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Mar 25, 2024

端午の節句は菖蒲の花とともに 健康と成長を祈る大切な一日|くらしの花図鑑

菖蒲の花

端午の節句とは

こいのぼりの人形

五節句のうちのひとつ

5月5日といえば、端午の節句。五節句のうち、1月7日の「人日の節句」、3月3日の「上巳の節句(桃の節句)」に続いて、三番目の節句です。他の節句と同じく、奈良時代に中国から伝わり、無病息災を願う日として親しまれてきました。

別名「菖蒲の節句」

端午の節句は「菖蒲(しょうぶ)の節句」という別名もあります。その由来は、菖蒲の持つ強い香りが厄や邪気を祓うとされていたところから。当時は菖蒲やよもぎを軒下に飾ったり、「菖蒲酒」を飲んだり、お風呂に入れてその香りを纏ったりすることで健康を祈っていたそうですよ。

男の子のお祝いから、すべての子どもの成長を願う日へ

江戸時代に入ると、菖蒲が武士にとって大切な武器である剣の形に似ていることや、「尚武」(武道を重んじる・尊ぶこと)と同じ読みであることから、男の子のお祝いになっていきました。そして終戦後の昭和23年、国民の祝日として「こどもの日」が制定されました。それまで男の子が生まれたお祝いとされていた日から、「すべての子どもの健やかな成長を願う日」となりました。

端午の節句におすすめのお花と花言葉

花菖蒲

花菖蒲(はなしょうぶ・あやめ)

お風呂に入れる「菖蒲」とは違う品種

実は、端午の節句の由来である【菖蒲】と、端午の節句によく生けられるお花の【菖蒲】は全くの別物。端午の節句によく目にする菖蒲のお花はアヤメ科の園芸品種です。端午の節句の由来である【菖蒲】に葉の形が似ていることや、端午の節句の時期に花を咲かせることから、花菖蒲が飾られるようになったと言われています。一方端午の節句の由来である【菖蒲】はサトイモ科の植物。古くから漢方としても重宝されてきました。香りが良く、「菖蒲湯」としてお風呂に入れるのもこちらが使用されています。お花の菖蒲はお風呂に入れると皮膚がかぶれてしまう可能性があるので、絶対にお風呂に入れないよう、気をつけてくださいね。

真っ直ぐ伸びた茎と、紫の花が美しい花菖蒲

 

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花菖蒲の美しさはなんと言っても、すっと伸びる茎と、独特の花の形。その姿からは、潔さ・凛とした美しさを感じ、こちらまで背筋が伸びてしまいます。

 

花菖蒲の花言葉:「うれしい知らせ」「優しい心」「優雅」「心意気」

花菖蒲と一緒に生けたいお花

シャクヤク

シャクヤク

 

4〜5月に旬を迎えるシャクヤク。幾重にも重なる花びらは、まるでドレスのようにボリューミー。その豪華な花姿はお祝い事にぴったりです。蕾の状態から少しずつ成長し、花が開いていくのを楽しめるのも醍醐味です。

 

花言葉:​​「恥じらい」「はにかみ」「謙遜」

ライラック

ライラック

 

小さな花が穂状にたくさん咲く様子が特徴のライラックは、シャクヤクに負けない豪華なお花です。甘く華やかな香りも楽しめます。白・ピンク・紫など、花菖蒲に合わせやすい色味なのも嬉しいポイント。真っ直ぐに伸びた茎の先にひとつの花を凛と咲かせる花菖蒲と、小さな花がたわわに咲くライラック。そのコントラストを楽しんでみてください。

 

花言葉:​​「友情」「思い出」「謙虚」「純潔」

アリウム

アリウム

 

アリウムにも様々な品種がありますが、おすすめは、茎がうねったタイプのものや紫の大きなボール状の花を持つ「ギガンジウム」という種類。踊るような茎は、花生けのアクセントとして。ギガンジウムは花の色と花菖蒲の色が美しくマッチします。

 

花言葉:​​「くじけない心」「円満な人柄」

クレマチス

クレマチス

 

別名「テッセン」と呼ばれる、細くて繊細な「つる」と上品に咲く姿が美しいお花です。こちらも紫・ピンク・白のカラーバリエーションが多く、和の雰囲気にもよく合うので、花菖蒲との相性はばっちり。縦にまっすぐ伸びる花菖蒲を生けた花瓶とは別に、クレマチス単体を浅めのガラスボウルに巻くように生けた花器を並べるのもおすすめ。それぞれの美しさを持った対照的な花姿が、テーブルを華やかにしてくれます。

 

花言葉:​​「精神の美」「旅人の喜び」「策略」

花菖蒲と一緒に生けたい枝物

ドウダンツツジ

ドウダンツツジ

 

ドウダンツツジは、新緑の季節を思わせる美しいグリーンが特徴の枝物です。花菖蒲を生けた花瓶と一緒に、ドウダンツツジ単体を生けた花瓶を並べると、一気に空間が爽やかに。ドウダンツツジは持ちも良いので、端午の節句の後も長く楽しめるのが嬉しいポイントです。

 

花言葉:「上品」「節制」​​

ウンリュウヤナギ

 

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雰囲気を一気にかっこよくしてくれるのが、ウンリュウヤナギ。勇ましく天に昇る竜のように、時には稲妻のように、激しくうねった姿が特徴の枝物です。枝が細かいので、花菖蒲と一緒に生けても花菖蒲の美しさの邪魔をしません。もちろん、ドウダンツツジと同じく花瓶を分けて生けても◎

