日本の伝統料理・蕎麦は、香りや食感、のど越しまで楽しめる食材です。そんな蕎麦をさらに美味しく食べるための薬味には数多くの種類があり、何を入れるかによって味わいが変わります。今回こちらの記事では蕎麦をより美味しくする薬味のアレンジ方法や、意外だけれど蕎麦と相性の良い薬味を紹介します。定番の薬味もひと手間加えることでより美味しくなるので、ぜひ参考にしてくださいね。
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薬味とは?
薬味は、料理に風味を加え、食欲を増進させるための野菜や香辛料のことです。これらの成分は、香りや彩を添えるだけでなく、冷えた体を温めたり、殺菌効果をもたらしたりするなどさまざまな作用があります。完成した料理に少量添えられ、薬味が持つ特徴によって料理全体に香りを加え、酸味や辛味を追加することで料理の美味しさを引き立て、深い味わいに仕上げます。
蕎麦に薬味を入れる理由と効果
蕎麦はそのまま食べても美味しいですが、薬味を入れるのには以下のような理由があり、それによって得られる効果があります。
【蕎麦の風味を引き立たせる】
薬味には蕎麦の風味を引き立てるとともに、食欲を増進させる役割があります。薬味の風味や味が加わることで食欲が刺激され、満足度もより高くなります。
【味に変化を持たせる】
蕎麦を食べる際に薬味を取り入れることで、味わいの変化を楽しむことができます。それぞれの薬味ごとに味はもちろん香りも異なります。その時の気分やその他の薬味や具材との相性を考えながら取り入れると、また新しい蕎麦の味わいを楽しむことができます。
【消化吸収を助ける】
一部の薬味には、消化を助ける作用があります。例えば、ネギやわさび、大根おろしといった薬味は消化を促進する作用があるだけではなく、蕎麦に含まれる栄養を効果的に摂取することができます。さらに、これら薬味には殺菌作用や毒消しの作用もあるとされています。
蕎麦と一緒に食べたい薬味8選
ここからはおすすめの蕎麦の薬味8つについて解説します。そのまま入れるのではなく、ひと手間を加えることでさらに美味しくなるので、その内容も合わせて各項目で紹介します。
ネギ
蕎麦の定番の薬味の1つ「ネギ」は、一口にネギと言っても白ネギや青ネギなどの種類があります。その中でも辛味と旨味の両方をもつ白ネギは特におすすめです。シンプルに小口切りや白髪ねぎなどで取り入れるのはもちろん、白ネギの加熱すると甘くなるという特徴を生かし、「焼きネギ」にして蕎麦に添えても美味しいです。
「焼きネギ」は5cm程にカットした長ネギを、ごま油をひいたフライパンでこんがり色がつくまで焼き、仕上げに塩をひとつまみ振りかけたら完成です。蕎麦の薬味としてはもちろん、お酒のつまみやおかずとしてもおすすめです。
大根おろし
江戸時代には、蕎麦を辛味大根のおろし汁につけて食べる習慣があったほど、大根おろしは古くから蕎麦と相性のよい薬味として取り入れられてきました。大根おろしのピリッとした辛味がそばの香りと風味を引き立たせてくれます。
上記のようなさっぱりとした食べ方ももちろん、豚肉などの甘辛い炒め煮と大根おろしを蕎麦に乗せて食べるのもおすすめです。
ミョウガ
夏に旬を迎えるミョウガは、独特な香りとシャキシャキとした食感が特徴的です。ミョウガの香りを楽しめる「輪切り」や、繊維に沿って切ることでミョウガの食感を楽しめる「千切り」など、切り方によって味や香り変化を感じることができます。
薬味として蕎麦に入れる以外にも、天ぷらにして蕎麦と一緒に食べるのもおすすめです。
梅干し
さっぱりとした酸味と旨みが詰まった梅干しは、温冷どちらの蕎麦とも相性バッチリです。
刻んだ大葉と一緒に蕎麦つゆに入れたり、冷たい蕎麦の上に崩したカッテージチーズと梅干しを乗せて、めんつゆをかけるなどいろんな味わい方があります。
