Dec 27, 2021

プロが伝授!誰でもできる薬膳の取り入れ方と冬の体調を整える簡単レシピ

キッチンに立つのも、買い物に行くのも億劫になってしまいがちな冬。ついついデリバリーに頼ってしまったり、家族に飽きられながらもお鍋ばかりになってしまうという人も多いのではないでしょうか?

「不調を感じやすい冬ほど、旬の食材を意識して食べることが大切です」

そう語ってくれたのは、SNSやメディアで人気の美養薬膳研究家・SATOMIさん。
今回は栄養学にも精通している彼女に、実は手軽に食卓に取り入れられる薬膳料理のコツと、冬素材を楽しむおすすめレシピを教えてもらいました。

SATOMIさんプロフィール

 

自らの体調不良を食事で改善したことがキッカケで、食や健康、生き方を見直したい女性に向けて、薬膳や分子栄養学の講座を開催。薬膳料理や健康的な食事にありがちな「美味しくなさそう」「難しそう」を覆す、「簡単なのに健康的で美味しいごはん」が、仕事や子育てに忙しい女性にSNSと口コミで広まっている。公式Instagram

みんなが知らない「意外と身近な薬膳」

 

薬膳料理と聞くと、漢方の材料になるような難しい食材や、薬っぽい味の中華料理を想像する人が多いのではないでしょうか。近所のスーパーではそろわなそうな食材をたくさん使うとなると、ちょっと手軽にはチャレンジできなそう…。

 

しかしSATOMIさんによれば、薬膳の本来の考え方は、私たちの身近にある料理にも生きているのだそう。

 

「薬膳と聞くと、生薬が使われていたり、クコの実のようなスーパーフードが使われた料理を想像する人が多いんですが、実はまったくそうではありません。薬膳の本来の考え方は、季節や自分の体質・体調に合わせて、食材や調理方法を選ぶことにあるんです。

 

『冷えが気になる』とか『最近なんだか疲れやすい』とか、そういう自覚症状に合わせて、体調を整える素材を使っていきます。

だから、『クコの実を使ったものが薬膳料理』など特定の食材を使うルールはありません。冬は身体を温めるために、よく生姜を使いますよね。これもひとつの薬膳的な考え方なんですよ」

 

自分の体調の確かめ方は、最初は自覚症状ベースでOK。舌の状態を確かめることで体調を自己診断する方法もあるのだそう。

 

「薬膳は「この症状には特にこの食材が効く」というよりも、健康の土台を『食』で作っていくような考え方です。自分の健康状態を把握して食事をしていくことで、慢性的な体調不良にアプローチしていくような感じです。

 

例えば私は薬膳を食事に取り入れ始めてから、平熱が34.9度から36.8度まで上がりました。風邪を引きにくくなったり、冬でも末端の冷えを感じづらくなりましたね。イライラする、疲れやすいなど、病気とまではいかないさまざまなことが改善されました。
冬の乾燥が気になるという人が、薬膳を始めたら肌質の変化を感じたり、睡眠の質が向上したり…病院で薬をもらっても一時的にしか良くならないような症状が、じわじわ健康になっていくのが薬膳のすごいところ」

 

薬膳とは、自分に合った食事を考えていくことなのです。

食材・献立のコツは…大切なのは「毎日続ける」こと?

 

とはいえ、体調に合った食材を選ぶためには、ちょっとした知識も必要そう。薬膳に素養がなくても、自分に合った料理を作ることはできるのでしょうか。

 

「本格的に取り組むのであれば、食材ごとの効能を知る必要はあります。インターネットで食材名と一緒に“帰経”という言葉を入れて検索すると、薬膳的な食材の効能を調べることができます。こういった情報をまとめた本やWEBサイトもあるので、どちらかの方法でその日の体調に合う食材を探しましょう。

 

ただ、最初から無理をしすぎるのも良くありません。現代人は知らず知らずのうちに、健康になろうとするあまりに自分に厳しくしすぎてしまう人も多いです。

 

なので、最初は旬の食材を使ってみることから始めるのもいいかもしれません。その季節に旬を迎える食材は栄養価が高く、気候やそれによって引き起こされる不調を改善する効果の高いものが多いんです」

 

薬膳を始めようと意気込みすぎて、調理時間のために睡眠時間を削る…といった事態は健康的には本末転倒です。それに、薬膳は「毎日続ける」ということがとても大切なのだそう。

 

「一汁三菜を作れたらベストなのは間違いないですが、美味しいものや食べたいと思うもの、旬のものを使った食事を毎日食べれさえすればまずはOKです。身体の細胞は入れ替わっていくので、毎日続けないと体質は変わりません。

 

調理はすべて弱火がおすすめ。失敗しづらいですし、食材の栄養が残りやすいんです。下茹でや茹でこぼしをせず、煮汁ごと食べる料理や蒸し料理は、食材の栄養をまるごととれるうえに、簡単に作ることができます」

SATOMIさん直伝!冬素材を楽しむ薬膳レシピ

スーパーにある生鮮食品も、薬膳の食材としての効能を持つのだそう。その中から自分の体調に合う食材を選んでいくのが薬膳なわけですが…まずは、SATOMIさんおすすめのレシピから試してみるのはいかがでしょう。

 

