いつ見ても素敵な装いで、センスがあって、目を引く人っていますよね。
「どんな部屋で、どんな暮らしをしているんだろう?」と気になるけれど、なかなか日常生活までは知ることができないもの。
そこで本連載では、おしゃれな人の住む部屋と暮らしぶりから、その人の魅力と工夫に迫ります。第5回の今回は、観葉植物とインテリアに目を引かれるジュエリーデザイナーの山田みどりさんのお宅を拝見します。
MOKUJI
家主:山田みどりさん
職業:アクセサリーブランド「gren by M」デザイナー
広さ:60平米
間取り:1R
第4回「根生奈穂子さん(モデル・ジュエリーデザイナー)編」はこちらから>>>
20軒以上も内見して出会った”楽園”
生き生きと茂った植物とヴィンテージの家具がランダムにレイアウトされた空間は、洗練されたインテリアショップやギャラリーのよう。
山田さんが現在のアトリエ兼自宅に住み始めたのは約10年前。引っ越しを決意したのは、それまで住んでいた家の日当たりが悪さに辟易していたからなのだそうです。
「以前は北向きの部屋に住んでいて、夏でも足元にヒーターを置いていたくらい寒かったんですよ。仕事柄、制作中のジュエリーの色味を自然光で確認したいタイミングが多いのですが、前の家だと光が入らなくてそれも難しくて。
要するに生活面でも仕事面でもデメリットが多い部屋だったんです(笑)。だから日当りを最優先して内見を始めて、都内の物件を20軒以上も見て回ったんですよ」
「なかなか理想の物件に出会えなかったのですが、この部屋は本当にひと目惚れ。
窓が大きくて、リビングに3方向から日光が差し込んでくる造りだったので、まさに理想的な物件だなと。即決でしたね」
部屋のコンセプトは「都会のオアシス」
リビングには植物に溶け込むようにドームが置かれ、その中には蝶や鳥の剥製が息をひそめている。他にも作品であるジュエリーやカラフルな岩塩の化石などがディスプレイされ、森の中で宝探しをするような気分を味わえる。
「部屋のコンセプトは“都会のオアシス”です。私はコロナ前からこもることが多くて、デザインワークに集中している時期は家から一歩も出ない日も。
だからこそ、部屋に植物や木をたくさん取り入れて、自分なりの楽園を作りたかったんですよね」
山田さんが実践。植物と素敵に暮らす6つのアイデア
ここからは山田さんが実践している観葉植物の上手な取り入れ方をレクチャー。
自分の家に照らし合わせて、真似してみたいアイデアを見つけてみてください。
アイデア① 部屋に奥行きを生み出す工夫。植物を部屋の隅っこに置かない
「せっかく部屋に主役クラスの植物を置いているのに、隅っこに置くのはもったいない気がして。
だから私は天井まで届く高さのベンジャミンを、あえて壁際から少し離した場所にレイアウトしました。
そこを囲うように植物や自分の好きな雑貨を置くことで、奥行きのある空間が完成。秘密基地みたいで気に入っています」
アイデア② 土を触らずに「寄せ植え」を手軽に楽しむ方法って?
「数種類の植物を同じ鉢に植える寄せ植えは、洗練された雰囲気を演出できるテクニック。
でも、本来は同じひとつの土と鉢に植えていくのですが、私は大きめのカゴや器に複数の植物をポッドごと突っ込むだけの”なんちゃって寄せ植え”です(笑)。とても表情が豊かになるし、この方法なら頑張って土いじりをする手間も省けます」
アイデア③ 部屋の主役グリーンには投資を惜しまない
二子玉川の「SOLSO HOME Futako」で購入した大型のシェフレラ「天井に沿うように湾曲している大型のシェフレラは、なかなか出会えない個性的なシルエットにひと目惚れして、配送料を含めると約25万円ぐらいだったと思います。
正直かなり値は張りましたが、部屋の主役になる大きな植物は一生付き合う同居人のような存在。投資を惜しまず最高に気に入ったものを選びました。
主役がしっかりと存在感を示してくれると、他の小さかったり安価だった脇役の植物たちにも格上げ効果がありますよ」
アイデア④ 人気の種類は育てやすい。耐久性の高い品種を選ぶ
「エバーフレッシュ、ベンジャミン、モンステラ……。私の部屋にある観葉植物は基本的に定番人気の品種ばかり。多くの人に支持されている植物は枯れにくくて育てやすいんですよ。
このエバーフレッシュは出張から帰ったある日、葉がすべて落ちていたことがあったのですが、日を当ててあげたらすぐに復活。ひとり暮らしの人こそ、お留守番が得意な品種を選んでほしいです。
耐久性の高い品種はWEBで検索するといろいろ出てきますよ」
アイデア⑤ これでおしゃれ度アップ。植物にインダストリアルなものを合わせる
「部屋に植物が多くて床も無垢の木材……という感じに全体の印象がそろってしまうと、カントリー調になってしまいます。
そこで、植物の鉢や小物を入れるボックスなど、要所要所にステンレスや真鍮、ガラスなどインダストリアルなものを選んでバランスを取っています」
アイデア⑥ 湿度に強い観葉植物を選んで、バスルームもリゾート風に
「バスルームにも窓から日差しが差し込む間取りになっているので、モンステラやポトスなど高い湿度でも大丈夫な植物を置いています。
リゾートのヴィラのような雰囲気で入浴を楽しめますが、想像以上にグングン育ってしまったので、これ増やすのは止めようと思っています(笑)。お風呂に窓がある家に住んでいる人におすすめです」
おわりに
これだけ植物や雑貨が多くても部屋が洗練されているのは、ウッディな印象の室内にインダストリアルな家具、蝶や鳥の剥製、作品であるジュエリーやカラフルな岩塩の化石などなど、山田さんが気に入ったものだけを集めているから。
自分の好きなモノを見極め、美意識に合わないモノは置かない。それを丁寧に実践するだけで、自分らしい居心地の良い空間に近づけるはずです。
【マグネットな本】山田みどりさんを引き付けた一冊
『くらしマグネット』の出演者に、その人のライフスタイルに大きな影響を与え、まさに磁石のように吸い寄せられた一冊を紹介してもらうコラム「マグネットな本」。
山田みどりさんにそんな本を選んでもらいました。
ジョージア・オキーフ「WORDS/WORKS:ABIQUIU」
「私はアメリカを代表する女性画家のジョージア・オキーフが好きで、彼女はキャリアの後年をニューメキシコの家で過ごしたといわれています。孤独を愛し、ひとりで黙々と絵を描きながら、やがて自分の菜園を手に入れて、畑仕事にも精を出すようになりました。
この本には彼女の暮らしぶりが記されているのですが、必要最低限のモノだけに囲まれて生活している様子が私には理想的に見えるんです。
オキーフのような暮らしにあこがれて、実は私も伊豆の山地に移り住む予定。まだ土地を買ったばかりで家も建っていないしインフラも整っていないのですが、少しずつ計画を進めて自分だけの楽園を作りたいと思います」
Photo_Ikki Fukuda Interview & Text_Satoshi Asahara Edit_Yasushi Shinohara
第4回「根生奈穂子さん(モデル・ジュエリーデザイナー)編」はこちらから>>>
「gren by M」デザイナー。2007年にブランド立ち上げ。年に2回ほどヨーロッパを中心に買い付けへ行きながら、オフィスで作品作りを行う。ブランド名の「gren(グリン)」は、自身が叔母から呼ばれていた愛称にちなんだ造語。
山田みどり
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