性のものと交わると赤色に変化する特徴があります。
今回は、レモン果汁の酸性が加わることで、色を変化させました」
【不思議ブルーベリームースの材料(2人分)】
生クリーム:100ml
牛乳:50ml
顆粒ゼラチン:4g
ブルーベリージャム:90g
(デコレーション)
レモン果汁:30ml
グラニュー糖:20g
ブルーベリー:適宜
エディブルフラワー:2枚
【不思議ブルーベリームースの作り方】
①耐熱容器にレモン果汁とグラニュー糖を入れて、電子レンジで600Wで30秒加熱。スプーンで混ぜ溶かしてレモンシロップにする
②鍋に生クリームと牛乳を入れて中火にかけ、沸騰直前で火を止める
③ゼラチンを加えてゴムベラで混ぜて溶かし、ジャムを加える
④氷水にあてて温度を下げ、とろみが付いたら容器に流し込み、冷蔵庫で30分冷やして固める
⑤ブルーベリーとエディブルフラワーを添え、レモンシロップをかけたら完成
2色のゼラチンが混ざり合わないのはなぜ!?カラフル青空ゼリー
【カラフル青空ゼリーのサイエンスポイント】
「まるで空のように白い部分と青い部分があるこちらのゼリー。液体なら2色が混ざってしまいそうですが、なぜこのような状態を作れるのでしょうか?
その答えは、ゼラチンが液体から固体に変化する過程の状態にさせているからなんです。
ゼラチンは60〜80度程度の液体と合わせて溶かした後、20度前後で固まる物質。氷の入ったボウルで徐々に温度を下げることで、固まる前のとろみがあるゼリーを作ることができます。この状態にすれば2色が混ざらず、まるで青空に雲が浮かんだような見た目を作り出すことができるんです」
【カラフル青空ゼリーの材料(2人分)】
(青空ゼリー)
水:450ml
かき氷シロップ(ブルーハワイ):30ml
顆粒ゼラチン:10g
(雲ゼリー)
牛乳:120ml
グラニュー糖:10g
顆粒ゼラチン:2g
(デコレーション)
ホイップクリーム:適量
さくらんぼ:適宜
【カラフル青空ゼリーの作り方】
①まずは青空ゼリーから。鍋に水とシロップ、グラニュー糖を入れて中火にかけ、沸騰直前で火を止める。ゼラチンを振り入れてゴムベラで混ぜ溶かす
②雲ゼリーは鍋に牛乳とグラニュー糖を入れて中火にかけ、①と同様に沸騰直前で火を止める。ゼラチンを振り入れゴムベラで混ぜ溶かす
③ ①と②それぞれボウルに入れ、氷水にあてて温度を下げながらとろみを付ける
④グラスに③を交互に入れて空模様を作ったら、好みでホイップクリームを絞ったら完成
砂糖の結晶化を観察できる!宝石みたいなカラフル琥珀糖
【カラフル琥珀糖のサイエンスポイント】
「砂糖の結晶化を利用した和菓子『琥珀糖』。
上の写真のように日を追うごとに、表面の砂糖が結晶化していく様子を観察することができます。表面は固まるけれど、内側は寒天のおかげで水分を保ちツヤツヤしている現象を観察しましょう。
かき氷シロップやノンアルコールシロップなどお好みでアレンジすると、色とりどりの琥珀糖が出来上がりますよ」
【カラフル琥珀糖の材料】
水:200ml
グラニュー糖:300g
粉寒天:4g
好みのシロップ:20ml
【カラフル琥珀糖の作り方】
①鍋に水と粉寒天を入れて中火にかけ、ゴムベラで混ぜながら溶かす。沸騰したらさらに1分ほど加熱し、グラニュー糖とシロップを加える
②グラニュー糖が溶けたら火から下ろして、バットに流す
③ ②を冷蔵庫で約30分冷やし固める
④ ③をシートに取り出して型抜きでくり抜く。オーブン用シートに並べて、風通しの良い場所で2日乾燥させる(夏場は3日)
⑥裏返して、さらに2日乾燥させたら完成
子どもと化学の不思議を楽しもう
身の回りにある現象の理由をお菓子を作りながら知れるサイエンススイーツ。
夏休みの自由研究にもピッタリで、見た目も華やかなのでお子さんと一緒に楽しんで作ってみてください。
【マグネットな本】太田さちかさんを引き付けた一冊
『くらしマグネット』の出演者に、その人のライフスタイルに大きな影響を与え、まさに磁石のように吸い寄せられた一冊を紹介してもらうコラム「マグネットな本」。
太田さちかさんにそんな本を選んでもらいました。
Nicolai Bergmann「Dazaifu Tenmangu」
「4年ほど前、表参道にあるニコライ・バーグマンのカフェで手に取ったのが、この本との出会い。
2014年に太宰府天満宮で開催された展覧会「伝統開花」を収めた本で、太宰府天満宮という1000年以上続く歴史や伝統と、息を呑む幻想的な美しさ、そして日本を代表する工芸作家の茶器や器の数々を背景に、ニコライの花々が見事に融合した作品が登場し、手放さずにはいられない一冊です」
Photo_Ikki Fukuda Interview,Text & Edit_Yasushi Shinohara