おうちで過ごす時間が長いと「もっとリラックスできる部屋にしたい」「オシャレな空間にしたい」といった願望が出てくるものです。
そんなお悩みを解決できるのが「飾り棚のDIY」。飾り棚とは、実用的な収納はもちろん、写真やグラフィックなどのアート作品・本や雑誌・ぬいぐるみや雑貨などなど、お気に入りのものを飾れる部屋の主役ともいえるインテリア。
そこで、初心者でも気楽に作れる、簡単なのにおしゃれな飾り棚の作り方を、専門家に教えていただきました。
MOKUJI
- 1 教えてくれるのはこの人
- 2 最近のDIY事情をインタビュー
- 3 ここから実演!飾り棚の作り方
- 3.1 完成サイズ
- 3.2 用意する材料
- 3.3 用意する道具
- 3.4 工程①:設計図を書く
- 3.5 工程②:材料をすべてそろえる
- 3.6 工程③:えんぴつで墨付けをする
- 3.7 工程④:木材を組み合わせる部分に斜線を入れる
- 3.8 工程⑤:斜線の上に、ねじを打つ位置にメドを付ける
- 3.9 工程⑥:棚板の並びを決め、切り欠きの印を付ける
- 3.10 工程⑦:天板・棚板の補強材を入れる場所をマーク
- 3.11 工程⑧:下穴を開ける
- 3.12 工程⑨:ねじ立てをする
- 3.13 工程⑩:棚の横になる部分から組み立てる
- 3.14 工程⑪:残った部分をねじ立て
- 3.15 工程⑫:骨組みの背中部分を付ける
- 3.16 工程⑬:キャスターを取り付ける
- 3.17 工程⑭:切り欠き部分をカットする
- 3.18 工程⑮:天板や棚板を並べる
- 3.19 工程⑯:天板と棚板に墨付けをする
- 3.20 工程⑰:木ねじを打つ場所にメドを打つ
- 3.21 工程⑱:天板と棚板に下穴を開ける
- 3.22 工程⑲:全体にやすりをかけて滑らかに
- 3.23 工程⑳:天板を骨組みに付ける
- 3.24 工程㉑:下段の棚板を付ける
- 3.25 工程㉒:真ん中の棚板を付ける
- 3.26 工程㉓:補強材を取り付ける
- 3.27 工程㉔:好みの色で塗装する
- 3.28 工程㉕:完成
- 4 おわりに
教えてくれるのはこの人
tukuriba 川上希望さん
tukuriba認定登録講師。高校卒業後、女性では珍しい溶接工の道に進み、さまざまな鉄加工のノウハウを学ぶ。テレビで見たDIY特集で木工に興味を持ち、東京への引っ越しを期にtukuribaへ。小さなものから大きな家具まで作りあげる腕とセンスに定評あり。お店で行われるワークショップなどで自身が培ったノウハウを披露中。好きな工具はインパクトドライバーと水平器。
最近のDIY事情をインタビュー
実際に棚を作り始める前に、まずは最近のDIY事情を川上さんにお聞きしました。
――実際に飾り棚を作っていただく前に…最近のDIY事情について教えてください。女性の間で人気が高まっているんですか?
「YouTubeやSNSで、自作のDIY作品をアップしてる人も多いようですね。当店では、二子玉川という立地もあると思いますが、コロナ禍に入る前から女性が多くいらっしゃいます。
ワークショップを開設して4~5年経ちますが、平日は参加者のほとんどが女性なんですよ。スタッフが全員女性なので、女性おひとりでも気軽に参加していただけるのかもしれません。DIYはお父さんのもの、という常識は変わってきていますね」
――女性が作る場合、どのようなものをDIYする人が多いのでしょうか
「これは本当にさまざまです。小さいものでは箱型の入れ物やミニシェルフ、台所などで使う踏み台などなど。大きいものになるとテーブルや食器棚、お庭で使う目隠しフェンスを作られる人もいらっしゃいますね」
――DIYをするメリットは?
「作る楽しみがあったり、手作りのぬくもり感があったりはもちろんですが、何よりも自分の部屋にピッタリ合ったサイズ・色・形の家具や雑貨を手に入れられることだと思います。
『こんな家具が欲しい!』『この隙間にピッタリ入る棚が欲しい!』という欲望を叶えることができる、それがDIYの最大の魅力です」
ここから実演!飾り棚の作り方
DIYの魅力がわかったところで、今度は川上さんに棚の作り方を教えてもらいます。
今回は編集部・篠原の発案でお気に入りの写真・本・植物などを置く「飾り棚」の作り方講座を川上さんに依頼!1Kや1Rの人にもオススメの部屋を彩る素敵インテリアを自分の手で作れます。
完成サイズ
タテ800mm、ヨコ1017mm、奥行き280mm
※こちらのサイズは参考の数値になります。ご自身の作りたい大きさにより、サイズを変えてください
用意する材料
・骨組み(ツガ製の角材)
800×40×40mmのもの:4本
937×40×40mmのもの:3本
200×40×40mmのもの:6本
・天板・棚板(SPF材)
1017×19×140mmのもの:6枚
・補強材
長さ200×20mm×40mmのもの6本
・キャスター(40mm径)
ストッパー付きのもの:2個
ストッパーのないもの:2個
・木ねじ
65mm長さのもの:68本
30mm長さのもの:24本
・キャスター取り付け用ねじ(20mm):16本
・紙やすり(120番):1枚
・ワトコカラーオイル エボニー:1缶
用意する道具
・電動ドライバー
・ジグソー(またはのこぎり)
・サンダー
・テーブルクランプ
・電動ドライバー用ドリル(3mm)
・刷毛
・えんぴつ
・定規
・メモ用紙
工程①:設計図を書く
「どんな大きさにしたいか、棚板は何枚付けたいかなどを考え、完成予想図をメモ。サイズなど細かい部分も記した設計図を作りましょう。慣れてくれば設計図を作る必要はなくなりますが、慣れるまではこのこれを元に作ったほうが成功確率が高まります」
工程②:材料をすべてそろえる
「とりあえず…でスタートさせてしまうと、途中で材料不足に気付いて計画がとん挫してしまいがち。すべてあるか確認してから始めましょう。
また、木材はあらかじめ、ホームセンターなどでサイズ表を渡し、カットしてもらうと楽チンです。プロにお願いできる部分はプロに任せる、これもDIYのコツです!」
工程③:えんぴつで墨付けをする
「設計図を見ながら、骨組み同士を組み合わせる部分に印を付けていきます。定規を使い、サイズを確認しながら入れていきますが、骨組みに使った木材の端切れを使って入れると、いちいちサイズを計らずに済むので便利です。こうした木材にマーキングをする作業を『墨付け』といいます」
工程④:木材を組み合わせる部分に斜線を入れる
「さらに、③でマークした部分に斜線を入れます。定規を使って丁寧に、直線で入れるようにしましょう」
工程⑤:斜線の上に、ねじを打つ位置にメドを付ける
「④で書いた斜線の、端から人差し指1本分の幅くらいの場所に、鉛筆でチョンっと印を付けていきます。斜線の左右両方ともにメドを付けてください。こうしてマークすることで、的確な位置にねじを打つことができます」
工程⑥:棚板の並びを決め、切り欠きの印を付ける
「天板と棚板(それぞれ2枚1組)の配置を決めます。木目には一枚一枚違った表情があるので、気に入った並びを考えてみてください。決まったら裏面になる部分に鉛筆で番号を書き入れ、組み合わせが分かりやすくしておきましょう。
また、棚板の端に骨組み材を当て、鉛筆でぐるりとマークします(背部につながる棚板は奥側の2か所、手前側になる棚板は手前の2か所に入れる)。このマークした部分は、後からのこぎりでカットする部分になります」
工程⑦:天板・棚板の補強材を入れる場所をマーク
「天板はしっかりした厚みのものを使っていますが、重たい物を載せても安全なように、また棚そのものの強度を高めるために補強材を裏側に入れます。天板・棚板のちょうど3分の1くらいずつの位置に補強材を2本入れるので、あらかじめ定規で計って位置を決め、えんぴつで墨付けしておきましょう」
工程⑧:下穴を開ける
「電動ドライバーの先端にドリルをセットし、⑤でメドを打った部分から、木材を貫通させるようにして穴を開けます。必ずドリルの穴が垂直に開くよう、気を付けて作業してください。下に端材を置いて作業すると、テーブルを傷つけずに済みます」
工程⑨:ねじ立てをする
「⑥で開けた穴のえんぴつでマークをしていない側から、木ねじ(骨組みには65mmのものを、補強材には30mmのものを使用)を半分くらい、電動ドライバーを使って付けていきます。この作業を『ねじ立て』といいます。ここでねじ立てを行うのは、棚の左右の面に当たる部分と、棚板の補強材です」
工程⑩:棚の横になる部分から組み立てる
「あらかじめねじ立てをしているので、あとは骨組み同士をくっつければいいだけ。ねじを止める順番は、必ず棚の奥側から。上下の骨組みを付けてから、中央の骨組みを付けるようにすると上手くいきます」
