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Nov 25, 2023

春の七草と花に癒され、身体をいたわる人日(じんじつ)の節句|くらしの花図鑑

そもそも人日の節句とは?

別名、「七草の節句」

「人日の節句」と聞いてピンとくる方は少ないのではないでしょうか。人日の節句は、別名「七草の節句」。この日には春の七草が入った七草粥を食べる風習があります。

五節句のうちのひとつ

そもそも節句とは、古代中国の陰陽五行説を由来として、日本に定着した暦のひとつ。中国では、奇数=縁起の良い数字(陽数)とされており、奇数が重なる日はとても縁起の良い日と考えられ邪気を払う行事が行われていました。この考え方と日本の風習が融合し、「節句」が定められたと言われています。節句は、一年のうち5日あり、まとめて「五節句」と呼ばれています。

 

1月7日:人日の節句(七草の節句)
3月3日:上巳の節句(桃の節句)
5月5日:端午の節句(菖蒲の節句)
7月7日:七夕の節句
9月9日:重陽の節句(菊の節句)

 

人日の節句は、五節句の中で一番最初にやってくる節句で、前年の厄を祓い新年の無病息災を祈願する日です。

七草を頂いて無病長寿を願う

人日の節句では、新春に萌え出た7つの若菜をいただくことで、新しい生命力を身につけ、無病長寿を願います。春の七草は、秋の七草が観賞用なのに対して、食用であることが特徴です。

 

芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ)、菘(すずな=かぶ)、蘿蔔(すずしろ=大根)

 

この日に食されることの多い七草粥は、お正月に食べ過ぎて弱った胃腸を癒す食事としても親しまれていますよね。

人日の節句におすすめの花

人日の節句では、飾るべきお花は決められていませんが、今回は「前年の厄を祓い新年の無病息災を祈願する日」「春の若菜を頂き、生気を養う日」であるこの日にぴったりの、春を感じ元気になれるお花を紹介します。

梅や桜などの枝物

市場では1月から一気に春の花が立ち並び、梅や桜などの枝物が出回り始めます。梅は寒さにも負けずに咲くため「強く縁起の良い花」とされており、桜は寒い冬を越えて咲き誇ることから「物事のはじまり」を意味する、どちらも縁起の良いお花。
縁起の良さだけでなく、枝物特有のシンプルで凛とした雰囲気が、心まで清々しくしてくれるはず。つぼみの状態で枝を購入し部屋で生けることで、花が咲いていく様子も楽しむことができますよ。

マム(菊)

 

マム、別名菊。「邪気を払い不老長寿をもたらす花」として有名です。香りがよく、持ちも良いので、気温の低いこの時期には、うまくいけば3週間程度楽しむこともできます。日本らしい佇まいは、節句のこの日にぴったり。ほっこりした気持ちにさせてくれます。

菜の花

 

菜の花は、春を感じさせる明るい黄色が特徴の花です。その爽やかな色合いは、春の節句の雰囲気にピッタリ。七草の仲間ではありませんが、菜の花も春に頂くことができる美味しい若菜のひとつ。切花の菜の花は食用にはできないので、食べないように注意してくださいね。

スイセン

 

スイセンも梅と同様、寒い時期に花をつけること・強くたくましく成長するその姿から、縁起の良い花と言われています。 中国ではラッキーフラワーと言われているとか。香りも非常に良く、飾ると幸せな気持ちに。白のスイセンは清楚さを、黄色のスイセンは部屋に明るさを与えてくれます。

タラスピ(グンバイナズナ)

 

別名「グンバイナズナ」と呼ばれるタラスピ。春の七草の中にあるナズナの仲間です。タラスピを飾れば目でも春の七草を楽しむことができます。細かいレースのような葉っぱと、先端部分の白くて小さな花が可憐でなんとも可愛らしいお花です。単体で生けても、慎ましく、ささやかな美しさを感じることができます。

人日の節句ににおすすめの組み合わせと器

枝物は潔く、一本そのまま

 

梅や桜の枝物は、シンプルかつ潔く、一本そのままで飾ると美しい雰囲気を演出してくれます。花瓶に水を入れ、枝を立ててみてください。凛とした立ち姿が、お部屋を明るくしてくれるはず。生ける際には、透明のガラスや白や黒の陶器など、シンプルな器がおすすめです。花そのものの美しさと芽吹きに目を向けることで 1年の始まりに背筋が伸びます。

花はささやかに、食器を生かしてさりげなく

 

マム・菜の花・スイセン・タラスピは、湯のみやおちょこ、茶碗など、食器などにさりげなく生けてみるのもおすすめ。華やかに楽しんだお正月の後に、小さく生けた花を愛でる。そんな幸せに気づくことで今年も1年 ハッピーに過ごすことができる気がします。

一緒に頂きたい食事と、身体をいたわる過ごし方

春の七草を使った食事

 

春の七草を使った食事としては七草粥が有名ですが、お粥を食べなければいけないという決まりはないので、別の料理で頂いてもOK。鍋やお吸い物、お味噌汁など、やさしい味付けで七草を楽しめる料理で身体をいたわりましょう。

大根やかぶだけでも良い

 

七草すべてを揃えるのは難しい!という方には、七草の中でも入手しやすい大根とかぶを使った料理をいただくのもおすすめ。こちらも、弱った胃腸を安らげるという意味でも優しい味付けでいただけると良いですね。ほくほくのふろふき大根や、かぶのスープなんていかがですか?

身体をいたわる過ごし方

 

飲み物をお白湯に変えてみる

お白湯は身体を温め、デトックスするのに非常に効果的であると言われています。身体にあたたかさと潤いを与えてくれます。電子ケトルで沸かしたお湯でも問題ないですが、やかんや鍋で10分間ほど沸騰させたお白湯は、ほんのり甘みを感じて美味しいですよ。お酒やジュースの代わりに、お白湯を飲んで舌をリセットしてあげましょう。
食事の際にも、熱い白湯を啜り飲むと甘露になると言われています。

 

冬の新鮮な空気を部屋に入れる


この時期は、厳しい寒さにどうしても部屋の中に縮こまってしまいそうになりますよね。ちょっと重い腰を上げて、しっかり防寒して、10分ほど窓を開けて換気してみましょう。冷たい冬の新鮮な空気でお部屋の中がきりっと引き締まり、身体の空気も入れ替わって、清々しい気持ちになります。新鮮で冷たい空気に変えてあげることで、お花も長持ちします。

 

ストレッチやヨガをして身体を温める


ストレッチやヨガをすることで、寒さや出不精で凝り固まった身体が柔らかくほぐれて、とても気分が良くなります。身体の巡りを良くすると、気の流れも良くなりますよ。

七草と花のパワーで、身体をいたわるやさしい一日に。

 

他の節句に比べ、あまり知られていない人日の節句。「七草」以外に印象がなかったという方も、この日は春の七草を頂くだけでなく、春の花を愛でて心を癒し、身体も労り、自分をやさしくハッピーにする一日にしてあげてください。
今年一年も、あなたにとって素敵な一年になりますように。

花と緑をこよなく愛するお花屋さん。 日々の暮らしがちょっぴりハッピーになるような、花や緑との関わり方をお届けします。

花屋WAKAflower(わかフラワー)