「今回は季節に合わせて、冬が旬の食材を使いながら、冷えや乾燥対策ができるレシピをご紹介します。
日常的な食材や調味料を使った簡単なレシピをセレクトしたので、今日からトライしてみてくださいね!」

バターが香る♪手羽中大根のほっこり旨塩煮

 

鶏肉は身体を温める代表的な食材。タンパク質やミネラルが摂れますが、あえて骨付きの手羽中を煮物にすることで、骨や身から溶け出たミネラルを野菜が吸ってくれるので、栄養も旨味もアップします」

〈材料(2人前程度)

・大根:150〜200g

・にんじん:1/3本程度

・手羽中:200g

・米油:小さじ1

・水:150cc

・塩麹:大さじ1

・バター:お好みで

〈手順〉

①大根を皮ごと5mm程度のいちょう切りにし、にんじんも皮ごと薄切りにする

【POINT】野菜は皮ごとがおすすめ!皮ごと使う野菜は、有機野菜や無農薬野菜を選ぶようにしています

②フライパンに米油を入れ、手羽中と①を炒める

③油が回ったら水と塩麹を入れて、水分が半分以下になるまで煮る

④器に盛り付けてから、バターをのせて完成!

 

大根とにんじんは、薄切りにすれば皮の食感も気になりません。弱火で仕上げることで、骨付きの鶏肉もホロホロに。バター風味のおかげで、ちょっと洋風な仕上がりになります。
バターは高カロリーなイメージがあるかもしれませんが、本物のバターを少量使うと風味がアップしますし、薬膳的には便秘や皮膚の乾燥を防ぐ食材なのだそう。

特製ねぎダレでさっぱり♡白菜たっぷり蒸し豚

「肺を潤す食材といわれる冬野菜の白菜。身体の余分な熱を冷まし、胃腸を整えてくれます。東洋医学において、肺は肌や呼吸に影響するもの。
ビタミンCも含まれているので、お肌の健康にも良いです。身体を温めて消化不良を助けてくれるニンニクと合わせて、食欲も増進!トータルで元気になれるレシピです」

〈材料(2人前程度)

・白菜:3〜4枚(フライパンに一杯が目安)

・豚肉(ロースや豚バラ):160〜180g

・にんにく:1片

・酒:大さじ2

・しょうゆ:大さじ1

・米酢:小さじ1.5

・小口ねぎ(ネギの青い部分ならなんでもOK):お好みで

・ごま油:小さじ1/2程度

〈手順〉

①白菜の芯は細切り、葉は適当な大きさに切り、フライパンに敷き詰める

【POINT】白菜の外側の葉が内側の葉に養分を送り続けるので、内側から使うようにましょう。

②豚バラとにんにくのスライスを入れる

③酒を入れてから、フタをして弱火で蒸す

④小口ねぎのみじん切り・しょうゆ・米酢・ごま油を合わせておく

⑤白菜がしんなりして、豚バラに火が通ったら器に盛る

⑥タレをかけて完成!

 

酢醤油×ネギで、ちょっと中華風な味付けに。軟らかくなった白菜がタレを吸って、ご飯のおかずとしても相性抜群!ふわっと香るニンニクが後を引く味です。

ご飯が進む!レンコンと豚バラのピリ辛炒め

レンコンはビタミンCが豊富で、デンプンが多く熱に強いため吸収率も◎。身体の熱を冷ます効果もあるので、身体を温める七味と組み合わせました。
七味は唐辛子はもちろん、陳皮・胡麻・山椒・生姜など、薬膳食材が豊富に含まれる便利な調味料。冬場の料理に使うのはもちろん、身体を冷やすような食材と合わせて使うことでバランスを簡単に取ることができます」

〈材料(2人前程度)

・豚バラ:160〜180g

・片栗粉:大さじ1

・レンコン:150〜200g

・米油:小さじ2

・しょうゆ:大さじ1

・みりん:大さじ2

・七味唐辛子:お好みで

〈手順〉

①豚バラを食べやすい大きさに切り、片栗粉をまぶす

②フライパンに米油を入れ、①とレンコンを炒める

③焼き目が少し付き、全体的に火が通ったらしょうゆとみりんを入れる

④七味唐辛子をふりかけて器に盛り付けたら完成!

【POINT】七味はかけすぎると内臓にダメージを与えるので、適量摂取がおすすめ

甘めの味付けに、七味のパンチが相性抜群。片栗粉を使っているので、しっかりと味が食材に絡んで、男性にも喜ばれそうな濃いめの味付け。

体調と食材の効能を知って自分のための薬膳レシピを

SATOMIさんが今回提案してくれたレシピは、どれも一般的な家庭料理ともいえます。でも、冬の体調に合わせて旬の食材を選び、ちょっとした工夫をすることで、薬膳料理に大変身してくれます。

 

「薬膳は日本で発達してきた生活の知恵です。昔から作られてきた季節の和食には、薬膳の知恵がふんだんに使われている料理が多いです。

自分の体質や体調を気にしながら無理なく取り入れれば、誰でも簡単に薬膳の考え方を日々の生活で実践することができますよ」

 

薬膳を学ぶことは、健康な毎日に直結します。日々を楽しく生きるために、体調が整っていることはとても大切なことです。

 

 

Photo_Koji Kanatani Interview & Text_Shiori Mikuni Edit_Yasushi Shinohara

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