仕事でもプライベートでも家にいる時間がどうしても長くなる昨今。インテリアや家電購入などで生活の充実を図っている人も多いのではないでしょうか。そんな人たちに自宅にアートを飾ってみては、というご提案!
日本は土地が狭く家が狭いから、芸術を好きな人が少ないなんて言われていますが、お気に入りを飾れば気分良く生活できるものです。
そこで今回は自宅でいろいろなアート作品と暮らしている3人にインタビュー。好きなアートとの素敵な生活に迫ります。
MOKUJI
美容師 柳亜矢子さんのアート生活
柳亜矢子さん
都内サロンに勤務後、ニューヨーク留学を経て「broocH」の立ち上げに参画しトップスタイリストを務める。2021年夏には自身がディレクションを手がける「Sraw」をオープン。サロンワーク以外にも、雑誌などのヘアメイク・コンテストの審査・スタイリング商品の開発などにも多数関わる。Instagram
好きな作家や知り合いのアートが並ぶ心地いい空間
「もともと学生時代から絵を描くことが好きだったこともあってか、家には大好きな作家や知り合いの作品をたくさん飾っています。
上手に飾るコツはレイアウトを決めすぎずに気分によって位置を変えること。あとは作品に合いそうな雰囲気のオブジェやお花を合わせると部屋になじみやすいです。
東京都現代美術館・国立新美術館・ポーラ ミュージアム アネックス・銀座メゾンエルメス フォーラム・WAKO WORKS OF ARTなどなど、大小さまざまなミュージアムやギャラリーに通う日々。
小さな展示なんかに行くと、作品を購入しやすくてオススメです」
柳さんのお家アート①「花楓の作品」
「モデルの花楓さんのヘアを担当させてもらっていて、彼女が高円寺で展示をしたときに購入しました。以前からコラージュ作品をつくっていることは知ってたんですけど、縁を感じて自宅に。
気分によって寝室に飾ったり、最近は玄関に置いて自然と視界に入るようにしたり。窓の中を除いているようなデザインと少し違和感のある世界観がとても好きです」
柳さんのお家アート②「柳弘之の額と燭台」
「木の質感を気に入っている額縁と燭台(ろうそく立て)は、造形作家である弟・柳弘之さんの作品。床やインテリアなど木材や植物が多い家なので、木製の作品はとても相性がいいです。
額にはサンタフェにある大好きなジョージアオキーフのミュージアムで買ったポスターを飾っています」
柳さんのお家アート③「永瀬沙世の写真」
「普段からヘアを担当させてもらっている写真家の永瀬沙世さんの作品です。彼女の写真が好きで随分昔から展示に行っていくつか作品も持っているんですが、これは『PINK LEMONADE』という写真集のアザーカット。
自宅には心地いいカラーのものを置きたいと思っていて、この作品も色味が本当にきれいで気に入っています」
レタリングアーティスト・バー経営者 井澤卓さんのアート生活
井澤卓さん
クリエイティブスタジオ「& Supply」代表。大手IT企業で経験を積み、2018年7月に独立。レタリングアーティスト・デザイナー・ホームグッズ制作・バー経営など多角的な感覚で仕事をこなす。趣味は世界を旅して楽しむ“ホテル宿泊”。Instagram
共感したアーティストの作品を応援も込めて手に入れる
「お気に入りのギャラリーやお店でアートを買うことはあまりなく、知り合いのものを買うことがほとんど。僕自身ペインティングの活動をするなかでたくさんのアーティストとの出会いを通じて、共感した人の作品を積極的に購入しています。彼らの活動を応援することにもつながるので。
値段は数万から高くても十数万円ほど。知り合いやモノづくりの姿勢が好きな人が購入対象になるので、必然的に大きなギャラリーに所属していない、ローカルなアーティストの作品を手に入れることが多いです。
取り組み方に共感したアーティストの作品なので、そんなに悩まず飾りたいと思った場所に飾るだけで、自分にとって居心地の良い空間になると思います」
井澤さんのお家アート①「Stephen Bakerの作品」
「メルボルン在住のアーティストなんですが、すごく自分好みの作風だなと思ったクラフトジンのラベルをStephen Bakerが担当していたのが彼を好きになったキッカケ。このプリントは彼のホームページで購入しました。
人物に表情がなくて直線と曲線ですべて構成されているので圧迫感がなく、どんな部屋にもなじんでくれます。我が家ではよく見える壁にレイアウト」
井澤さんのお家アート②「Aleksandra Zeeの作品」
「いつからか覚えていないのですが、気になってInstagramをフォローしていたオークランドのアーティスト・Aleksandra Zee。
この作品は手仕事で木を組み合わせただけのシンプルな構造だからこそ、飾る空間に温かい人間味を出せるところがお気に入り。最近は壁ではなくラフに床に立てかけて楽しんでいます」
井澤さんのお家アート③「Juno Mizobuchiの作品」
「渋谷のビアバーでやっていた個展で、いろんな形状のアートワークがあるなか気に入って購入したJuno Mizobuchiの作品。
あまり原色のインテリアがない家の中で、パキッとした色使いと抽象的な作風がいいアクセントに。他に何もない白壁にドーンと飾っています。こういう作風はどんな部屋にもシンプルに合うのではないでしょうか」
ヨガライフアドバイザー 渋木さやかさんのアート生活
渋木さやかさん
笑顔とユーモアを兼ね備えた人気ヨガ講師。ヨガの知恵を生かした「恋愛と人間関係」のアドバイスをコラム連載やInstagramで発信中。「現代女性の心と寄り添うヨガ」は女性たちから熱い支持を受けている。2016年に出産後、鎌倉での子育てビーチライフスタイルがさらに注目を集める。Instagram
海の近くの開放的な自宅で、好きな作家のアートを楽しむ
「サーフカルチャーやビーチカルチャーを発信・提案する『GREENROOM GALLERY』を運営する夫との出会いが私がアートに親しむようになったキッカケ。今ではヨガと同じように日々の生活の一部で、インスピレーションをもらうものです。
毎日の暮らしにどうアートを溶け込ませるのがいいかというと、オススメはリビングに大きいアートを飾ること!家のテーマが定まって一体感のある空間にすることができます。
気になるエキシビジョンに足を運んだり、旅先でアートギャラリーを巡ったり、あとは毎年Greenroom Festivalで来日しているアーティストから直接アート買うのも楽しみ」
渋木さんのお家アート①「Alex Weinsteinの作品」
「アメリカの画家兼彫刻家のAlex Weinsteinの連作(同じテーマやモチーフの作品)。Greenroom Festivalで来日していて、鎌倉のビーチの近くに住む私は、海の深いところにいるような彼の印象的な作品にひと目ぼれしました。リビングの白壁に飾っているんですが、その様子も印象的です」
渋木さんのお家アート②「Thomas Campbellの作品」
「カリフォルニアを拠点に活動するビジュアルアーティスト・Thomas Campbellのもの。彼の映画の音楽を含めた世界観が大好きで、あこがれの作家のひとり。
家に飾っている作品はオリジナルなので世界に一枚しかないことや、購入することでアーティストの支援につながることもアートと生活する良さに感じます」
渋木さんのお家アート③「MQuan Studioの作品」
「高い位置から吊るした赤からオレンジへのグラデーションが美しい作品は、ニューヨークのデザインスタジオ・MQuan Studioのもの。今はもうなくなってしまったんですが、渋谷にあったお店で購入したものです。今住んでいる鎌倉の家は天井が高いのでピッタリ。家の雰囲気に合わせて作品を選ぶのも楽しいですね」
お気に入りのアートで心地いい空間を
三者三様のアート生活はいかがでしたでしょうか。
あなたもお気に入りの作品を見つけて部屋に飾ってみては。いつもの自宅とは違う、彩りのある気持ちのいい空間になるはずです。
Text & Edit_Yasushi Shinohara