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Jan 11, 2024

「かご」で憧れのインテリアに。スタイリストさんに教わる、選び方のポイント・しつらえアイデア

家で過ごす時間が長くなる冬は、インテリアにマンネリを感じることも。そんな時は「かご」を取り入れて、ささやかな模様替えなんていかがでしょうか?

今回は人気スタイリストの岩佐知布由(いわさ ちふゆ)さんに、かごを使った素敵なしつらえのアイデアを教わりました。初心者におすすめの取り入れ方や、インテリアに合わせた選び方もご紹介。かごの楽しみ方がきっと広がるはずです。

 


教えてくれるのは
スタイリスト 岩佐知布由さん

 

会社員やアパレル販売職を経て、インテリアスタイリストに師事し、独立。雑誌、広告、カタログなどでインテリアや雑貨、暮らし全般のスタイリング、ショップのディスプレイ、住宅などの空間コーディネートを行う。

 

「かご」は日本のインテリアによく合う?

 

愛らしい見た目の「かご」は、インテリアにあるだけでさまになるアイテム。スタイリストの岩佐さんは、収納道具としての「かご」にならではの魅力を感じているといいます。

 

岩佐さん:
「天然素材で作られたかごは、木製家具と同様に、住宅に優しくなじむアイテムです。一見ハードルが高く感じるかもしれませんが、意外とどんなインテリアにも寄り添ってくれます。

 

また、自然の素材だからこそ経年変化する楽しみも。収納としてだけでなく、物を運ぶ道具として使えたり、インテリアの一部として飾ることもできる。色々な用途で長く付き合っていけるアイテムです。

 

はじめに取り入れるなら、
どんなカゴがおすすめ?

 

まずは、幅20cm前後の小ぶりなものから取り入れてみるのがおすすめ。インテリアに飾っても圧迫感がなく、予算的にも取り入れやすいといいます。

 

岩佐さん:

「大きすぎると、かえって何を入れればいいかわからず、うまく使いこなせないことも。まずは気軽に買える小ぶりなものを選んでみましょう。

 

このくらいのサイズなら、インテリアショップでも5000円以内で買えるものが多いですし、化粧品や文房具、手紙やDMなど、身の回りにある散らばりがちな小物をまとめられて、汎用性も高いですよ」

 

▲左:「カゴアミドリ」で購入したイギリスのかご。右:ブランド不明

 

岩佐さん:
「それから、平たいお皿のような形も意外と便利。果物を入れておくだけで素敵なディスプレイになりますし、来客の時には紙を敷いてお菓子を出す皿として使っても。ちょっと気の利いたおもてなしになります」

 

さまざまな形と素材のかごを、暮らしに取り入れている岩佐さん。今回は部屋別に、具体的な活用アイデアを教えていただきました。

 

かごを取り入れたらもっと可愛い!
インテリアへの活用アイデア

リビング

・マガジンラックとして

▲南青山の「The Tastemakers & Co.」で購入した、マダガスカルのマルシェバッグ

 

岩佐さん:
「本棚におさまりきらない大きい判型の雑誌やアートブックは、かごバッグをマガジンラック代わりにして収納しています。ただ床置きにするより見た目も素敵ですし、持ち手付きのかごならこのまま別の部屋へ持ち運びもできて便利です」

 

 

・鉢カバーとして

▲「Jens(イェンス)」のポシェット

 

グリーンや花の鉢をそのままかごの中に入れれば、鉢カバーとしても使えます。これはかご編みのポシェットで、紐をS字フックで家具に引っ掛けて、ハンギングに。インテリアのアクセントになります。

 

 

・あえて収納せず、ディスプレイとして

▲編組品作家・渡部萌さんのかご

 

収納するものがないときでも、そのまま飾っておくだけで絵になるのがかごの魅力。無理に収納用途を見つけなくても、おおらかにインテリアに取り入れられます。

 

キッチン

・風通しを活かした収納に

▲左:リトアニアのかご  右:高知県の作家・山崎大造さんの竹かご

 

岩佐さん:
「通気性がいいので、湿気を嫌うものの収納にも便利です。

 

私はコーヒーフィルやーなどの紙ものや、キッチンクロスを入れるのにも活用しています」

 

 

・スチールやステンレス素材なら、食器や調味料収納に

▲左奥:300円ショップで購入したステンレス素材のかご。右:『コンランショップ』のスチールかご

 

岩佐さん:
「丈夫な金属製のかごは、重さがあるものの収納に向いています。水濡れにも強いので、水回り、特にキッチンで愛用しています。

 

プラスチックなど他の収納容器に比べて、中に何が入っているかひと目でわかるのも便利なところです」

 

サニタリールーム

・編み目の細かいかごは、タオルの収納に

▲「カゴアミドリ」のかご

 

岩佐さん:
「タオルなど布物の収納は、目の粗いかごだと引っかかりやほつれの可能性があるので、目の詰まったかごに収納しています」

 

 

・自立式のかごは、ハンガー収納に

▲『HOUSE OF LOTUS」で購入したモロッコのマルシェバッグ

 

岩佐さん:
「自立するかごバッグはハンガーの収納にも便利です。ハンガーは編み目に引っかからないよう布製のエコバッグにまとめてからここに入れ、洗濯機の横に立てかけています」

 

玄関

・細かな小物は浅いかごに

▲『PARKER』で購入したアジアのかご

 

岩佐さん:
「かぎやお財布など、出がけに必要な細々したものは、パッと手に取れるようできるだけ浅いかごに収納しています」

 

インテリアに合うかごの選び方

 

素材やデザインもさまざまなかご。最後に、自分のインテリアに合うものを見つけるコツを聞きました。

 

岩佐さん:
「まずは、家のテイストや手持ちの家具に合う素材を選んでみてはいかがでしょうか。北欧テイストが好きなら、例えばフィンランドの白樺のカゴなど。好みのインテリアテイストにつながりのある国で作られたカゴを選ぶと、自然と調和します。

 

それから、迷った時は家のフローリングの色に近い色味のものを選ぶのも一案です。違和感なく、まとまりのあるインテリアになりますよ」

 

置くだけであたたかみをプラスしてくれるかごは、この時期のインテリアにもぴったり。身近な収納をかごに変えて、ちょっと気分転換してみませんか?

 

マグネットな本
「心地よい暮らし」の本質を
教えてくれた本

 

小さな森の家 軽井沢山荘物語

岩佐さん:
「建築家の吉村順三さんが、軽井沢に建てた自身の別荘の記録。実際の図面も掲載されています。

 

この本を読んだとき『住宅って、すごくいいな』と改めて思いました。吉村さんの建築物は、もちろんデザインも美しいですが、実際に暮らす人のことを考え、寄り添ったとても実用的でやさしい設計。だからこそ時代を経ても古びない普遍的な良さがあり、この住まいには、暮らすことの本質が詰まっているなと感じます。

 

私もこんな風に住空間を作る人になりたいなと、刺激をもらい、今も大切にしている1冊です」

 

 

Photo_Daisuke Hashihara Interview,Text & Edit_Kaoruko Seya