一人暮らしの過ごし方からは、その人の考えや思いがコダワリとして現れるもの。
今回の特集では、色々なコダワリを持った大学生たちの暮らしぶりから、その人の思いや魅力に迫ります。
第1回の今回は、大学では演劇学科で学び、役者を目指しているという新門岳大さん。アグレッシブになんでも挑戦してみるのがモットーの生活を拝見します。
MOKUJI
新門さんのコダワリは魚を捌くこと
一人暮らしの家で魚を捌くことが趣味だという新門さん。この珍しい趣味はどのようにして開拓されたのでしょうか。
ハマったきっかけはYouTubeの動画
「YouTubeでたまたま見かけた動画から、魚を捌くことに興味を持ちました。最初は見るだけだったものの、そこからスーパーで小さなアジやサバを買って動画を見ながら捌いてみると面白くて。今度はスーパーでは売ってないような魚を捌きたいと思うようになり、徐々に魚のサイズが大きくなっていきました。」
好きなことから新しい発見を
興味を持ったら実際にやってみようという行動力が強い新門さん。ついには築地まで買い付けに行くようになったのだとか。
「築地に行った時に、地元である鹿児島産のブリが売っていて、それを捌いてみたいと思ったんです。そこで初めて出刃包丁も買いました。サイズが70センチほどあって流石に食べきれないので、じゃあ友達を呼んで振る舞ってみようとしたところで、一気に熱が入りました。実際にやってみないと分からないことを発見をしながら、捌くというよりは解体って感じが楽しかったです。」
「僕の場合、最初は色んな種類の捌くことが目的だったので、調理のレパートリーがなくて、その時はとにかく全部すぐ食べようと焦って刺身と塩焼きで食べました。それでもちょっと余ってしまったんですが、それがきっかけで熟成させて旨みを引き出す食べ方も知って、他の調理方法も模索し始めました。熟成の方法やタイミングも色々あって本当に奥深いんです。」
どんな時でも好きなことはとことん突き詰める
そこから釣りも初め、釣った後の血抜き処理なども自分でするようになったという新門さん。引っ越しをする際も、キッチンの広さを条件に物件探しを進めたほどだと言います。知識の収集と、実際に見て触れてみることをセットにして自分のものにしていく過程が楽しいと語っていただきましたが、このコロナ禍で、何か変化はあったのでしょうか。
「元々、市場や道具店でコミュニケーションを取りながら買い物をしたり、情報を仕入れることが楽しくて通っていました。話しているうちにおすすめを紹介してもらえたり、ちょっと安くしてくれたり。他にも鮮度のいい魚の見分け方や旬を直に聞けるのは勉強になりますが、自粛期間はまた別の発見もありました。
例えば、普段レストランや旅館などに卸している業者さんが、売れなくなった魚を個人向けにオンライン販売を始めたのを知ってカンパチを買ってみたり、築地のお店でもオンラインのやりとりで買い物ができたりするんです。情報収集もYouTubeのコメント欄で、結構濃いやりとりができるので、そこで血抜きの方法や熟成の方法を聞いたりしています。」
「やっぱり、普通に大学に通っているだけでは出会わなかった職業や年代の人たちと、趣味を通じて濃いやりとりができるのが、自分の中では一番素敵だなと思います。でも本当に好きなことだから、これができなくなったら、これを試してみよう、と新しいことを発見するきっかけにもなるので、熱意があれば、できることは全然狭まらないんですよね。」
コロナ禍の大学生活
コロナによる影響で学生達は学校に通うことを制限され、世間からは学生らしいことができずかわいそうだという声を多く耳にします。新門さんの一年間の様子をお伺いしました。
熱意を他に向けることで新しい発見につながる
「僕の場合は3年生のうちにほとんど単位を取り終えていたので、4年生ではそんなに授業をとるつもりもなかったんです。何も考えずに家でだらだら過ごすこともできたと思います。ただ、大学にも行けないのに学費は変わらず払い続けているという状況があったので、それは何か違うな、と感じて、この一年は取れる最大の単位を取りました。」
「オンラインだと場所を選ばずいつでも受けれるというメリットもあったので、それまで興味はあったけど適当にしていた分野を学べたのはよかったです。大学の授業意外だと、元々は車で出かけたり、キャンプなんかのアウトドアも好きでしたが、今は家でしかできないことをしてみようという縛りの中で、絵を描いたり、ピアノを始めてみたり、今までやらなかったことに挑戦しています。これからもやりたいことができたら、目標を決めて最後までやり切る精神を大切にしたいです。」
後輩へのメッセージ
「実習や実技のある学科や学年の子たちは、本当にモチベーションの管理が難しかったと思います。先輩や後輩はもちろん、下手すると同級生の顔も知らずに一年間過ごした人もいただろうし、アルバイトも限られますよね。
やりたいことがあって入った大学で、環境的にできないことがあったとしても、その熱量を違う方向に活かすことはできると思います。新しいことを見つけて、その熱量でチャレンジできたら、もったいなくないし、いずれ違うところで繋がっていくものだと僕は思っています。」
おわりに
何に対してもコダワリを持って挑戦し続けたいと語ってくれた新門さん。
どんな状況になっても、自分のやりたいことを忘れずに、熱意を持って取り組むことで有意義な大学生活が送れるのかもしれません。
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interview&writing:MIZUKI AOYAMA