お寺や仏壇で焚くイメージが強いお香ですが、近年は空前のお香ブーム!和を感じさせるどこか懐かしい香りは、集中力を高めたりリラックス効果が期待できたりと、心地よい空間作りに役立ちます。この記事では、お香の元となる原料の種類や主な形状、お香の楽しみ方についてご紹介。自分だけの香りを楽しめる手作りお香の作り方も解説します。
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お香はなにでできている?基本の材料と香原料7選
お香は木を粉砕して細かくした「香原料」と水、香原料をまとめるつなぎ「タブ粉」からできています。タブ粉とは、クスノキ科の常緑高木「イヌグス」の樹皮を粉末にしたもので、お香のベースになるものです。このタブ粉と香原料と水と混ぜ合わせ、スティック状や円錐型、渦巻き型にして乾燥させたものをお香といいます。ここでは、主な香原料の種類と香りの特徴を紹介します。
お香の基本の香原料①白檀(びゃくだん)
インドやインドネシア、オーストラリア原産の常緑高木で、英名を「サンダルウッド」といいます。香りは爽やかなウッディ調。古来より空間を清める際に使われていた香料でもあり、リラックスしたいときや気分を変えたいときなどに役立ちます。
お香の基本の香原料②桂皮(けいひ)
中国南部やベトナム、スリランカ、インドネシアなどが原産の香原料。シナモンの名前で親しまれていて、八ツ橋やアップルパイなどにも使われている日本人にも馴染み深い香りです。始めはスパイシーな香りですが、時間が経つにつれ甘く変化します。
お香の基本の香原料③大茴香(だいういきょう)
シキミ科の木「ダイウイキョウ」の果実を乾燥したもので、主に中国南部で産出されます。スパイシーな甘さと苦味を感じられる、優美で華やかな香り。中華料理の香味付けには欠かせないスパイスで、スターアニスや八角とも呼ばれています。
お香の基本の香原料④丁子(ちょうじ)
マダガスカルやインドネシア原産である「丁香樹」のつぼみを乾燥させたもので、クローブとも呼ばれています。バニラの主成分を含んでいて、甘さが強い香り。肉料理のスパイスとしてもよく使われていて、防腐剤や防虫剤、染料としても使われます。
お香の基本の香原料⑤安息香 (あんそくこう)
アンソクコウノキの幹から採れる樹脂で、主にスマトラ産のものが流通しています。漢方薬としても使用されていて、リラックスしたいときに最適なバニラのような香りが特徴。アロマテラピーでも広く利用される香原料です。
お香の基本の香原料⑥乳香 (にゅうこう)
乳香の幹から採れる樹脂で、アフリカ島北部やアラビア、ソマリアから産出されます。「フランキンセンス」とも呼ばれていて、清涼感のある柑橘系の香りです。神聖な香りでもあり、キリスト教の儀式で使う焚香料としても知られています。
お香の基本の香原料⑦甘松(かんしょう)
ヒマラヤや中国の山岳地帯にのみ生えるオミナエシ科の多年草で、収穫の難しさから希少性の高い香原料です。ウッディかつ甘みがあり、どこか土っぽい独特な香りが特徴。平安時代には薫物の原料として広く使用されていました。
手作りお香を作ってみよう!材料と具体的な手順
複雑な作りに思えるお香ですが、材料さえ用意すれば意外と簡単に作ることができます。ここではお香作りに必要な材料と道具、具体的な作り方を紹介します。動画も参考にして、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
お香の材料・道具
【材料】
・香原料
・タブ粉
・水
【道具】
・乳鉢(ボウル)
・乳棒(スプーン)
・段ボール片
・スポイト
お香の作り方
※調合する分量は作る量によって調整します
1.乳鉢に香原料とタブ粉を入れる
2.スポイトを使って水を少しずつ加える
3.ある程度固まったら手に取って練り、適宜水を加えて粘土のようにこねる
4.耳たぶくらいの弾力になったら適量ちぎって取り、お香の形に成形する
5.適当に切った段ボールに乗せ、一週間ほど常温で乾燥させて完成
お香の主な形状とデザイン
ひとくちにお香といっても、お香の形状やデザインはさまざま。使い方や好みに合わせて作ってみましょう。
主なタイプ
・スティック型
・円錐型(コーン型)
・渦巻き型
お香の主な形状とデザイン①スティック型
もっとも一般的なタイプで、他の形状より種類が豊富です。長さによって燃焼時間は変わりますが、一般的には30分程度、一定の火力で燃え続けるのが特徴。太さが均一なぶん香りの広がりにムラがなく、最初から最後まで香りを楽しめるのもスティック型の魅力でしょう。好みの長さに折って使用することもでき、初心者向きのタイプです。
お香の主な形状とデザイン②円錐型(コーン型)
下にいくほど燃える面積が広くなり、香りが強くなるタイプです。頂点を点火し、数秒間経ったら火を吹き消して香りを楽しみます。燃焼時間は10分程度と短く、短時間でしっかり香らせたいときにぴったり。風の影響を受けにくいため、窓辺や外でお香を楽しみたい人にもおすすめですよ。燃えカスは崩れずそのまま残るので、後片付けも簡単です。
お香の主な形状とデザイン③渦巻き型
燃焼時間が1~2時間と長く、長時間香りを楽しめるタイプです。特に短い時間では香りが広がりにくい広い空間や、窓辺など空気の流れが多い場所で使用するのがおすすめ。好みの長さで折ったりクリップで挟んだりして、燃焼時間を調整することもできます。燃焼時間は渦巻きの太さによって変わるので、好みのものを探してみましょう。
お香はいつ焚くのがおすすめ?手作りお香の楽しみ方3選
居心地の良い空間作りに役立つお香は、基本的にいつ焚いてもOK。あなたが焚きたいと思ったそのときが、お香を使うベストなタイミングです。ここでは、お香を活用するのにおすすめのシチュエーションや楽しみ方を紹介します。
お香の楽しみ方①タイマーがわりにして仕事やヨガのお供に
仕事や勉強、ヨガや読書など、一日のなかで集中したいタイミングはたくさんありますよね。そんなときはぜひお香を焚いて、タイマー代わりに使ってみてはいかがでしょうか。燃えるスピードが一定の線香は時間を測るのにちょうど良く、江戸時代には時計代わりに使われることも珍しくありませんでした。「お香の香りが漂う時間だけやろう!」と思って取りかかることで普段より集中力が高まり、より充実した時間が過ごせるでしょう。
お香の楽しみ方②来客のおもてなしに
お香はお客様をお迎えし、もてなす際にも役立ちます。昔ながらの宿泊施設には、ロビーやフロントでお香を焚いてお客様を歓迎する「迎え香」という習わしがあります。お香の落ち着く香りに迎えられれば、来客もほっと一息つけるはず。煙が苦手な人もいるので、来客前のお香は短時間で焚き終わるようにしておき、残り香でおもてなしするのがポイントですよ。
お香の楽しみ方③ストールやハンカチに焚き染め
お部屋全体に香りを広げるのが難しいときや、外出先でもお香を楽しみたいときには、ストールやハンカチに焚き染めをするのがおすすめです。焚き染めとは、衣服など香り付けたいものの近くでお香を焚いて香りを染み込ませる手法のことで、平安時代から用いられてきた伝統的な焚き方です。お気に入りのアイテムをお香で焚き染めて、気持ちよく一日を過ごしましょう。
お香はどこで焚く?場所別おすすめタイプと注意点
お香を焚く場所に決まりはありませんが、一般的には玄関や水回り、リビングや寝室などで楽しむ人が多いでしょう。トイレや洗面所など狭い場所で焚く場合は、燃焼時間が短く煙が少ないタイプがおすすめです。一方、リビングなど人の出入りが多い広い場所では、香りを長時間楽しめる渦巻き型や長さがあるスティックタイプが合っています。お香が倒れてしまうと火事の危険があるので、エアコンの真下や風上などに置く際は十分注意しましょう。周囲に燃えやすいものがないことも確認してくださいね。
手作りお香で「お香のある暮らし」を楽しもう
お香は私たちの生活にほっと落ち着く瞬間を作ってくれる、素敵な癒しアイテムです。香りの種類や形状にはさまざまなものがあるので、用途や好みに合ったものを見つけてみましょう。自分だけのオリジナルの香りを楽しめる手作りお香なら、より高いリラクゼーション効果が期待できます。好きな香りにゆったり包まれながら、日々の疲れを癒してみてはいかがでしょうか。
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