
引き続き気軽に外でお酒を飲めない今日この頃。「おうちで家族や友だちとまったり飲むのがデフォルトになった!」なんて人も多いのではないでしょうか。でも、つい同じようなおつまみばかりになってしまったり、惰性で飲んでしまったりしてしまうことも。
そこで今回は、モデル、料理家、そして人気ケータリング「美菜屋」のオーナーとして活躍中の浅野美奈弥さんが、秋におすすめの家飲みレシピを伝授。秋の夜長のおうち時間を、美味しい料理とともに過ごしてみませんか?
MOKUJI
浅野美奈弥さんプロフィール
北海道出身。学生時代からモデル活動を始め、雑誌、CF、広告など幅広いメディアで活躍。体調を崩したことをきっかけに、スポーツと食で健康的な生活を見直すことを決意し、料理家に転向。フードスタイリスト、ダイエット検定1級、スーパーフードスペシャリスト、スポーツフードスペシャリストなどの資格を持ち、2018年7月にケータリング「美菜屋」を本格始動。Instagram
家飲みをより良くするちょっとの工夫
実は「家飲み」が大好きだという浅野さん。どのように楽しんでいるのでしょうか。
「部屋の電気をちょっと暗くしてお店っぽさを出したり、キャンドルを焚いてみたり。コロナ禍に家飲みをする回数が増えて、お花や花瓶を買うようになったんです。前はそんなことしなかったんですけどね。そうやって自宅を少しだけ特別にすることで、家の雰囲気が良くなり、家飲みが楽しめるようになりました。
普段は1~2杯目にビールを。その後は料理に合わせて赤ワインや白ワインを飲んでいます。最近はナチュールワインにハマっていて、浅草にある『相模屋本店』さんからセレクトして送ってもらっています。
良いお酒が届くと、お酒に敬意を表すため、きちんとしたおつまみを作りたくなります。料理しながら飲んで、食べながら飲んで、片付けしながら飲んで――お休みの日は夕方から寝るまで、5時間くらいかけて飲んでいることもあります」
秋食材は魅力がいっぱい
今回、浅野さんに教えてもらうのは秋食材を使った4つのレシピ。「食欲の秋」「実りの秋」とも呼ばれるこの季節は、食材が美味しいのが何よりのポイントです。
「食材自体に旨味・甘味が増すのが秋です。何を食べても美味しいので、つい食べ過ぎちゃいます。きのこ、根菜、栗、サンマにカツオ。秋というだけでどんなものでも食欲をそそりますよね。
使いやすい秋食材といえば、何をおいても名前が上がるのが『きのこ』でしょう。お味噌汁や炒め物にしても美味しいですが、私は素揚げにしてからミキサーにかけてペースト状にし、パンに塗って食べたり。このペーストをカレーに入れても美味しいんですよ。きのこ類は冷凍しておくと旨味が増すので、あえて冷凍してストックしておくのもオススメ。
根菜類も秋はどれもホクホクになるので、揚げ物にしたり煮物にしたりして、ストックしておきます。日持ちするものが多いので作り置きにピッタリ。家飲みのお供に最適です」
浅野美奈弥さんが伝授!秋の家飲みレシピ
モデル業をこなしながら、ランナーとしてマラソン大会に出たり、ランニングコミュニティも運営するヘルシーな浅野さん。
今回は秋の季節に美味しい野菜やお魚をメインにした、健康的で美味しく身体に良い、直伝レシピを紹介してもらいます(材料はすべて2人分)。
せいろで蒸して栄養そのまま「根菜の魚醤マリネ」
【材料】
ニンジン:1本
レンコン:1本
かぼちゃ:1/4カット
(A)
魚醤:大さじ2
お酢:大さじ2
オリーブオイル:大さじ2
砂糖:大さじ1
【作り方】
①ニンジン・レンコン・かぼちゃを乱切りにカット。並行して鍋にたっぷりの水を入れて沸騰させる
②蒸し器(せいろ)にキッチンペーパーを敷き、カットした根菜を入れ、鍋の上にのせて10分ほど蒸す。蒸している間に(A)を合わせておく
③根菜に竹串を刺して火が通っていたら蒸し上がり(まだ固い場合は5分ほど追加で蒸す)
④蒸し上がったらボウルに移し、温かいうちに(A)と和えたら完成
「旬の根菜をシンプルに美味しく食べることができるマリネです。根菜はせいろで蒸すと栄養の流出を防ぐことができて、野菜の持つ酵素の働きで旨味が増すので、とても美味しく仕上がります。野菜は大きめにカットすると、食べ応えがあって立派なおつまみに。
最近魚醤にハマっていて、お醤油の代わりに使うことが増えました。愛用しているのは長崎・五島列島の『五島の醤』。地場の未利用魚(規格外で市場に出回らない魚や、駆除対象になっている食害魚)を使い、低塩分・無添加で仕込まれたとっても美味しい魚醤です。ストーリーもとても素敵なので、みなさんもぜひお試しを」
ついついお箸が進む「揚げさつまいものブルーチーズ和え」
