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Jul 30, 2024

9月9日は重陽の節句 菊の魅力を味わい、不老長寿を祈る日|くらしの花図鑑

窓辺に飾られた白と黄色の菊の花

重陽の節句とは

不老長寿を願う、五節句のうちのひとつ

重陽の節句 イメージ画像

 

「9月9日」と聞いて、何の行事の日かピンと来る人は少ないかもしれませんね。実は、9月9日の「重陽の節句」は

・1月7日「人日の節句(七草の節句)」
・3月3日「上巳の節句(桃の節句/ひな祭り)」
・5月5日「端午の節句(菖蒲の節句/こどもの日)」
・7月7日「七夕の節句(七夕)」

に並ぶ、五節句の一つなんです。古来の中国では、奇数は縁起が良い「陽数」とされ、その陽数の最大値である「9」が重なる9月9日を「重陽」と呼び、節句として祝うようになりました。

別名「菊の節句」

重陽の節句は、平安時代初期に日本に伝わったとされています。旧暦の9月9日はちょうど菊が美しい季節であったことや、菊の花は中国では不老長寿の象徴・邪気を払うと考えられていたことから、「菊の節句」としても親しまれていました。菊の花を飾ったり、菊酒を飲んだりして無病息災や長寿を願う行事として大切にされていました。現在では五節句の中では最もわたしたちに馴染みの薄い節句ですが、旧暦を使用していた頃までは、五節句を締めくくる最後の行事として盛んに行われていたんですよ。

重陽の節句におすすめのお花と花言葉

菊(マム)

菊の花 黒背景

 

菊の節句なので、一番楽しみたいお花はもちろん菊!最近は別名「マム」とも呼ばれています。菊=仏花といったように、縁起の悪い花というイメージがある人もいるかもしれませんが、最近の菊は品種改良が進んで、おしゃれなデザインのものがたくさんあるんですよ。カラーバリエーションも豊富で、従来の白・紫・黄色だけでなく、ニュアンスカラーや鮮やかな色までさまざま。花持ちが良く、長く楽しむこともできるのも菊を飾って嬉しいポイントです。

 

花言葉:「信頼」「高貴」「高潔」「高尚」

リンドウ

リンドウの花

 

リンドウは、釣鐘のような形の花をたくさん咲かせる、青や紫が綺麗なお花。静かで慎ましい美しさは、秋の始まりの節句にぴったり。実はリンドウの根は、胃腸を健やかに保つための生薬として、古くから重宝されて来ました。不老長寿を願う重陽の節句にぴったりで、とても縁起が良いお花です。

 

花言葉:「勝利」「正義」「誠実」

ワレモコウ

窓辺の空き瓶に飾られた秋の草花 ワレモコウ

 

枝分かれした細い茎に、赤褐色の小さい穂のようなものをつけるお花。一見地味に感じるお花ですが、シックでおしゃれな佇まいに根強い人気があるんです。和花にも洋花にも合うので、菊(マム)との相性も抜群。秋らしい赤褐色は、どんな色も邪魔しないので、組み合わせに悩むことなく気軽に取り入れてみてください。「派手にはしたくないけど、何か添えたいな」というときにもぜひ。

 

花言葉:「移ろい行く日々」「変化」「愛慕」「物思い」

重陽の節句のお花と一緒に生けたい枝物

ベビーハンズ

ベビーハンズと筆記用具

 

その名の通り、赤ちゃんが手を広げたような形の葉が特徴のグリーン。「もみじ」も連想させる形なので、和の雰囲気・秋の雰囲気とも相性が良く、菊(マム)とのマッチングはぴったり。お互いを美しく引き立て合います。一年を通して入手しやすいお花で、秋はオレンジや赤色に色づいた品種も出回ります。もし出会えたらラッキー!秋の色合わせを楽しんでみてください。

 

花言葉:「幸福な家庭」「謙遜」

 

ユキヤナギ

ユキヤナギの画像

 

やわらかさを感じる動きが美しいグリーン。繊細で小さな葉がたくさんついており、それが枝の動きと相まってとても華やかなんです。エレガントに、ボリューミーに生けたい時におすすめ。こちらも秋になると紅葉した品種が出回り、赤色の葉が花生けに美しい彩りを与えてくれます。

 

花言葉:「愛らしさ」「気まま」「殊勝」

 

アワやススキ

アワやススキの画像

 

秋の実りを感じさせる、穀物風の花材も菊をはじめとする秋のお花によく合います。アワはほわほわとした形がかわいらしく、ススキはシャンパンゴールドにも見える光沢のある穂が美しいので、好みの雰囲気に合わせて取り入れてみてください。どちらも花言葉に力強さがあり、重陽の節句にもぴったりです。