工程⑪:残った部分をねじ立て
「棚の背中側の骨組みを付ける部分に、ねじを立てます」
工程⑫:骨組みの背中部分を付ける
「続いて棚の背面にあたる部分の骨組みをつなげます。クランプを使って片側をしっかりと固定して行うとやりやすくなります。こちらも、付ける順番は上・下・真ん中の順。木材にゆがみがある場合は、上下の骨組みを少しずつ締めていくと上手くいきます」
工程⑬:キャスターを取り付ける
「棚の下部に当たる部分に、キャスター用のねじを使って取り付けます。ストッパー付きキャスターの位置が対角になるように付けるのがポイントです!」
工程⑭:切り欠き部分をカットする
「クランプで棚板をしっかり固定し、⑥で印を付けた切り欠き部分を、ジグソーでカットします。のこぎりを使ってカットする場合は、ズレたりしないよう注意を。ただし、そうした失敗もまた、DIYの楽しみのひとつ。ちょっとゆがんだくらいは気にしない、そんなおおらかな気持ちで行いましょう」
工程⑮:天板や棚板を並べる
「天板と棚板を、組み立てた骨組みの上に並べていきます。うまく棚板がはまらないようなら、切り欠き部分を調整し、棚板がはまるよう調整してください」
工程⑯:天板と棚板に墨付けをする
「天板と棚板の裏側に、骨組みがどのように組み合わさるか分かりやすいよう、えんぴつで線を書いていきます。左右、そして背部の骨材までぐるりと墨付けしてください」
工程⑰:木ねじを打つ場所にメドを打つ
「⑯で墨付けをした面に、木ねじを打つ場所のメドを付けていきます。左右は⑤の行程と同じで木材の端から人差し指1本分くらいの場所にメドを付けます。
棚板は背中側の骨材としっかり組み合わせたいので、こちらにも木ねじを打つメドを付けます(4か所程度)」
工程⑱:天板と棚板に下穴を開ける
「電動ドライバーにドリルを取り付け、⑰でメドを付けた部分に、⑧と同じように下穴を開けます」
工程⑲:全体にやすりをかけて滑らかに
「サンダーを使って天板や棚板、骨組みを磨きます。こうすることで手触りが良くなるのはもちろん、後からきれいに色がのるようになります!サンダーというのは、電動のやすりがけマシンのこと。ご自宅にない場合は、ちょっと大変かもしれませんが、手でやすりがけしてください」
工程⑳:天板を骨組みに付ける
「天板は手前にくる板からねじ止めをしていきます。止めるときは板の右下を止め、続いて対角に当たる左上を止めるようにすると、きれいに仕上げることができます(残り2つの順番はどちらからでも大丈夫です!)。奥側の板も同じように対角にねじ止めしてください」
工程㉑:下段の棚板を付ける
「天板を付けたときと同じで付けるのは手前側の板から。対角の位置にある2本のねじを止め、残り2本を止めていきます。奥側の板も同様に。最後に背部の骨組み部分を止めましょう」
工程㉒:真ん中の棚板を付ける
「下段を付けたときと同じ感じで真ん中の板を固定します。骨組みがあってまっすぐに打ちにくい場合は、電動ドライバーを傾けて斜めに打ってもかまいません」
工程㉓:補強材を取り付ける
「棚の上下を逆さにし、⑦で墨付けした部分に補強材を当て、天板と棚板の補強材を取り付けます。すべて終われば、棚作りは完成。棚を正しい向きに戻し、不具合がないか全体を見て確認しましょう」
工程㉔:好みの色で塗装する
「今回は、簡単に塗れるワトコカラーオイルを利用し、色付けを行います。オイルは液だれしやすいので、刷毛に少量ずつ染み込ませるようにしてください。塗り始めるときは、棚板の裏など目立たない部分から。天板や棚板の表側を塗るときは、ムラにならないよう注意しながら塗ってください。
また、“木口(こぐち)”と呼ばれる板の端っこの部分は特にオイルを吸いやすいので、他の部分を塗って刷毛がカスカスになったくらいの状態で塗るとちょうどいいです。初心者は難しいことはあれこれ考えずに塗るほうが、上手くいくので気負わずにやってみてください」
工程㉕:完成
「好みのアートや本、雑貨で飾りましょう。部屋の中のお気に入りスポットになるはず!
床や壁の色味と合わせると、置くものに左右されずに部屋との一体感が出ますよ」
おわりに
「DIYは失敗の連続。でも、それこそがDIYの醍醐味だし、失敗することがDIYの“通常”です。ダメ元くらいの気持ちで気軽に挑むことが大切なので、初心者だから…と臆することなく『やってみよう!』という気持ちで挑んでみてください」と、川上さん。
この機会にぜひ自作の家具に挑戦して、新境地を拓いてみましょう。
tukuriba二子玉川店(本店)
DIY初心者も安心して通えるDIY専門ショップ。ワークショップ、ワークスペースの貸し出しのほか、DIY用品全般を販売。
東京都世田谷区瀬田2-32-14 玉川髙島屋ガーデンアイランド1F
☎03-6870-3636
営業時間 10:00~20:00
http://tukuriba.jp
Photo_Koji Kanatani Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara