Oct 05, 2020

伝統的な焼き物の種類とは?日本の食卓を飾る、器の歴史や特徴を紹介

2つの青い陶器

日本には数多くの伝統的な焼き物がありますが、作られる地域によって、原料となる土の種類や焼き方が異なります。それぞれの焼き物の特徴などを知れば、今よりもさらに使い方の幅が広がるでしょう。そこで本記事では、日本各地の焼き物の種類や特徴、さらにはお手入れ方法について紹介します。

焼き物は大きく2種類に分かれる

積み重なった器

 

日本の焼き物は、大きく分けると陶器と磁器の2種類です。ここでは、それぞれの違いや特徴について紹介します。

焼き物の種類①陶器

陶器とは土を原料にして、1000度~1200度で焼かれた器のことです。厚みや重量感のあるデザインが比較的多いですが、同じデザインでも釉薬のかかり具合によって微妙な違いが出るため、1つ1つの味わいを感じられます。

 

陶器は吸水性が高く、使い込むことで色合いに変化がみられるため、使い手によっても風合いに変化が出ます。さらに、陶器は保温性が高いことも特徴で、温かい料理や冷たい料理を楽しむ器としても最適でしょう。

焼き物の種類②磁器

磁器は「石粉(いしこ)」が原料の器で、1200度以上の高温で焼かれます。石粉にはガラス質が多く含まれているので、仕上がりに透明感が出るのが特徴です。表面の質感が滑らかなので汚れが落ちやすく丈夫で、また電子レンジに対応している食器も多いので使い勝手が良いでしょう。

日本各地の焼き物の種類と特徴

丸と四角のお皿

 

日本には、各地域で焼き物が作られています。ここでは代表的な焼き物を挙げ、それらの特徴や歴史などを見ていきましょう。

有田焼(ありたやき)/佐賀県

有名な「有田焼」は磁器の1つで、佐賀県の有田町で作られています。「白磁鉱」という磁器の原料となる物が発見されたことから、日本で初めて磁器が作られた場所だとされています。

 

初期の頃の有田焼は、白地の器に藍色だけを使って描かれた「染付磁器」が多く作られていました。これは、中国の磁器の影響を強く受けていたためです。しかし1640年代以降は、技術の進歩とともに「赤絵(色絵磁器)」が作られるようになり、華やかさが加わったデザインになりました。

 

そして現在では、黄・緑・青などさまざまな色を使った有田焼が作られており、普段使いに適したものから価値の高い美術品まで、多くの人に愛されています。

清水焼(きよみずやき)/京都府

清水焼は、京都で作られる陶器・磁器などの焼き物全般のことで、伝統工芸品の正式名称は「京焼・清水焼」とされています。もともとは清水寺参道周辺で作られる焼き物を指していたそうです。

 

特に決まった技法などはなく、作り手それぞれが編み出した手法で作られています。そのため、作品によって風合いやデザインが異なるのが特徴です。ご飯茶碗や抹茶椀などの作品が多く、それらの作品からは生活や京文化の発展を感じられるでしょう。

備前焼(びぜんやき)/岡山県

磁器と陶器の間にあたる「炻器(せっき)」で有名なのが、岡山県の備前焼。日本には「日本六古窯」と言われる1000年以上の長い歴史のある窯があり、そのうちの1つに備前焼が含まれます。

 

そのルーツとなるのは、古墳時代に作られていた須恵器(すえき)と呼ばれる土器で、平安時代にお椀やお皿など普段使いできる器として改良されたのが、備前焼の始まりです。

 

備前焼は質の良い土を形成して乾燥させ、釉薬を使わずに1200度以上の高温でじっくり2週間かけて焼かれます。高温で焼くことによって強度が増すため、割れにくいのが特徴です。

 

また、保温力と保冷力が高いので、熱いものは熱いままで、冷たいものは冷たいままの状態で味わえるでしょう。お酒を入れる器としても適しており、内部にできた細かい穴によって、ウィスキーやワインなどの口当たりをまろやかにしてくれます。

信楽焼(しがらきやき)/滋賀県

信楽焼は備前焼と同様「日本六古窯」のうちの1つで、なかでも一番古い1250年もの歴史があります。

 

原料の陶土は鉄分が少なく、焼き上がりが茶褐色になるのが特徴的。焼きの工程で陶器に降りかかる灰が溶け出すことで、ガラス質の釉がかかったような見た目に仕上がります。流れ出した釉は丸い半球型になって溜まり、まるで蜻蛉の目のように美しくなります。

 

信楽焼の中でも特に有名なのがたぬきの焼き物で、信楽に行くとあちこちにたぬきの置物が置かれているほどです。

 

たぬきには「八相起縁」という縁起があり、たぬきの笑顔は「愛想よくできる」、目は「気配り・正しい判断ができる」、通い帳は「信用を得られる」、金袋は「金運がUPする」、笠は「災難を回避できる」、徳利は「人徳を身に付ける」、お腹は「冷静さと大胆さを身に付ける」、しっぽは「良い結末を迎えられる」ことをそれぞれ表しています。

波佐見焼(はさみやき)/長崎県

波佐見焼は長崎県の波佐見町で1580年頃から作られている磁器です。当初は磁器ではなく陶器が作られていたのですが、朝鮮から磁器作りの技術が伝わったこと、良質な磁器の原料が発見されたことから、陶器に加えて磁器作りが始まりました。

 

透明感のある白に呉須(ごす)という顔料を使って絵付けされているのが特徴ですが、最近ではモダンなデザインの器なども作られており、種類が豊富です。職人が作業を分担しており効率良く作られているので、手作りでありながらも大量生産が可能。日用品として気軽に使える焼き物としても親しまれています。

やちむん/沖縄県

沖縄で作られる焼き物がやちむんで、葉や魚など沖縄の自然を描いたデザインが特徴的です。「焼き物」を意味する方言がそのまま名称となっています。やちむんが作られ始めたのは、1616年頃のことで、当時朝鮮と沖縄との貿易が盛んだったことから、朝鮮人によって陶工の技術が伝えられました。

 

当初は釉薬を使わずに低温で焼き上げる「アラヤチ」という製法を取り入れていました。しかしその後、沖縄の職人が模様や絵付けをした上で釉薬をかけて焼く「ジョウヤチ」という作り方に変わり、現在でも引き継がれています。

 

また、大正時代には沖縄のみならず県外への流出が増えたことにより、華やかなデザインの「琉球古典焼」が作られるようになりました。

焼き物の取り扱いとお手入れ

 

テーブルにきれいに並べられたお皿

 

お気に入りの焼き物は長く使いたいもの。最後に、普段使いする焼き物の取り扱い方やお手入れ方法を紹介します。

陶器は使い始めに「目止め」をする

陶器は吸水性が高い上に目が粗いため、汚れや匂いが付きやすい場合があります。そのため、目が粗い部分をあらかじめでんぷん質で塞ぐことにより、汚れや匂いの付着はもちろん、水漏れなども防げます。この作業を「目止め」と言い、初めて使う際には目止めを行っておくと良いでしょう。

 

ただし、原料の土や釉薬の種類によっては目止めが必要ない場合もあるので、購入時の取り扱い説明書をよく読んでから目止めを行いましょう。

 

【目止めの方法】
1、陶器を軽く洗ってから鍋に入れ、米のとぎ汁を陶器が浸る程度まで入れます。
2、弱火で約15分煮沸したら、鍋に器を入れたままの状態で冷ましましょう。
3、完全に冷めてから器を取り出し、よく乾かせば目止めは完了です。

使用前は流水にさらし、使用後は乾燥させる

目止めをしたとしても、乾いた状態の陶器にそのまま料理を盛り付けてしまうと、料理の汁気を吸ってしまいシミの原因になることも。盛り付け前にサッと水で流して軽く水分を含ませれば、シミが付くのを予防できます。

 

使用後はなるべく早いうちに洗って汚れなどを落とし、乾燥させることが大切です。乾燥が不十分で中に水分が残っていると、カビや異臭の原因となってしまうので、気を付けましょう。

できるだけ手で洗う

陶器や磁器は急な温度変化に弱いため、食器洗浄機などを使用せずに手洗いで汚れを落とした方が器は長持ちします。また、薄い器だと、食洗機の中でぶつかって割れてしまう可能性も。食洗器対応の器についても、添付の取り扱い説明書などを確認しておきましょう。

種類や歴史を知り、日本の焼き物を楽しもう

色とりどりのお椀

 

日本各地で作られている焼き物には、それぞれの特徴や歴史があります。これらを知ることで、焼き物選びや、日常の中の料理の盛り付けがさらに楽しくなりそうですね。

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