 

花言葉:「素早い対応」「自由」​​

花菖蒲のおすすめの飾り方

菖蒲単体で

菖蒲単体

 

生け方に迷ったら、潔く、花菖蒲単体で生けてみましょう。単体だからこその凛とした美しさに、ハッとさせられます。菖蒲の花の高さが重ならないようにするとうまく生けることができますよ。

他の花と組み合わせて

菖蒲単と他の花を組み合わせて活けられている

 

他のお花と組み合わせるときは、花菖蒲の色を邪魔しない同系色のお花や、白い花、グリーンと合わせると綺麗にまとまります。同じ花瓶で花合わせが難しい時は、それぞれの花で花瓶を分けて生けるのも◎

花菖蒲を美しく見せるポイント

細長い器を使う

すっと縦に伸びる花菖蒲の美しさを引き立ててくれるのは、細長い器。黒や白一色の陶器や、クリアガラスなどシンプルなデザインにすると、統一感が出て綺麗に生けられます。

剣山を使って生ける

 

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水を張った浅めのお皿に剣山を置いて、ちょっとした生け花を楽しんでみましょう。生け花には流派によって決まった「型」もありますが、あまり気負わず、自由に楽しんでみてください。花菖蒲のすっと伸びる茎の美しさを利用して高い位置に生けてみたり、咲いた花の面の広さを利用して低めに生けたり、剣山で生ける時にしかできない様々な角度で花菖蒲を愛でてみてくださいね。組み合わせる際は、あまり色々な種類を入れこまず、3種類くらいのお花で生けると綺麗にまとまります。

器の素材は陶器・クリアガラスがおすすめ

花菖蒲自体が主張の強すぎないお花なので、色味を外さなければどんな素材の花瓶にも合います。特におすすめなのは、陶器・クリアガラス。重ための陶器は和の雰囲気と重厚感を、クリアガラスは花菖蒲の潔い、凛とした美しさを引き立ててくれます。木の器も和の雰囲気を一層際立ててくれるのでおすすめです。

花菖蒲と一緒に楽しみたい小物と食事

花菖蒲と一緒に楽しみたい小物

兜(かぶと)がモチーフの小物

兜(かぶと)がモチーフの小物

 

兜(かぶと)がモチーフの小物を置くと、一気に端午の節句の雰囲気に。小物を用意できなくても、柄物・金・銀色の和紙や、テーブルナプキンを兜の形に折るだけで、オリジナルの素敵な小物が完成!ぜひ試してみてくださいね。

紫・深い青・シルバーのテーブルクロス

花菖蒲の美しい紫色には、寒色がよく合います。同じ紫色や深い青色のテーブルクロスと合わせることでかっこよく演出できます。挿し色として、シルバーも一緒に取り入れると洗練された空間に仕上がります。

こけ玉

こけ玉

 

緑を楽しめる季節でもあるので、花生けだけでなくこけ玉も一緒に飾るのもおすすめ。和の雰囲気がさらに高まり、風情あるコーディネートに仕上がります。

花菖蒲と一緒に楽しみたい食事

兜とちまき

柏餅やちまき

端午の節句に頂く代表的なおやつである、柏餅とちまき。柏餅に使われている柏の葉は、新芽が出るまで古い葉が落ちないことから「子孫繁栄」の意味を込められており、ちまきに使われている笹の葉には、邪気払いの効果があるとされています。それぞれに込められた意味と、香りの良さを楽しんでみてくださいね。

よもぎ料理

古くから薬草として重宝されているよもぎ。血行促進やむくみ・冷え性改善などの効果があることに加え、踏みつぶされたり引きちぎられてもたくましく育つ丈夫な植物であることから、「子孫繁栄」の思いが託され、愛されてきました。よもぎも、菖蒲・柏・笹に負けじと香りが良いんです。よもぎ餅はもちろん、よもぎ蕎麦など、この時期ならではの美味を楽しんでみてください。

たけのこ料理

たけのこは、その成長の速さや真っ直ぐに伸び育っていく特性から「すくすくと健やかに育つ」「大きく成長できる」として縁起物とされており、こどもの日にぴったりの食材。旬が3〜5月なので、ぜひ端午の節句のお料理に取り入れてみてください。

鰤(ぶり)や鰹(かつお)を使った料理

鰤(ぶり)は、成長するごとに名前の変わる「出世魚」として知られていますよね。また、鰹(かつお)は「勝つ男」に語呂合わせができることから、こどもの日の料理に取り入れられます。どちらも5月に旬を迎えるので、美味しさはもちろん、栄養もたっぷり頂くことができます。お刺身やたたきで、食卓を豪華にしてみてはいかがでしょうか。

菖蒲のパワーと凛とした美しさを味方に、健康を祈る大切な一日に。

兜と菖蒲

 

菖蒲の花を楽しめるのは端午の節句前後の短い期間だけ。花菖蒲の独特の美しさを味わえる機会をぜひ逃さないようにしてくださいね。そして、菖蒲をはじめ、端午の節句にまつわる植物たちに込められた意味とパワーを受け取り、子どもたちだけでなく大人のみなさんも、健康に過ごしていけますように。

 

花と緑をこよなく愛するお花屋さん。 日々の暮らしがちょっぴりハッピーになるような、花や緑との関わり方をお届けします。

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