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小さなスペースでも真似できる“見せる収納”のテクニック6選〜おしゃれな人の上手な生活 vol.6みつまともこさん

みつまともこさんとリビング

いつ見ても素敵な装いで、センスがあって、目を引く人っていますよね。「どんな部屋で、どんな暮らしをしているんだろう?」と気になるけれど、なかなか日常生活までは知ることができないもの。

そこで本連載では、おしゃれな人の住む部屋と暮らしぶりから、その人の魅力と工夫に迫ります。第6回の今回は、スペースを有効活用した「見せる収納」の達人であるディスプレイデザイナー・みつまともこさんのお宅を拝見します。

みつまともこさん

家主:みつまともこさん

職業:ディスプレイデザイナー・インテリアスタイリスト

広さ:約100平米

間取り:2LDK

広いリビングにこだわりの飾り棚を設置

みつまともこさんリビング

 

旦那さんと小学生の娘さん、そしてトイプードルのあんずくんと一緒に暮らしているみつまさん。

6年前から住み始めた新居は、入居希望者が共同で土地を購入し、それぞれの要望を盛り込みながら建築する「コーポラティブハウス(集合住宅)」。分譲マンションのように完成した住宅ではないため、レイアウトはもちろん収納の量や床材までゼロからの家づくりにあたって、みつまさんは家族が集うリビングを広く確保することにこだわりました。

そのなかでも特に目に入りやすい「入口から見て対角線上の奥」に、土台を壁に内蔵した飾り棚を設置することに。

 

みつまともこさん

 

「ディスプレイデザイナーという職業柄、以前から自宅の一部を飾る習慣があったので、新築することを決めたときに真っ先に思ったのは『飾るスペースを作りたい』ということでした。限られたスペースでも、家の中に自分の好きなモノを集めたショーウインドーのような場所があると、生活に彩りが生まれるんですよね」

 

お気に入りの本やキャンドルを収納する場所でありながら、旅先で出会った小物、季節感を演出する植物など、そのときの気分に合ったモノを飾る場所でもある。実用性とおしゃれを両立した見せる収納のお手本のような空間です。

 

「棚を新しく買い足さなくても、飾るためのスペースは住まいのどこか一角で大丈夫です。目立つコーナーだけでもディスプレイを変えれば、大きな模様替えをしなくても、新鮮さが加わり印象が変わりますよ。だから家の中でパッと目を引くところを飾る場所に選ぶことが大切です」

大前提は「好きなモノを飾ること」と「過剰に持たないこと」

みつまともこさんキッチン

 

「見せる収納」に挑戦するための飾るスペースを確保したけれど、何を置けばいいのか分からない人も多いはず。そんなお悩みに対し、みつまさんがシンプルな心得を語ってくれました。

 

「自分や家族が好きなモノを飾ればいいんです。私も最初は家具や雑貨を北欧風でそろえようかと思っていましたが、ハワイのテイストも和物も好きなので、統一感については深く考えないようにしました(笑)。

トレンドやおしゃれ感を優先するのではなく、日々の暮らしのなかで、自分が眺めていて気持ちが上がるもの、嬉しくなるものを飾る。それが見せる収納の大前提だと思います」

 

みつまともこさん

 

また、家に置くものの全体量を増やしすぎないことも大切だとか。

 

「ただし、物量が増えすぎると、いつの間にかモノが収納場所からあふれ、ディスプレイが破綻してしまいます。頑張って飾っても、モノが活きず素敵になりません。

私の場合は新居を設計するときに、食器や雑貨、洋服など手持ちのモノを棚卸しして、各部屋に必要量の収納を設置しました。そして、そこに収まる分だけのモノしか持たないというルールを設けています」

すぐに実践OK!みつまさん流・見せる収納テクニック6選

ここからは、みつまさんが実際にご自宅やっている見せる収納の上手な取り入れ方をレクチャー。真似しやすいテクニックを厳選しているので、自分の家に照らし合わせてチェックしてみてください。

テクニック①入れ物自体をおしゃれにしてスッキリ収納

入れ物自体をおしゃれにしてスッキリ収納

 

「ごちゃごちゃしたモノが表に出ていると、部屋はスッキリした印象になりませんよね。かといって、同じような収納ボックスが見えているのも味気ない……

だからこそ、私は『どうせなら素敵なモノに入れる』というセオリーを大切にしてます。例えば家族の薬やコースターは北欧の雑貨店で買った白樺で作られたカゴに入れていて、出しっぱなしにしていても飾っているような感覚を味わっています」

テクニック②置くモノの色や素材をそろえて高級感アップ

置くモノの色や素材をそろえて高級感アップ

 

「雑然とした印象になりやすい本棚やキッチンは、モノの色や質感をそろえて置くことがポイントですね。

本は背表紙の色味が一緒のモノをまとめて置くとすっきり見えますし、ギャラリーのような雰囲気を演出できます」

 

キッチン

 

「また、生活感が出やすいキッチンはモノの質感をそろえて置くことにこだわっていて、カッティングボードなどの木製のモノとガラス製の容器の場所を分けています」

テクニック③あえて中身を見せるガラス容器を採用

あえて中身を見せるガラス容器を採用

 

「ガラスのキャニスターを収納の容器として利用するのも、ディスプレイとして魅せるのに役立ちます。こちらはIKEAのCYLINDERという商品。

中身が見える容器だとモノが隠れないから意味がないと思うかもしれませんが、ガラスがショーケースのウィンドウ的な役割を果たすので、不思議とすっきり見せてくれる効果を期待できます。アパレルショップや雑貨屋のショーケースが素敵に見えるのは、ガラスのおかげもあるのです」

テクニック④「可愛いものを一緒に飾る」だけでイメージが一変

「可愛いものを一緒に飾る」だけでイメージが一変

 

「タオルを収納している棚に素敵なパッケージのモノを一緒に飾ると、それだけで収納飾りの要素が加わってイメージが変わります。こちらはTHE LAUNDRESSの洗剤。

料理が好きな人は、キッチンの一角におしゃれなパッケージの調味料を置いておくだけでも華やかさが増しますよね。スペースに余裕があれば、そこに関係のないアイテムを一緒に飾ると、よりディスプレイ感を演出できますよ」

テクニック⑤トレーや板を使って適切な余白を確保する

トレーや板を使って適切な余白を確保する

 

「トレーや板、布などを下にしくと、まとまりが出てゴチャつかずに飾ることができるのでオススメです。こちらはTHE CONRAN SHOPで購入したお皿を使っています。
また、まとめることで適度な余白ができ、メリハリが出ます。見せる収納が活きるのは、適切な余白があるからこそ。」

テクニック⑥「三角形のシルエット」を意識して単調さ回避

「三角形のシルエット」を意識して単調さ回避

 

「三角を思い浮かべながら飾りたいモノを配置していくと、ディスプレイが単調にならず、メリハリがついてバランス良くまとまります。三角形は縦長でも横長でも、二等辺でも変形でもかまいません。

ポイントは飾るモノの高低差を演出すること。高い位置と低い位置、それぞれに視点が行くものを混ぜて飾ることで、不思議とまとまり感のある立体的な見せる収納にできます」

おわりに

収納棚のあるリビング

 

暮らしのなかに、小さくても見せる収納や飾るスペースを作り、そこをきれいに保つこと。それが習慣になれば「次は何を飾ろう?」と考えるようになり、自然と季節の変化や幅広いカルチャーに目が向き、感性が磨かれるはず。また、部屋全体を片付けるモチベーションも上がりそうです。

 

部屋が心地良い空間になるだけでなく、新鮮な気持ちや意欲も湧いてくる。見せる収納を取り入れることで、少しずつ暮らしが豊かに変わっていくはず。

【マグネットな本】みつまともこさんを引き付けた一冊

『くらしマグネット』の出演者に、その人のライフスタイルに大きな影響を与え、まさに磁石のように吸い寄せられた一冊を紹介してもらうコラム「マグネットな本」。みつまともこさんにそんな本を選んでもらいました。

サイモン・ドゥーナン『CONFESSIONS OF A WINDOW DRESSER

サイモン・ドゥーナン『CONFESSIONS OF A WINDOW DRESSER』

 

「1986年以降、アメリカの高級百貨店『バーニーズ・ニューヨーク』のクリエイティブディレクターを務め、広告・広報・ディスプレイおよびストアデザインを担当してきたサイモン・ドゥーナンの作品集。

眺めているだけでワクワクしてしまいますし、自由な発想でディスプレイを楽しむ姿勢を学びました」

 

 

Photo_Ikki Fukuda Interview & Text_Satoshi Asahara Edit_Yasushi Shinohara

アパレルブランドでディスプレイの仕事に携わり、その後フリーのディスプレイデザイナー・インテリアスタイリストとして独立。著書に『小さなスペースではじめる 飾る暮らしの作り方 プロが教えるセオリー&アイデア』(翔泳社刊)がある。Instagramでも暮らしを楽しむアイデアを更新中。

みつまともこ

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