 

アワの花言葉:「生命力」「調和」
ススキの花言葉:「活力」「生命力」「心が通じる」

菊のおすすめの選び方・飾り方

菊の選び方とお手入れ

グレー背景の白菊

 

お花屋さんで菊を選ぶときは、葉っぱに注目。新鮮な野菜を選ぶときと同じ感覚で、シャキっとハリのある葉がついている花を選びましょう。花瓶に生けるときは、できるだけ葉は落とすように。そうすることで花に十分な水分が行き渡り長持ちします。茎はハサミで切ってもOKですが、折ることで水が上がりやすくなりますよ。水が濁りやすいお花なので、水替えはこまめにするようにしましょう。

色々な菊を組み合わせて

菊の花の花手水

 

品種改良が進んだことで、菊にもさまざまな色や形の品種が増えました。THE・和風な菊だけでなく、まるい球体のような形で人気のあるピンポン菊や、花びらに艶がありぽってり感があるもの、裏表で色が違うもの、細く先端がカールしたもの、本当に色々な品種があるんです。お花屋さんでは、重陽の節句に合わせてさまざまな菊を仕入れているので、ここまでたくさんの菊を楽しめるのも一年に一度、重陽の節句の醍醐味です。

 

▼ピンポンマム(まるいフォルムがかわいい)
ポンポン菊

 

▼アナスタシア(菊とは思えないスタイリッシュさで人気)
アナスタシア 菊 画像

 

▼厚物(ぽってり感・色味がかわいい)
厚物の菊

 

▼スプレーマム(枝分かれしているのが特徴。小ぶりで生けやすい◎)
スプレーマム 菊 画像

菊におすすめの器

素材は陶器がおすすめ

陶器と菊 画像

 

上品な和の雰囲気を持つ菊を楽しむなら、陶器の花器がおすすめ。特に、ざらっとした質感の焼き物と菊の相性は抜群です。

 

食器を使えばこなれ感UP

湯呑茶碗に入った菊

 

陶器の花器がない時や、ちょっとこなれた生け方を楽しみたい時は、小鉢や茶碗・おちょこなどの陶器の食器に小ぶりの菊を2〜3輪さらっと生けてみましょう。食事と一緒に並べるとテーブルが華やかに、おしゃれになります。もちろん木製の和食器やガラス食器にもぴったり合うので、食器に菊を生ける方法、ぜひ試してみてくださいね。

重陽の節句のお花と一緒に楽しみたい食事

菊酒

菊酒

 

菊酒は、菊の花びらを浸したお酒です。見た目の美しさだけでなく、お酒に移った菊の香りと風味が良く、味覚と嗅覚から菊の味わいを楽しむことができます。手軽に楽しみたい時は、花びら数枚を浮かべて。しっかりと菊の風味を楽しみたいときは、菊を丸ごと一晩お酒に漬け込むと味わい深くなります。菊酒を作るときは必ず食用の菊を使うようにしてくださいね。

栗ご飯

栗ご飯

 

旧暦の9月9日頃は、ちょうど栗の収穫の時期だったことから、重陽の節句には栗ご飯が貴族だけでなく庶民にも親しまれていました。豊作を願う意味も込められていたそうですよ。栗は栄養価が高いので、不老長寿を願う重陽の節句にぜひ食べてみてください。

茄子の煮浸し

茄子の煮浸し

 

茄子も栗と同じく、旧暦の重陽の節句の時期に旬を迎える食物です。また、9日を「くんち」と読むことから、「くんちに茄子を食べると中風(今で言う風邪)にならない」という言い伝えがあり、重陽の節句に茄子を食べる習慣が一部の地域では主流になっていたようです。

年に一度、菊が主役になる日。菊の魅力を味わい尽くして。

重陽の節句 イメージ画像

 

今となっては、五節句の中では最も馴染みの薄い「重陽の節句」。ですが、古来は最後の節句日として不老長寿を願う、大切な日でした。また「重陽の節句(菊の節句)」はその名の通り、年に一度、菊が主役になる日。最近の菊には本当にたくさんの品種があって、選ぶのに迷うほど。ぜひ、菊の魅力を存分に味わいながら、他の節句と合わせて、健康・不老長寿を願う大切な一日にしてください。

花と緑をこよなく愛するお花屋さん。 日々の暮らしがちょっぴりハッピーになるような、花や緑との関わり方をお届けします。

花屋WAKAflower(わかフラワー)