【材料】
さつまいも:中1本
ブルーチーズ:10g
メープルシロップ:大さじ2
【作り方】
①さつまいもは皮ごと角切りにして、水に5分ほどさらし、水気をよく切っておく
②揚げ油を180℃に熱し、①を入れ、カリッとするまで揚げる
③をボウルに移し、ブルーチーズを入れてよく和え、さらにメープルシロップで和えたら完成
「デザート感のあるおつまみです。ブルーチーズが苦手な人は、クリームチーズに代えてみてください。
家飲みってついつい揚げ物が欲しくなるんですが、唐揚げやフライだとヘビーなもの。さつまいもなら罪悪感が少なく、カリカリ食感が満足感を高めてくれます」
きのこの旨味がギュッと凝縮「素揚げきのこの白和え」
【材料】
絹ごし豆腐:200g
えのきだけ:1袋
しめじ:1/2袋
舞茸:1袋
白だし:大さじ2
ごま:大さじ2
砂糖:小さじ1
塩:ひとつまみ
【作り方】
①絹ごし豆腐は水気をよく切っておく。きのこは軸を外し、手でバラバラにする
②180℃の揚げ油にきのこをすべて入れ、時々かき混ぜながらきつね色になるまで揚げる。揚がったらよく油を切っておく
③ボウルに絹ごし豆腐を入れてヘラなどでつぶし、滑らかになるまでよく混ぜる
④③に②と調味料を入れてよく和えれば完成
「通常はきのこを白和えにするときって、ゆでたりレンチンしたりして使いますが、素揚げにすることで旨味が凝縮されるんです。さらにヌメりがなくなり、とても香ばしい味わいに。とてもお酒に合う一品になります。
今回紹介する4つのレシピを作るなら、さつまいもを素揚げした後にきのこを揚げれば、揚げ油を節約できて一石二鳥。揚げ物にすれば日持ちがするので、たっぷり作っておくといいでしょう」
シメの一品におすすめ「カツオのあぶりむすび」
【材料】
カツオ(小さめのブロック):1サク
ご飯:1合
紅芯大根:1/8本
お酢:小さじ1
砂糖:小さじ1
みょうが:1本
えごまの葉:2~3枚
(A)
うすくち醤油:50ml
酒:50ml
みりん:50ml
お酢:大さじ1
【作り方】
①Aを合わせて漬け液を作り、カツオを入れて1時間ほど漬ける
②紅芯大根をみじん切りにし、お酢と砂糖で和える。みょうがは千切りに、えごまの葉は半分に切り、どちらも水にさらしておく
③カツオを漬け汁から出し、水気をよく切ってバーナーで全体をあぶる(バーナーがない場合はフライパンでOK)
④ご飯と紅芯大根の酢漬けを混ぜて、丸いおむすびを作る
⑤おむすびの上に水気を切ったえごまの葉を乗せ、薄く切ったカツオとみょうがをのせたら完成
「紅芯大根のほんのりピンク色が可愛いおにぎり。残ったカツオはそのままおつまみにしてもいいですね。お茶漬けにして食べるのもおすすめ。
えごまの葉がないときは大葉でOKですし、しょうがの千切りや青ネギなど、お好みのツマをのせてみてください。
今回はすべて野菜中心のメニューなので、最後くらいはお米メインのメニューでシメを。炭水化物を抜いてしまうと、口さみしくてお菓子など余計なものを食べてしまうので、こうして補給をして、おなかを満足させてあげましょう」
飾らずリラックスできる家飲み
プロが作る料理を楽しむのもいいですが、「家で飲む」という行為にはたくさんの魅力が詰まっています。
「何よりもリラックスできるのがいいですね。かしこまることなく、人の目を気にすることなく、好きな恰好で楽しむことができます。Netflixを見ながらゆっくり飲むことが多いんですが、このダラダラとした時間がとっても幸せです。
余った食材でササッと作ったおつまみで一杯もいいし、揚げ物や煮物など手間のかかる料理を作りながら、一杯やるもよし。おうちで飲むからこそ味わえる幸せが『家飲み』の醍醐味ではないでしょうか。
私は仕事でも料理をしていますが、ケータリング用と自宅用では味の付け方は大きく変わるんですよ。ケータリングは冷めた状態を食べていただくので、その分お味はやや濃いめに。冷めてもおいしいよう、調理にも気を遣います。家ではアツアツの状態で食べられるので、お味は薄めでOK。あれこれ気遣うこともなく、何も考えずに作れるのも家飲みのいいところだと思います」
おわりに
「仕事柄、家でご飯を作るときも、旬のものを楽しむようにしています。旬の食材はそのとき一番栄養価が高く、季節感を感じられるもの。積極的に取り入れて、美味しく食べて健康になりましょう」と浅野さん。
構えず、気楽に、のんびりと。直伝の「家飲み」レシピで、秋の夜長を楽しくおうちで過ごしてみませんか?
Photo_ Koji Kanatani Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara