気温も日に日に下がりはじめ、気付けばもうすぐお正月。
来年もできるだけ幸せな一年になって欲しいですよね。
お花には縁起の良い意味がたくさん込められており、お正月のような特別なタイミングにぴったり。
今回は、新年に花を飾る理由と、おすすめのお花・飾り方をご紹介していきます。
新年に花を飾るときに気をつけたいこと
縁起の良いお花を飾ることで、幸せな一年を迎えられるという考え方が一般的ですが、実は他にもお花を飾る意味があるんです。混同されやすい「お正月飾り」との違いも含めて解説します。
お正月飾りとお花は別?
「お正月飾り」とは一般的に、「門松」や「しめ飾り(しめ縄)」のことを指します。花の飾りがついていることもあるので「花飾り」と呼ばれることもありますが、生けるお花とは別物です。
お正月飾りと生けた花の役割の違い
外に飾るお正月飾りは、「年神様に家に来ていただくために、目印となる役割」を持っています。門松は家の前に置き、「ここが家ですよ」と年神様に分かってもらうための目印、しめ飾りには、魔除けの意味合いがあるので「お清めをしっかりしたので、年神様を迎えられますよ」と伝える目印です。
一方、おうちの中に飾る花は、家に入ってこられた年神様と、新年に来られるお客様を「おもてなし」するためのものと考えられています。
花を飾るタイミングは?
お正月飾りもお花も、クリスマス・年末大掃除が終わってから飾るのが良いと考えられています。一般的には「末広がりの八」のつく12月28日がベストとされていますが、準備が整っていればそれ以前でも問題はありません。
ちなみに、花市場は28日以降お休みに入るところが大半なので、年末ギリギリになるにつれ花屋さんの品揃えは悪くなっていきます。クリスマスが終わったらなるべく早めにお花屋さんに行くことで、良いお花を仕入れることができますよ。
花の置き場所は?
玄関やリビングなどの、人が集まる場所がおすすめです。お客様のおもてなしをする場合は、洗面所やお手洗いにもささやかなお花を生けておくと良いでしょう。風水的にも水回りに生花を飾るのは良いとされています。
いつまで飾るのが正解?
お正月飾りは、「松の内」と呼ばれる期間が過ぎれば片付けるとされています。(一般的には1月7日、関西は1月15日までのところが多い)
一方、生けたお花に関しては、飾る期間に特に決まりはありません。お正月飾りと同じタイミングで処分するのが無難でしょう。ただし、生花は日が経つごとに傷んでしまうので、傷んだ花を見つけたらそのつど取り除いてあげましょう。
新年を迎えた大切なお花なので、できるだけ長く楽しめるように普段以上にお手入れを。そして感謝の気持ちを持って処分するのがおすすめです。
新年に飾りたい縁起のいいお花14選
松
不老長寿の象徴
一年中青々とした葉を絶やさない常緑樹であることから、「不老不死」「長寿」の象徴と考えられています。また、松(まつ)という響きから、「神を祀る(まつる)」「神を待つ(まつ)」といった意味合いも。
生けるときは「松ヤニ」に注意!
お正月の花生けやアレンジメントには欠かせないグリーンですが、生けるときは松独特の粘着性のある樹液「松ヤニ」に気をつけましょう。
竹
すがすがしい立ち姿が、縁起の良さの象徴
曲がることなく真っ直ぐ上に伸びる姿と、成長が非常に早いことから「誠実・真っ直ぐな心」の象徴として縁起が良いとされています。強風に煽られても折れることのないしなやかさも、その理由のひとつです。
生けるときは器や竹の葉を活用
幹が太いため、花を生けるときは竹そのものを使う機会は少ないです。代わりに、デザインや材質が竹の器を使ったり、竹の葉をグリーンとして取り入れると良いですよ。
梅
開運の象徴のような縁起の良い花
寒い冬でも花を咲かせる、非常に縁起の良い花とされています。他の花よりも早く開花することから「開運」「出世」の意味合いも。香りの良さや、紅白の花を咲かせることからも縁起が良いと言われており、まさに存在そのものが開運の象徴のようなお花です。
花を見つけたらラッキー!ないときは枝をアクセントに。
お花屋さんでは、花を咲かせそうな梅を見つけたらラッキー!花がない場合も、梅の枝だけを売っているお店もあります。花生けのアクセントとして使えます。
ハボタン(葉牡丹)
冬に咲く「ボタン」の花
花が咲かない寒い時期に、縁起の良いボタンの花を思わせる花を咲かせることから、新年に重宝されているお花です。幾重にも重なった葉から「良いことが重なる」ともいわれています。
年末年始にしか手に入らない貴重な切花
白、緑、紫の美しいカラーバリエーション。最近は染めの品種も出回り、かわいい見た目のものが増えています。年末年始のこの時期しか手に入らないレアな切花なので、ぜひ使ってみてくださいね。
菊(マム)
古くから愛される、邪気払いのお花
「不老長寿」「邪気払い」を願うお花として、古来から長く愛されてきた菊。大切な機会に重宝され、新年のお花でも欠かせない存在です。大輪、スプレー、ピンポンマムなど年々品種が増え、菊とは思えないほどおしゃれなものが増えています。
生け方も様々
大輪やピンポンマムを主役として使うもよし、様々な品種を使って菊だけのアレンジを作ってもかわいく生けられます。仏事に使われることの多い「輪菊(りんぎく)」は避けるようにしてくださいね。
ナンテン(南天)
ナンテン=難転
「ナンテン=難転」の響きから、「難を転ずる」と考えられ、縁起に良いとされています。花言葉も「福をなす」「良い家庭」など、幸福をイメージさせる良いものばかりです。
赤い実は富の象徴
冬に実る赤い実は「富の象徴」と考えられており、新年の花生けに大変重宝されてきました。中でもナンテンは、細く華奢な枝にたわわになる実が美しく、お正月の生け花やアレンジメントで最もよく使われる実ものです。
生けるときは、実が飛び出すように生けると華やかに生けることができます。
センリョウ(千両)・マンリョウ(万両)
ナンテンと同じく、富を象徴する赤い実
つやのある葉に赤い実をつけるセンリョウとマンリョウ。富を象徴する赤い実だけでなく、豊かさを想起させる名前からも縁起物とされています。
センリョウとマンリョウの違いと見分け方
一見似たもの同士ですが、マンリョウは下向きにぶら下がるように実をつけ、センリョウは上向きに実をつけるという違いがあります。また、センリョウの切花は多く流通していますが、マンリョウは切花で見ることはほとんどありません。
コチョウラン(胡蝶蘭)
ランの花は高価なものが多いですが、その分花の美しさや持ちは格別。一年の中で特別なお正月にこそ飾りたいお花です。普段は鉢物で、お祝い事に使われることが多いコチョウラン。年末年始は切花でも出会えます。花の形が蝶に見えることから「幸福が飛んでくる」という花言葉がつけられています。
シンビジウム
コチョウランと同じく、普段は鉢で見かけることが多いお花。同じランの仲間といえど、コチョウランとはまた違った豪華さが特徴です。新年のお祝いにぴったり。寒さ・暑さにも強く、とても長持ちします。
オンシジウム
ぱっと目を引く鮮やかな黄色と、小さな蝶が舞うような華やかなお花。アレンジに加えるだけで、一気に華やかでおめでたい雰囲気になります。
餅花
名の通り、枝に餅をつけたもの。一年の五穀豊穣を願う飾り物です。年末年始のお花屋さんでは、本物の餅がついた枝が出回ります。
水引
水引には、魔除け・人と人をつなぐという意味合いが込められています。用途によって色が決まっており、新年は赤と金色です。生け花用の水引も販売されているので、チェックしてみてくださいね。
金柳
金色に染めた柳もこの時期ならでは。もともと加えるだけで豪華な雰囲気にしてくれる柳ですが、金色に染めたものはさらにおめでたい雰囲気にしてくれます。
フローリストが考える自宅に飾る際のポイント
おすすめの組み合わせ
菊 + ハボタン + ナンテン + 松
悩んだらこの組み合わせがおすすめ!可能であれば、竹の葉か器・梅の枝を加えると完璧です。
大輪の菊 + 千両 + 柳
使い方が難しいと感じる千両ですが、菊を1〜2輪、アクセントに柳(ウンリュウ柳が特に合います)を合わせると、簡単にこなれた生け方ができますよ。
コチョウランorシンビジウム + 菊 +オンシジウム +松
コチョウラン・シンビジウムをメインに、菊と松で間を埋めるように。最後にオンシジウムを飛び出すようにふんわり生けましょう。豪華な組み合わせです。
おすすめの花瓶
白の陶器
清らかさを感じさせてくれるシンプルな白の陶器は、新年にぴったり。つやのある素材の方が、より和花の美しさを引き立ててくれます。
黒の陶器
かっこよく、引き締まった印象を与えてくれる黒の陶器も新年におすすめ。オーソドックスな陶器はもちろん、焼き物も風情が出ますよ。
竹の器
竹の器は和風のお花にぴったり。先述したように、竹は縁起物なので器で取り入れられるのも嬉しいポイント。
縁起の良いお花を飾って、素敵な新年を!
縁起の良い花を飾ることで、何だか嬉しく、そして背筋が伸びますよね。今年の大掃除のあとは、新しい一年の幸せを願いながらお花を生けてみてはいかがでしょうか。きっと素敵な一年になりますよ。みなさんが、希望に満ちた素敵な新年を迎えられますように!
花と緑をこよなく愛するお花屋さん。 日々の暮らしがちょっぴりハッピーになるような、花や緑との関わり方をお届けします。
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