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Sep 27, 2023

子どものおもちゃや工作をスッキリ!プロ直伝「誰でも続けられる収納」のコツ

子どもの成長につれて増え続ける、おもちゃや工作。形も素材もさまざまで、どう整理したらいいかわからない方も多いのではないでしょうか。また、思い入れがあるとなかなか捨てられないという悩みも。

今回はそんな「おもちゃ収納」のコツを整理収納アドバイザーの水谷妙子さんに聞きました。
子どもが自発的に片付けられる収納のしくみから、無印良品など身近なお店で手に入る便利な収納グッズまで、たっぷりご紹介します!

 

教えてくれるのは
整理収納アドバイザー 水谷妙子さん

 

整理収納アドバイザー。3人の子どもを育てるお母さん。無印良品の商品開発担当を経て、「ものとかぞく」を起業。片付け講座や情報発信を行う。著書に「水谷妙子の片づく家~余計なことは何ひとつしていません。」(主婦と生活社)など。

 

 

まずは整理・収納・片付け・掃除の違いを意識して

ものをしまう習慣をつけるには、まずは一連の動作について、しっかり理解することがポイントだと水谷さん。片付けには以下の4つの段階があるといいます。

 

1.「整理」…「使っているもの」と「使っていないもの」に分けること

2.「収納」…整理したものをどこに置くか、定位置決めること。

3.「片付け」…出したものを「収納」で決めた定位置に戻すこと。

4.「掃除」…片付けまでができている状態で、ほこりなどの汚れを取り除くこと。

 

これら4つの段階を把握することで、自分が片付けられない理由がどこにあるかわかるといいます。

 

だから片付かない!9割の人は最初の「整理」ができていないんです

 

 

 

そんな中、片づけられなかった自分自身の経験と、講師を務めてきた講座での経験から、ものが片付けられない人の大多数は、いちばん最初の「整理」の作業ができていないと気づいたという水谷さん。

 

逆に言えば「整理」と「収納」ができれば、片付けと掃除は無意識にでもこなせるのでぐんと楽になるといいます。

「整理」と「収納」の具体的な方法は?

では、そんな「整理」と「収納」のポイントを、今回は子どものおもちゃを例に教わりました。

子どものおもちゃ「整理」のコツ

①まずは「使っているもの」と「使っていないもの」に分ける
②使っているものを「よく使うもの」「たまにしか使わないもの」に分ける

 

▲水谷家の場合、たまにしか使わないおもちゃは、おもちゃ棚の脇にあるクローゼットの中へ収納しているそう

 

水谷さん:

「②で『たまにしか使わない』に分類するのは、今は子どもが興味を示さないおもちゃなど。いずれまたブームが来る可能性もあるので、ふだん子どもが遊ぶスペースとは別の場所(押入れなど)に保管しておくのがおすすめです。

 

『よく使うもの』としてメインの棚に残すおもちゃは、できるだけ数を絞りましょう。目安は、大人が本気で片付けて3分で終わる量。子どもは大人より片付けに時間がかかるので、全てのおもちゃを出したとしても、長くても10分以内でしまいきれるような量に絞っておくことが大事です」

 

▲水谷さんも子ども3人のおもちゃは最低限に絞り、この棚におさまる量に

 

こうして整理されたおもちゃ。続いて定位置を作る際のコツを伺います。

子どものおもちゃ「収納」のコツ

 

①「一等地」におく
②子どもが片付けやすいしくみをつくる
③おもちゃは細かすぎない5〜6種程度に分類する

 

 

水谷さん:
「①の『一等地』とは2つの意味があり、ひとつは子どもの動線にとっての一等地ということ。遊び場のすぐ近くなど、遊んだあとで元に戻しやすい場所に収納スペースを作ることが重要です。

 

もうひとつは高さとしての一等地。子どもの目線で見たときに、手が届きやすく、わかりやすい場所に収納ボックスを設置します。大人目線で場所を選ばないというのは、案外忘れがちですが大事なポイントです」

 

 

水谷さん:
②の片付けやすいしくみとは、たとえば収納ボックスなら、フタをせず上部に10センチ以上のスペースを作ること。そうすることでボックスを引き出さなくても、そのままポイとおもちゃが投げ込めるように。

 

子どもにとってはワンアクションになることで、片付けのハードルが下がります。また、棚の中に収納ボックスを入れる場合、上部に10センチ以上のすきまがあると中に入っているおもちゃが見えるので、どこになにを入れたらいいかもわかりやすいですよ」

 

 

水谷さん:
「収納ボックスに仕分けるためのおもちゃの分類は、できるだけ細かすぎないようにすることがポイント。大人が考えるとつい細かく『トミカ』や『プラレール』などと商品名で分けてしまいがちですが、子どもにとっては細かいほどわかりづらく、しまうのが大変になってきます。

 

たとえば、片付け初心者のうちはトミカやプラレールはすべて『乗り物』として、顔のついたおもちゃはすべて『人形』とするなど。多くても5〜6種類くらいの大きめな分類にして、収納ボックスを作ると子どももしまいやすいです。

 

中には分類できないおもちゃもあると思うので、『いろいろボックス』もひとつ作ることが大切。すると迷子のおもちゃがなくなります」

 

具体的なポイントを伺った上で、最後におもちゃ別の収納法とアイテムを聞きました。

 

 

プラレールに紙物・文房具。
おもちゃ別おすすめ収納法&アイテム!

