いつ見ても素敵な装いで、センスがあって、目を引く人っていますよね。
「どんな部屋で、どんな暮らしをしているんだろう?」と気になるけれど、なかなか日常生活までは知ることができないもの。
そこで本連載では、おしゃれな人の住む部屋と暮らしぶりから、その人の魅力と工夫に迫ります。
第4回の今回は、モデルやジュエリーデザイナーとして、そして家族の健康を預かる主婦として。幅広い活躍を見せる根生奈穂子さんのお宅を拝見します。
MOKUJI
家主:根生(ねおい)奈穂子さん
年齢:46歳
職業:モデル、ジュエリーデザイナー
広さ:110平米(敷地)
間取り:3LDK
エリア:埼玉県川越市
ご自宅のコンセプト
「小江戸」と呼ばれ、情緒あふれる街並みで有名な埼玉県川越。幼いころに引っ越してきて以来、川越の土地に惚れ込み、住み続けているという根生さん。
彼女の城ともいうべきご自宅には、働く女性であり、子育て中のママでもある根生さんならではのこだわりが詰まっていました。
「1人目の子どもが生まれたのをキッカケに、この場所に建売住宅を購入しました。使い勝手はまあまあだったのですが、やはりそこは建売。どうしても納得いかない部分があったんです。
そこで、壁を珪藻土にしてみたり、リビングと和室を繋げて広くしたり。自分の手でリノベーションしたのですが、なかなか納得がいく家にはなりませんでした」
どうせなら、自分の思う通りの家に住みたい――根生さんは、新しい家へと建て直すことを決意。さまざまな「こだわり」を詰め込んだため、設計だけで長い歳月を費やしたそう。
「あれもこれも…と考えるうちに、設計だけで2年かかってしまいました。外壁や基礎に至るまですべてにこだわったので、設計はほぼ私。時間をかけた分、完成度は高いと思います。海外のおうちを紹介するInstagramのアカウントを見て、気になった画像はすべてファイルに。それを見ながら試行錯誤を重ねました。
中でもこだわったのは窓の大きさ。ふんだんに日差しが入るよう考え、窓を大きく広く取りました。また、2階のキッチン・ダイニング・リビング・テラスは、お客さんを呼べるようできるだけ広く快適に。昔からホームパーティーをよく開いていたので、広いスペースは絶対に確保したかったんです」
根生さんの想いが通じ、多くの人が訪れる家に。ダイニングで食事をし、食べ終わったら各々のタイミングでリビングやテラスへ。カフェのようにくつろぐことができる気持ちの良い空間は、ご家族が集まる場にもなっているといいます。
「娘が恋人を連れてくるのですが、まるで我が家のようにくつろいでくれることがうれしいんです。息子も自室があるのになぜかダイニングで筋力トレーニングをしています(笑)。いつの間にか家族が集まって、常ににぎやかに暮らしています」
家づくりのこだわりポイント
「建ぺい率50%という制限がある中、ギリギリまで広さを追求して、さらに内装やインテリアで広く見えるよう工夫しています」
そう語る根生さん。随所に施された工夫を見ていきましょう。
壁は白をベースに
「リビングは白い壁と家具を配置して視覚的に広く開放的に。光がふんだんに差し込むよう窓は3方向に付けています。シャンデリアは青山のトーヨーキッチンスタイルで購入したもの。リビングに独特のリズム感を生み出してくれます」
広く大きな窓
「左側のテラスに向かう窓は、床から天井までのワイドサイズ。折り畳み窓になっているので、すべて開けるとリビングと繋がった空間にすることができます。
設計しているときから風水も気にしていて、家族みんな笑顔で、仕事も私生活も充実した方向に徐々に進めている気がしています。
ニュアンスある光を取り込む天窓
「どうしても月が見える窓が欲しくて作ってもらいました。満月の夜はここから月明りが差し込み、とてもきれいなんですよ。朝は朝で日差しがダイニングのシャンデリアに光が当たって拡散され、部屋の中がプリズムのようにキラキラ輝きます」
家の中央を貫く階段
「キッチン・ダイニングとリビングをさりげなく分けるのがこの階段です。壁はほぼ全面窓にし、日差しがたっぷり差し込むようにしてもらいました。手すりの色は悩みに悩んで黒に。白でも良かったのですが、黒のほうがしまるかな?と」
モダンな雰囲気が光るダイニング
「ダイニングとリビングはひと続きになっていますが、違う床材を使っているのがポイント。ここも窓をできるだけ広めにとり、明るく開放的な雰囲気になるようこだわりました。
窓の下に収納スペースを作ったのですが、もう少し収納力があっても良かったかな…とそこは後悔中。これから家を建てようと思っている人は、収納をしっかりとることをオススメします」
使いやすいカウンターキッチン
「キッチンはカウンタータイプに。私の身長に合わせ、高さを出してもらっています。カウンターの上のガラスのショーケースは、以前の家で使っていたもの。紅茶やお菓子、きれいなビンなどを並べておくだけで気分が上がります。
こだわりのポイントは、冷蔵庫を隠せるよう置き場を独立させたこと。反対側に小さなテラスを作り、そこにゴミ類が置けるようにしています」
開放的なウッドデッキのテラス
「2階のベランダは、建ぺい率の関係でこれ以上広くできなかったLDKに広がりを持たせるよう、窓のような開口部がある壁を付けてカフェ風のウッドデッキに。家族や友人と一緒にお茶をしたり、BBQを楽しんだり、さまざまな使い方をしています。開口部にはサッシを付けることで、より窓らしく。目隠しとしても活躍してくれます」
インテリアや小物にも手を抜かないこだわり
続いては、根生さんこだわりのインテリアや小物をご紹介。
ホームセンターで手に入るプチアイテムをうまく取り入れ、お金を使うところは使い、抑えられるところは抑え、訪れた人がホッとしくつろげる空間づくりは要注目です。
家の至るところにグリーン
「昔から植物が好きで、実家も緑があふれています。週に一度は花屋やスーパーの花売り場に出向き、お気に入りの鉢や生花を手に入れているんですよ。
川越という土地柄でしょうか。東京では数万円する鉢植えが、数千円で購入できることも。これ以上増やすと植物園状態になってしまいそうですが、きっと少しずつ増えていくと思います。植木の鉢カバーはカインズホームやビバホームでも購入しています。最近はホームセンターにもおしゃれなアイテムがそろっていてうれしいですね。
左側の大理石を使ったテーブルは、友人と一緒に制作したもの。今後、仕事の一環としてこうしたオリジナルアイテムを発売する予定です」
目を引くダイニングのシャンデリア
「リビングのものと同様にトーヨーキッチンスタイルで見つけました。幅が125cmあり、テーブルの上をまんべんなく照らせる横型で、クリスタルガラスを使ったオーナメントがキラキラと美しく光りを反射します」
インパクト大のソファテーブル
「ノットアンティークスのABCセンターテーブルは、地元の家具屋さんで購入。かれこれ10年以上使っている愛用品です。アルファベットが彫られた独特の風合いが気に入り」
おわりに
今でも少しずつ進化を続けているという根生さんのお宅。家族がそろって笑顔になれる秘訣は、外光をふんだんに取り込み、細部にまでこだわったオンリーワンの家であることにあるかもしれません。
今回、コロナ禍もあって寝室やお子さんたちのお部屋を見ることができなかったのが残念なくらい、さまざまな工夫が詰まった根生さん宅。これから家を買いたいと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
Photo_Kohji Kanatani Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara