冬後半になってくると、おうち鍋にもマンネリしがち。
とはいえまだまだ寒い日が続き、手軽に作れてあたたまる鍋は重宝します。
そこで今回は料理家のエダジュンさんに、いつもの鍋を調味料の味変でぐっと新鮮に楽しむアレンジアイデアを伺いました!
大人の鍋パーティーにぴったりなエスニック風味の鍋と、家族で楽しめるつけだれ鍋。手軽な2種をご紹介します。
MOKUJI
教えてくれたのは
料理家 エダジュンさん
料理研究家 / 管理栄養士。管理栄養士資格を取得後、株式会社スマイルズ入社。SoupStockTokyoの本部業務に携わり、2013年に料理研究家として独立。これまでに23冊のレシピ本を出版する。「パクチーボーイ」の名義でも活動中。
いつもの鍋にマンネリしたら
薬味やエスニック調味料で味変を
家で作れる手軽なアジアごはんや、パクチーを使った料理の提案が得意なエダジュンさん。自身も大の鍋好きで、多彩な鍋のレシピ本を手がけたことも。素材の味がダイレクトに味わえ、調味料や具材のちょい足しで味の方向性ががらりと変わるのも鍋の魅力だといいます。
エダジュンさん:
「味付けにマンネリしてきたら、いつもとは違う食材や調味料を加えて視点を変えてみるのがおすすめです。たとえば三つ葉やパクチー、しょうがなどの薬味はどっさりのせると一気に新鮮な味わいになりますし、オイスターソース、ナンプラー、スイートチリソースなどの調味料は、加えるだけでエスニック風の味わいが楽しめます」
また、ベースの鍋はシンプルでも、つけるタレのアレンジを覚えればより食べる楽しみが広がることも。今回はそんな「エスニック風味」と「つけダレ」で楽しむ2種類の鍋アレンジを教わりました。
1品目
爽やかな酸味でぺろりといける!
「豚バラとパクチーのナンプラーレモン鍋」
材料(2人分)
【具材】
豚バラ肉 200g
ミニトマト 6個
サニーレタス 6枚
パクチー 1束(20g)
(締めに)春雨 40g
【スープ】
水 4カップ
レモン 1個(6枚ほど薄切りにして、残りは搾る)
ナンプラー 大さじ1と1/2
砂糖 小さじ2
(好みで)鷹の爪 1本
【仕上げに】
黒胡椒 適量
作り方
1.調味料を煮たたせ、豚肉を入れる
鍋にスープの調味料(レモンは搾り汁のみ)を入れ、中火で温める。砂糖が溶けたら、豚バラ肉を入れる。
2.野菜を入れてさっと煮る
豚肉の色が変わったら、ミニトマト、サニーレタスを入れてさっと火を通す。
火を止めたらパクチーとレモンの薄切りを上にのせ、できあがり。黒胡椒適量をふりかける。
エダジュンさん:
「味付けはナンプラーベースでごくシンプルですが、トマトのグルタミン酸や豚バラのコクなど、食材の旨みが染みて深みのある味わいになります。
野菜はシャキッとした歯触りが残るくらいで火を止めて、サラダのように頂くのがポイント。レモンがたっぷり入っていて爽やかなので、冬だけでなく夏にもおすすめ。季節を問わず楽しめるエスニックアレンジです」
具材が減ってきたら、スープに春雨を加えて締めに。喉越しのいいめんにスープの旨みがたっぷりしみて相性ばつぐんです。そのほか、そうめんやうどん、フォーもよく合います。
パクチーは苦手ならなくしても。反対に好きならもっと量を多くしてもおいしいです。
2品目
2種のたれで好みの味つけに
家族で楽しめる「鶏と白菜のねぎ塩鍋」
材料(2人分)
【具材】
鶏もも肉 1枚(250g)
白菜 200g
長ねぎ 1本
【スープ】
にんにく 1片
水 800ml
鶏がらスープの素 大さじ1
塩 小さじ1/2
ごま油 小さじ2
【2種のたれ】
①タイ風(左)
玉ねぎ 1/6個(30g)
スイートチリソース 大さじ6
しょうがのすりおろし 小さじ1
②台湾風(右)
大根おろし 大さじ4
ザーサイ 10g
黒酢 小さじ2
ごま油 小さじ1
作り方
1.鍋の具材すべてを入れて煮込む
鍋にスープの材料と、ひと口大に切った鶏肉を入れ、中火にかける。スープが煮立ち、鶏肉に火が通ったら、2〜3cm長さにざく切りした白菜と、みじん切りにした長ねぎを加えて、白菜がくたっとするまで煮込む。
2.つけだれを作る
タイ風たれはみじん切りにした玉ねぎを水にさらしてしばらく置き、水気をしぼり、その他の調味料と合わせて混ぜる。
台湾風たれも同様にすべての材料を混ぜ合わせればできあがり。
エダジュンさん:
「タイ風ソースは少し辛めなので大人向き。スイートチリソースはあまりがちだと思うので、このタレにぜひ活用してみてください。
台湾風はさっぱりした味。口直しにぴったりです。
ベースの鍋も塩と鶏がらスープのシンプルな味なので、お子さんでも食べやすいと思います」
どちらも冬だけでなく、さっぱりしたものが食べたい季節や、身体を温めたいときにもぴったり。いつもと違う味付けがレパートリーに加わると鍋の楽しみ方もぐんと広がりそうです。一度覚えれば繰り返し作れる簡単なレシピなので、ぜひお試しください。
マグネットな本
料理家を志したきっかけの1冊
ドカンと、うまいつまみ(小林ケンタロウ/文化出版局)
エダジュンさん:
「初めて手にとったのは中学生のときでした。料理の合間にコラムがあって、人を招いて料理を振る舞うなら、好きな音楽を流して、最初に軽めのおつまみを出して、お酒を用意して……とケンタロウさん流のおもてなし方が自由に書いてあって、それが想像するだけで楽しそうで。
料理ってこんなに素敵な空間を作れるものなんだ、素敵だなって憧れたのを覚えています。
それから会社に勤め、退職して今後何をしていこうかと考えた時に、この本に書いてあったことを思い出し、食の時間を作る仕事ができたらと思ったんです。
今でも色褪せずに読み返すたびワクワクするような1冊です」
Photo_Daisuke Hashihara Interview,Text & Edit_Kaoruko Seya