子どもが自分で片付けやすい! プラレールや人形などの細かなおもちゃ収納

 

 

水谷さん:
「細かなおもちゃ全般は、先ほどご紹介したような『フタなしで上部のすきまが10センチ以上開いた収納ボックス』に入れるのがおすすめです。

 

私は無印良品の『ポリエステル麻 ソフトボックス 長方形 中』に収納しています。布素材は軽くて扱いやすく、たとえば子どもが足の上に落としてしまった時でもけがをしないですし、割れたりもしないので安全です」

 

 

 

水谷さん:
「細かなおもちゃは、収納ボックスごと取り出して遊ぶことが多いので、子どもがボックスを元の場所に戻しやすいようなしくみも必要。

 

わが家ではボックスと棚に、それぞれ養生テープでおもちゃの分類を書いています」

 

 

水谷さん:
「上でご紹介したものは、子供たち皆が共通して使うおもちゃ。

 

わが家は3人の子どもがいるので、それぞれが大事にしているおもちゃは、別で収納場所を設けています。今はIKEAの洋服収納棚の一番上の引き出しが、そのスペースに。

 

ここも、いっぱいになったら各自で整理をするように促していて、入る分だけしかものを増やさないように伝えています」

 

工作やお絵かきなどの紙ものは、一時おきスペースが便利!

 

 

水谷さん:
「お絵かきや大きな工作は、作ったものを一時的に置いておく大きめのボックスを作り、ここに入れておくようにしています。

 

どちらも、このボックスが満杯になったら中身を整理しよう、と子どもたちに伝えていて、お絵かきは保存するものと捨てるものを選ぶこと、工作はベスト5を選んであとは処分すること、を子どもたち自身にやってもらっています」

 

 

水谷さん:
「保管したい絵や工作は、サクラクレパスの『作品思い出ボックス』に収納しています。じゃばら式のファイルには小さな工作や絵がたっぷりおさまり、クリアポケットには大きな絵などを収納。クレヨン画など色移りしやすいものは、ここに入れておけば安心。大・小2サイズ展開です」

 

 

 

仕切りがあると本が乱れない。絵本や図鑑など大型本の収納

 

 

水谷さん:
「絵本や図鑑の収納に便利なのが、無印良品の『ポリプロピレンスタンドファイルボックス・A4用(クリア)』。

 

この向きで本をおさめれば、判型の大きな本でも入れられるので便利。棚に差し込むときっちり収納ができるんです」

 

 

水谷さん:
「子どもが本棚に本を戻すとき、どうしても入れ方が雑になりがちですが、こうして仕切りを作っておけば本が乱れません。幅15cm

(ワイド)と幅10cmの2タイプがあり、図鑑など分厚い本には幅15cm(ワイド)がオススメです。幅10cmタイプは教科書やドリルの収納に便利です」

 

 

年齢に合わせてカスタマイズできる! 文房具収納におすすめのサクラクレパス

 

水谷さん:
「クレヨンや色鉛筆、はさみやのりなどお絵かきと工作に使う文房具の収納は、サクラクレパスの『おかたづけボックス』を活用しています。

 

これは3種類の仕切りボックスがついているのも便利なところ。子どもの成長につれて使う文房具も増えてくるので、最初はざっくりした仕切りで使い、だんだんに細かい仕切りボックスに切り替えていく、などカスタマイズが可能です」

 

 

 

水谷さん:
「取っ手つきで持ち運びやすいので、お絵かきをする場所を選ばないのもポイント。また、落としても壊れにくい素材なので、ケガや損傷の心配がありません。

 

わが家ではふだんは子どもが絵を描く食卓の近くに置いています」

 

 

 

 

 

「子どもと一緒」に整理することで、片付け習慣は身についていくもの

 

 

どれも、今日からでも実践できそうなアイデアばかり。しくみを作るのは大人の役目ですが、大事なのは「子ども自身が整理できるようにすること」だといいます。

 

水谷さん:
「わが家でも、おもちゃが収納しきれなくなってきたら、全部を床に並べて『残したいものを選んでみよう』と子どもと一緒に整理をします。

 

それを繰り返してきたことで、子どもたちも収納には限りがあることを理解して、使っているものと使っていないものを考えたり、自分で片付ける習慣が身につくようになりました。

 

つい大人が手を出してしまいがちですが、多少の時間がかかっても、子どもたちの『ものと向き合う』力を育ててあげることが実はとても大切。

 

暮らしは片付けとともにあるんだということを、子どもにも理解してもらうため、ぜひ一緒に実践してみてくださいね」

 

マグネットな本
「片づけられない自分」を客観視できる1冊

ビジネスデザインのための行動経済学ノート

 

水谷さん:
「『行動経済学』とは、経済学と心理学が融合したもの。『人が直感や感情によって合理的ではない判断をする』ことを前提に、その理由や理論を研究する学問です。

 

この本ではそれをとてもわかりやすく解説していて、平たく言えば『人はなぜ片づけられないのか』、その心理のひみつが行動経済学の視点から理解できます。

 

たとえば『人は、人の手がかけられたものに強い思い入れをもつ傾向がある』という記述があって、だから子どもの工作は捨てづらいんだ!と腑に落ちたり。

 

私は、片付けやすいしくみを作るには客観的になることが必要だと感じているのですが、この本には俯瞰した視点でを物事を捉えるヒントが詰まっています」

 

 

 

Photo_Daisuke Hashihara Interview,Text & Edit_Kaoruko Seya