また、梅干しの酸味や塩味を和らげたい時は「焼き梅干し」がおすすめ。耐熱容器に梅干しを入れてオーブントースターで表面をこんがりと焼くだけなので、試してみてくださいね。
とろろ
温かい蕎麦と冷たい蕎麦どちらとも相性が良い「とろろ」。蕎麦に絡みやすく、ツルツルと滑らかな食感を楽しむことができます。定番の月見そばだけではなく、牛肉の甘辛煮と一緒に蕎麦に乗せたり、蕎麦の上にとろろとカリッと焼いた豚バラ肉と焼きネギをのせたり、ボリューミーなアレンジも楽しめます。
オクラ
ネバネバ食感のオクラは蕎麦と一緒に食べられる薬味の一つです。オクラは冷たい蕎麦と合わせられることが多いですが、実は温かい蕎麦とも相性が良いです。
冷たい蕎麦ならキムチや納豆と合わせたり、さっぱりとトマトと「とろろ」と合わせたり、ヘルシーな組み合わせがおすすめ。温かい蕎麦なら、「月見そば」にプラスしてオクラの食感を楽しめます。
ごま
香ばしい香りとコクのある風味のごまは蕎麦との相性バッチリ。ごまは香り高い薬味ですが、他の薬味の香りや風味とマッチしやすく、引き立たせてくれます。
ごまの香りと風味を楽しむなら、食べる直前に炒りごまを擦って入れるのがおすすめです。また、器に「ねりごま」と濃縮めんつゆをそれぞれ大さじ3ずつ、お湯を大さじ2入れて良く混ぜると簡単にごまだれが作れるので、試してみてくださいね。
大葉
爽やかな香りが特徴的で、天ぷらとしても人気の大葉。大葉は千切りやみじん切りにして、蕎麦に絡めて風味を楽しめます。大葉は細く千切りにすることで香りが引き立ちます。大葉を千切りにする時のコツは以下の2つです。
▶️大葉はくるくると巻いてから千切りにする
▶️切った大葉はアク抜きのために10秒ほど水に浸して、よく水を切る
大葉を潰さず、ふんわりとした大葉の千切りができるようになります。
珍しくてクセになる蕎麦の薬味
ここまでは定番の薬味を美味しく食べる方法を紹介してきました。こちらの項目では食べるとクセになる薬味を8つ紹介します。
▶️玉ねぎ:辛味を緩和させるため、薄くスライスして水に浸し、しっかりと水を切ってから食べるようにします。
▶️焼き味噌:味噌は江戸時代には、味噌は蕎麦の薬味として一般的でした。蕎麦の薬味としておすすめなのは、香ばしく、味噌の風味が際立つ「焼き味噌」がおすすめです。焼き味噌は食べる際に七味唐辛子を少量かけても美味しいですよ。
▶️もずく:もずくは温冷どちらの蕎麦にも取り入れることができます。または、もずくを天ぷらにして蕎麦に添えるのもおすすめです。
▶️トマト:トマトには旨味成分のグルタミン酸が含まれているので、薬味として取り入れることで蕎麦の美味しさが増します。また、かつおぶしや昆布を用いた蕎麦つゆとの相性もバッチリです。
▶️バジル:大葉のように香り高いバジルは蕎麦の風味と相性がよく、トマトと合わせて洋風にアレンジするのもおすすめです。バジルはそのままでも薬味として美味しく食べられますが、バジルソースにすると蕎麦とよく絡み、香りをより楽しめます。
▶️あおさ:磯の香りで料理の味わいに深みを出してくれるあおさ。温かい蕎麦に入れると、とろりとした食感の中にもシャキシャキとした食感も感じられます。
▶️じゃこ:じゃこは旨味が凝縮されているので、蕎麦の香りや味わいを引き立ててくれます。
▶️からし:新潟県の一部地域では蕎麦の薬味として食べられているからし。ピリッとした辛さと風味が蕎麦の香りを引き立て、食欲が増します。同じ辛味のある薬味でも、わさびとは違った辛さと香りなので、その違いを楽しむのもおすすめです。
蕎麦のお供・薬味をより美味しく食べよう
蕎麦はそれだけでも香りと風味が良いのですが、様々な種類の薬味をプラスすることで、いろんな味を楽しむことができます。ぜひ今回紹介した薬味アレンジを取り入れて、蕎麦の新しい味わい方を楽しんでみてはいかがでしょうか。